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11.奴隷

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 おにぎりを持って帰ろうとする人がいたので急いで止めた。
「待ってください!話があったので皆さんに集まっていただきました。話しを聞いてください。」
「食ったもん、返せって言われても何も無いぞ!」
「そーだそーだ!食いもんがあるって言うから来ただけだ!」
ざわざわしばしめたので、大声で叫ぶ。言いたい事を言ってしまおう!
「静かに!!皆さん、毎日お腹いっぱい食べたくないですか?ここにいるファーナさんみたいな服を着たくないですか?病気になった家族を助けたくないですか?」
 一気に叫ぶと、シーーンと静まりかえる。
 1人の年配の男の人が
「……誰だって腹一杯食べて、大切な家族を守りたい。でも、ここではそんな事は無理なんだ!さっきの食べ物だって、ここにあるだけで毎日は食べられないだろう?」
と言うと、他の人もしゅんと下を向いてしまう。まぁそうだろうなぁ、急に言われても理解できないし、今までの事があるから信じられないよね。どうしたら聞いてもらえるんだろう……と思ってると、
「お前、俺たちを奴隷にするのか?」
 20歳くらいの男の子が言い出し、またざわざわし始める。
 この世界では、人間以外にもドワーフやエルフなどもいて、人間はその中で1番下の存在らしく奴隷として攫われて行くと説明書には書いてあった。その事を言ってるんだろうな。
 ……うーん、奴隷にするって言う方が分かりやすいのかな?危害を加えないと理解されるまで奴隷って事にした方がいいかも!私は嫌な奴に思われるだろうけど、それなら話しを聞いてくれるかも。奴隷って言葉は嫌だけどね。この世界に来たこと事態が理不尽なんだから、今更奴隷や人の目を気にしても仕方ない。
 よし、腹を括ろう!
「じゃあ、奴隷になってください。私に従ってください!」
「やっぱり……何もせずに食べ物をくれるなんて変だと思ったんだ!騙された‼︎」
「皆さんが嫌なら断ってもらってもいいですが、食べた分だけは私の奴隷として話しを聞いていただきます。」
 言い切ると、不信感のこもった目を全員から向けられる。……気分は良くないけど、話しを聞いてもらえるなら我慢だ我慢!
 よし、家を出そう!ファーナさんの家辺りに市営住宅みたいな一戸建ての同じ建物をとりあえず一列に10軒出そう。
 お金…いや魔力は足りるはず!スマホで検索してイメージをしっかりと頭に叩き込み『チェンジ』。魔力は、少し減っただけだったから、その10メートルほど裏に、もぅ10軒出す。
 最初腹一杯食べたいと言っていた年配の男の人を呼び、一つの家に案内する。この男性の名前はダイルだと教えてくれた。他の人も付いてきて見ている。
 皆んな気持ち悪い物を見るような目で見ている。そりゃ、何も無い所に家が急に出てきたら誰だってビックリするし、きみが悪いと思う。しかも見たことないような家だもんなぁ~。

 とりあえず入ってもらい、何人家族か聞くと、5人家族らしい。間取りは、3LDK。どの家も同じだ。お風呂トイレは別々だし、家具もイメージして同じのを出したから生活するのに不便はないはずだ。
 ダイルさんの家族構成を聞くと息子さん夫婦と子ども2人。さっき赤ちゃんを抱いていた人が息子のお嫁さんらしい。他の人も次々と覗いている。
「奴隷の皆さん、家族を連れて好きな家を選んで住んでください。」
「………こんな所に住んでもいいのか?」
「もちろんです。荷物などある人は取りに帰ってください。そして、家族を連れて来てください。」
 皆んなが散り散りに走って行ったのを確認し、ルイ君もお父さんを連れて来るように伝えて、ファーナさん達もテントから引っ越してもらう。布団と服を運ぶくらいだけど。      
 家を間違えないように玄関のドアの色を全部違う色にしたから大丈夫だろう。
 その間に、色んなサイズのワンピース、赤ちゃん服、男の人達は甚平でいいか!沢山出した。
 帰って来た人からファーナさんに出したシャワールームで体を洗ってもらい、服を着替えサンダルを履いて好きな家に入ってもらう。子どもは、親がシャワーをしてから抱き抱え各自家の風呂で洗ってもらう事にした。
 家の距離がバラバラだからシャワーも、さほど待つ事なく使えたし、シャワーをした人が今からの人に教えたり、ファーナさんが子どものいる家でお風呂に入れてくれたりしたから、暗くなる前に全員引っ越し完了!
 和室も一部屋あり、押し入れに布団が4組。洋室には、ベットが2つづつ。洋室には、クローゼットも完備!全部6畳の大きさだ。
 ルイ君は、お父さんを背中におんぶしてなんとか帰って来れた。スポーツドリンクで少し元気になったようだ。やっぱり、脱水症状もあったんだろうな。
 
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