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54 貴族達の本音
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結果的にトマトの三分の一くらいが潰れ、汁がドレスに付いたとか、高級な服が汚れたとか言い出して喧嘩が始まり、その間にこっそりトマトを食べる人を見つけて、また喧嘩が始まった。
いつまでこれが続くのかと見ていたけど、喧嘩を続けるほどの体力は残って無かったのか、途中から潰れたトマトの綺麗な所だけを食べたり、家族で一つを分け合ったりしていた。
『ドレスが皺になるわ!』
『ベットはないの?』
『おい、お前は私より身分が低いだろう。そのトマトをよこせ!!』
『はっ?なぜ俺様が??ここは身分は関係ないんだろう!!』
結局一晩中寝ずに言い争いをしたり、文句を言い続けたりしていた。
朝になり、またトマトを人数分外に出した。
今回は誰も喧嘩をせず、食べていたが、やはりこっそりと2つ持って行く人もいた。足りない分は家族で分け合って食べていた。
山の方にいる人達は、トマトを取りにも来ないし、騒いだり喧嘩したりもしていない。少し多めにトマトを持って後ろの人達に届けてくれてる人も数人いるようだった。
「そろそろニーン国に帰るかなぁ?」
「だな!ベットがないのが耐えられないみたいだし早く帰ったらいいのにな!」
コインさんと早く帰ってほしいなと話していると、また大きな声が聞こえてきた。
『もう嫌!!早く帰りましょう!!』
『なら、1人で帰れ。帰っても何もないぞ。家やベットはあるが食料も調理人もいない。掃除も洗濯もできないお前が帰ってどうする?1人で生活できるのか??』
『…………なら、また雇ったらいいじゃない!』
『雇おうにも、人がいない。だから、ここまで来たんだろう。』
『でも………、じゃあずっとここにいるの?こんな所に??』
『仕方ないだろう!私だって今までのような生活がしたいさ!だが無理なんだ。食料もない身の回りの事をしてくれる人も逃げてしまった。それに戻れば国王様や兵士に食料や金を渡せと迫られる!金ならいくら払ってもいいが、お前や、娘まで差し出せと言われるんだぞ!!お前は、国王様の所に行きたいのか?』
『……そ、そんな……。そんな話し聞いてない……。』
『話せないだろ。だから、何も言わずに着いて来いとここまで連れて来たんだ。』
ショックで顔を真っ青にする奥さんに、苦しそうに説明をするのを聞いていた他の女性が、自分の家族に「本当なの?」と詰め寄っていた。
『ここにいるのは、ほとんどがどうすることも出来ず逃げてきた人達だ。』
『ニーン国で、酷い扱いをされるよりここで家族で静かに最後を迎える方が良いと思ったんだ。それに、アニマ国の獣達は知能が低いと言っていたから、貴族だと言えば今までのように生活ができるかもしれないと言ってる人もいた。』
『……………そう……。わかったわ。』
『城で兵士をしていたけど、僕もこのままだと危ないと思って父さんと一緒に逃げて来たんだ。だから、あなた達も戻らない方がいい。』
『そうです。私も城で働いていましたが、国王様の機嫌が日に日に悪くなっていて、側付きの兵士や侍女達も下の者に当たりちらすようになって……。もぅあの場所は私達の居場所ではなくなった。ほら、あの子を見てください。兵士に殴られて女の子なのに顔にアザができてしまった。国王様のペットがいなくなったからと侍女達が部屋に引きずり込まれる事も増えてきた。だから、一部の人達に見つからないように全員で逃げてきたんです。』
『………………そんな……。』
女性達の顔が絶望に染まっていった。
「昼は、調理道具と食料を渡してみようか。」
「そうだな。後ろの方にいる人達は、どうやら貴族ではないようだし料理ができる人もいるかもしれないな。」
「透明になれるマント借りてあるから、それで俺が後ろの人達に届けるよ。」
