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41 大きな療養所
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20分ほどしてやっと落ち着いてきた。
「ビックリさせてごめん。でも、どうしてもリナが妹を探してるって伝えたくて。」
「ううん、あ、ありが…と。」
「体が良くなったら、必ず会えるから、しっかり食べて寝るんだ。俺は何もできないけど、リナに様子を伝えて一緒に会いに来る事はできる。元気にさえなれば、また一緒に暮らせる。」
「…………うん。」
「また必ず来るから。」
「……………うん。」
その後、病院の医師に話しを聞いてから次の療養所に移動した。
「やっぱり妊娠中だったな。」
「そうだな。だから食べる事も拒絶してたようだし、生きる気力も無くしてた。」
「もう少し早く気付いてたら……。」
「コインさん、しかたないよ。だって俺が捕まらなかったらわからないままだったんだ。」
「…そうだな。」
「うん。でも、許せない!!俺は同じ人間として情けないし申し訳ないし……。」
「それこそシオンのせいじゃない。シオンの通訳があったから助けられたんだ。それに、シオンはアニマ国に来てからずっと俺達の為に色々と考えて助けてくれていたんだ。感謝してる。」
「……でも、あんな酷い事……。くそっ!悔しいよ!!」
「俺もシオンも、これから出来る事を考えよう。」
「うん。」
「ほら、着いたぞ。」
すぐ近くにあった療養所に入って、名簿を確認する。
「俺はこっちを見るからコインさんはこれをよろしく。」
「おう!任せろ!」
孤児院の近くは、ニーン国から逃げてきた人間を多く保護しているから、少し離れたこっちの療養所は、アニマ国の人達がかなり多い。
名簿を見るのも大変だ。
「あっ……あった!!リナのお父さんとお母さんだ。」
「シオン、ニーナのお父さんの名前もあるぞ!」
「良かった。」
「ほとんどの人が、この大きな療養所にいるからな。建物も沢山あるから、俺はニーナのお父さんの所に行ってくる。シオンはリナさんの両親の所に行ってくれ。」
「わかった。」
「もし、体力もあって本人が希望するなら一緒に馬車で孤児院まで移動しよう。リナさんの両親も孤児院に来てもらって、これからの事を考えよう。」
「うん。じゃあまた後で!ここに集合。」
「了解!」
まず、2号棟のリナのお父さんジンさんの所だ。
「あの、すみません!ここにジンさんはいますか?リナに頼まれて探しに来ました。」
「あぁジンさんなら1番奥の部屋だと思うぞ。」
「ありがとう。」
良かった。何室もあるから時間かかるかなと思ったけど教えてもらえてラッキーだ。
「あの、ジンさんはいますか?」
「……俺だ。1番奥だ。すまんが来てくれないか?」
「はい。」
ここは重症者が多いみたいだな。
「あの失礼します。俺、シオンって言います。」
「俺がジンだ。」
ジンさんの片足は膝から下が無かった。
「足……。」
「あぁ、すまんな。ビックリさせてしまったな。奴隷になって荷物を運んでいたんだが、崩れた荷物に足が挟まれてな。運良く雇い主が良い人で医者に連れて行ったくれたが足はダメだった。」
「そう……ですか…。」
「そんな辛そうな顔するな。命があったんだ。それだけでもありがたいさ。」
「…うん。」
「それで俺に何の用だ?」
「あっ、俺、リナに頼まれてジンさんとシーナさんを探しに来たんです。」
「ほ、本当か!!」
「はい。リナは元気です。妹のルナさんは入院してます。」
「そう……か……無事だったんだな……そうか…そうか……うっ……うゔっ…。」
「はい。あのシーナさんは?」
「シーナはここにいるのか?」
「名簿に名前を見つけて……まだ出会ってないですか?」
「……あぁ、この足だ。ここに来てから一歩もこの部屋から出ていない。俺からも頼む、シーナに会ってきてくれ!!様子を伝えてほしい!!」
「もちろんです!」