「その方が良さそうだ。後ろの人達は、トマトもほとんど食べてないようだし火も分けてもらってない。俺も行く。」
「コインさん、ありがとう!」
「それにしても、知能が低いとか本当に失礼な奴らだな!!」
いつまでこれが続くのかと見ていたけど、喧嘩を続けるほどの体力は残って無かったのか、途中から潰れたトマトの綺麗な所だけを食べたり、家族で一つを分け合ったりしていた。
『ドレスが皺になるわ!』
『ベットはないの?』
『おい、お前は私より身分が低いだろう。そのトマトをよこせ!!』
『はっ?なぜ俺様が??ここは身分は関係ないんだろう!!』
結局一晩中寝ずに言い争いをしたり、文句を言い続けたりしていた。
朝になり、またトマトを人数分外に出した。
今回は誰も喧嘩をせず、食べていたが、やはりこっそりと2つ持って行く人もいた。足りない分は家族で分け合って食べていた。
山の方にいる人達は、トマトを取りにも来ないし、騒いだり喧嘩したりもしていない。少し多めにトマトを持って後ろの人達に届けてくれてる人も数人いるようだった。
「そろそろニーン国に帰るかなぁ?」
「だな!ベットがないのが耐えられないみたいだし早く帰ったらいいのにな!」
コインさんと早く帰ってほしいなと話していると、また大きな声が聞こえてきた。
『もう嫌!!早く帰りましょう!!』
『なら、1人で帰れ。帰っても何もないぞ。家やベットはあるが食料も調理人もいない。掃除も洗濯もできないお前が帰ってどうする?1人で生活できるのか??』
『…………なら、また雇ったらいいじゃない!』
『雇おうにも、人がいない。だから、ここまで来たんだろう。』
『でも………、じゃあずっとここにいるの?こんな所に??』
『仕方ないだろう!私だって今までのような生活がしたいさ!だが無理なんだ。食料もない身の回りの事をしてくれる人も逃げてしまった。それに戻れば国王様や兵士に食料や金を渡せと迫られる!金ならいくら払ってもいいが、お前や、娘まで差し出せと言われるんだぞ!!お前は、国王様の所に行きたいのか?』
『……そ、そんな……。そんな話し聞いてない……。』
『話せないだろ。だから、何も言わずに着いて来いとここまで連れて来たんだ。』
ショックで顔を真っ青にする奥さんに、苦しそうに説明をするのを聞いていた他の女性が、自分の家族に「本当なの?」と詰め寄っていた。
『ここにいるのは、ほとんどがどうすることも出来ず逃げてきた人達だ。』
『ニーン国で、酷い扱いをされるよりここで家族で静かに最後を迎える方が良いと思ったんだ。それに、アニマ国の獣達は知能が低いと言っていたから、貴族だと言えば今までのように生活ができるかもしれないと言ってる人もいた。』
『……………そう……。わかったわ。』
『城で兵士をしていたけど、僕もこのままだと危ないと思って父さんと一緒に逃げて来たんだ。だから、あなた達も戻らない方がいい。』
『そうです。私も城で働いていましたが、国王様の機嫌が日に日に悪くなっていて、側付きの兵士や侍女達も下の者に当たりちらすようになって……。もぅあの場所は私達の居場所ではなくなった。ほら、あの子を見てください。兵士に殴られて女の子なのに顔にアザができてしまった。国王様のペットがいなくなったからと侍女達が部屋に引きずり込まれる事も増えてきた。だから、一部の人達に見つからないように全員で逃げてきたんです。』
『………………そんな……。』
女性達の顔が絶望に染まっていった。
「昼は、調理道具と食料を渡してみようか。」
「そうだな。後ろの方にいる人達は、どうやら貴族ではないようだし料理ができる人もいるかもしれないな。」
「透明になれるマント借りてあるから、それで俺が後ろの人達に届けるよ。」
「その方が良さそうだ。後ろの人達は、トマトもほとんど食べてないようだし火も分けてもらってない。俺も行く。」
「コインさん、ありがとう!」
「それにしても、知能が低いとか本当に失礼な奴らだな!!」
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