「頼む!!後でゆっくりとリナとルナの事を教えてくれ。」
「行って来ます。」
「あぁ、頼んだ。」
「ビックリさせてごめん。でも、どうしてもリナが妹を探してるって伝えたくて。」
「ううん、あ、ありが…と。」
「体が良くなったら、必ず会えるから、しっかり食べて寝るんだ。俺は何もできないけど、リナに様子を伝えて一緒に会いに来る事はできる。元気にさえなれば、また一緒に暮らせる。」
「…………うん。」
「また必ず来るから。」
「……………うん。」
その後、病院の医師に話しを聞いてから次の療養所に移動した。
「やっぱり妊娠中だったな。」
「そうだな。だから食べる事も拒絶してたようだし、生きる気力も無くしてた。」
「もう少し早く気付いてたら……。」
「コインさん、しかたないよ。だって俺が捕まらなかったらわからないままだったんだ。」
「…そうだな。」
「うん。でも、許せない!!俺は同じ人間として情けないし申し訳ないし……。」
「それこそシオンのせいじゃない。シオンの通訳があったから助けられたんだ。それに、シオンはアニマ国に来てからずっと俺達の為に色々と考えて助けてくれていたんだ。感謝してる。」
「……でも、あんな酷い事……。くそっ!悔しいよ!!」
「俺もシオンも、これから出来る事を考えよう。」
「うん。」
「ほら、着いたぞ。」
すぐ近くにあった療養所に入って、名簿を確認する。
「俺はこっちを見るからコインさんはこれをよろしく。」
「おう!任せろ!」
孤児院の近くは、ニーン国から逃げてきた人間を多く保護しているから、少し離れたこっちの療養所は、アニマ国の人達がかなり多い。
名簿を見るのも大変だ。
「あっ……あった!!リナのお父さんとお母さんだ。」
「シオン、ニーナのお父さんの名前もあるぞ!」
「良かった。」
「ほとんどの人が、この大きな療養所にいるからな。建物も沢山あるから、俺はニーナのお父さんの所に行ってくる。シオンはリナさんの両親の所に行ってくれ。」
「わかった。」
「もし、体力もあって本人が希望するなら一緒に馬車で孤児院まで移動しよう。リナさんの両親も孤児院に来てもらって、これからの事を考えよう。」
「うん。じゃあまた後で!ここに集合。」
「了解!」
まず、2号棟のリナのお父さんジンさんの所だ。
「あの、すみません!ここにジンさんはいますか?リナに頼まれて探しに来ました。」
「あぁジンさんなら1番奥の部屋だと思うぞ。」
「ありがとう。」
良かった。何室もあるから時間かかるかなと思ったけど教えてもらえてラッキーだ。
「あの、ジンさんはいますか?」
「……俺だ。1番奥だ。すまんが来てくれないか?」
「はい。」
ここは重症者が多いみたいだな。
「あの失礼します。俺、シオンって言います。」
「俺がジンだ。」
ジンさんの片足は膝から下が無かった。
「足……。」
「あぁ、すまんな。ビックリさせてしまったな。奴隷になって荷物を運んでいたんだが、崩れた荷物に足が挟まれてな。運良く雇い主が良い人で医者に連れて行ったくれたが足はダメだった。」
「そう……ですか…。」
「そんな辛そうな顔するな。命があったんだ。それだけでもありがたいさ。」
「…うん。」
「それで俺に何の用だ?」
「あっ、俺、リナに頼まれてジンさんとシーナさんを探しに来たんです。」
「ほ、本当か!!」
「はい。リナは元気です。妹のルナさんは入院してます。」
「そう……か……無事だったんだな……そうか…そうか……うっ……うゔっ…。」
「はい。あのシーナさんは?」
「シーナはここにいるのか?」
「名簿に名前を見つけて……まだ出会ってないですか?」
「……あぁ、この足だ。ここに来てから一歩もこの部屋から出ていない。俺からも頼む、シーナに会ってきてくれ!!様子を伝えてほしい!!」
「もちろんです!」
「頼む!!後でゆっくりとリナとルナの事を教えてくれ。」
「行って来ます。」
「あぁ、頼んだ。」
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