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「王様とアーク国の王様は交流があり、多分シオンの作った野菜もアーク国にいっているぞ。困った事があれば助け合う仲だ。」
「そうなのか?他に国はないの?」
「この3つだけだと聞いている。後は海が広がっていて、海の中にも国があるとか、海をひたすら進んだら他の国があるかもしれないと言われているが、まだ誰も行った事がないから伝説だという説があるな!」
「へぇー、そうなんだ。」
「ニーン国は、言葉が通じないだけじゃなくて、かなり自分勝手な国だと聞いた事がある。アニマ国の王様みたいな国民を思いやる気持ちがなく、王様や貴族が良ければ他の国民はどうだっていいと思っているらしい。」
「……そうだと思う。俺達みたいな貧しい暮らしをしていた人が沢山いた。孤児院なんかもなくて、子どもが1人で生きていく事ができなくて、よく死んでた。俺はここに来れて救われたけど、自分が生きるのに必死だった。」
「そうか……、辛い思いをしたなシオン。」
「俺は、母さんは死んでしまったけど、こうして生きていて、腹一杯ご飯を食べさせてもらえるし、凍えて死ぬ事もないし、こんな良い服を着させてもらってるから、ちっとも辛くない。」
「そうか、そうなら良かった。」
「俺はここに来られて本当に幸せだ。」
「わし達もシオンと出会えて幸せだぞ!それを忘れるな。」
「うん。」
「さぁ皆んなの所へ行こうか。次の鐘が鳴るまで家の中でじっとしていた方がいい。」
「わかった。」
2時間ほど経った頃、また鐘の音が聞こえてきた。この鐘の音は、危険が去ったという合図だと教えてくれた。
それからすぐに皆んな帰ってきて、畑仕事の続きをした。
夜ご飯を食べながら今日の事を聞いてみた。
「あー、まぁ山から出てきた所で追い返した。何か大声で叫びながら走ってきて石を投げたりしていたな。」
「あぁ、ずっと何かを大声で叫んでた。」
「俺、言葉わかるから今度攻めて来たら、何言ってるか聞こうか?」
「それはありがたいが……危険だと思うぞ。」
「そうだな。俺達の判断でOKは出せないな。」
「じゃあ、王様に聞いてみて。」
「うーん、俺はシオンに危険な目に合ってほしくない。」
「俺も!」
「ありがとう。俺も嫌だけどさ、でも何言ってるかわかったら、もしかしたら戦わなくてすむかもしれないだろ?」
「まぁ確かにな。」
「うーん、王様に聞いてみるか。」
「そうだな。」
「シオン、明日俺達と城まで来てくれ!」
「わかった。」
次の日、城に行くと、王様が待ってくれていた。
「わざわざありがとう。」
「いえ。俺は人間の言葉がわかります。少しでもニーン国との関係が良くなればと思ってます。」
「ありがとう。しかし、危険であることには変わりない。それでも、協力してくれるか?」
「はい。俺で役に立つなら。この国に俺は助けられました。だから、この国の役にたちたい。」
「そうか………。では、必ず兵士達の前に出ないと約束してくれ。兵士達も必ずシオンを守ってくれ。言ってる事がわからなくても無理はしなくていい。」
「はい。」
王様に何度も無理しないよう言われ、周りの兵士達からくれぐれも無茶するなと釘を刺された。
しばらくは、何もなく畑仕事を皆んなで楽しんで穏やかな日々が続いて、もうニーン国も攻めて来ないんじゃないかと少しホッとしていた。
このままニーン国が諦めてくれないかな。アニマ国の皆んなが、酷い目にあうのは嫌だ。なんでアニマ国みたいに仲良くできないんだろう。みんな同じ人間なのにな……。
ある日、また鐘が鳴り響いた。
俺はコインさん達と一緒に、山まで行き、木の影や茂みの中などに隠れて様子をみる。
するとニーン国の兵士達が大声で叫びながら出てきた。
『アニマ国の腰抜けども!!お前らみたいな動物ごときが土地を持つなんざ贅沢なんだよ!』
『動物は小屋で十分だろ!あははは!』
『ワンワンニャンニャン鳴いて人間様に媚びをうってりゃいいんだよ!』
『まぁ、女はなかなか良い体してるからペットにしてやってもいいけどな!』
『ぐぁはははは、確かにあいつらはペットに最適だ!尻尾を握ってやれば大人しくなるからな!』
「そうなのか?他に国はないの?」
「この3つだけだと聞いている。後は海が広がっていて、海の中にも国があるとか、海をひたすら進んだら他の国があるかもしれないと言われているが、まだ誰も行った事がないから伝説だという説があるな!」
「へぇー、そうなんだ。」
「ニーン国は、言葉が通じないだけじゃなくて、かなり自分勝手な国だと聞いた事がある。アニマ国の王様みたいな国民を思いやる気持ちがなく、王様や貴族が良ければ他の国民はどうだっていいと思っているらしい。」
「……そうだと思う。俺達みたいな貧しい暮らしをしていた人が沢山いた。孤児院なんかもなくて、子どもが1人で生きていく事ができなくて、よく死んでた。俺はここに来れて救われたけど、自分が生きるのに必死だった。」
「そうか……、辛い思いをしたなシオン。」
「俺は、母さんは死んでしまったけど、こうして生きていて、腹一杯ご飯を食べさせてもらえるし、凍えて死ぬ事もないし、こんな良い服を着させてもらってるから、ちっとも辛くない。」
「そうか、そうなら良かった。」
「俺はここに来られて本当に幸せだ。」
「わし達もシオンと出会えて幸せだぞ!それを忘れるな。」
「うん。」
「さぁ皆んなの所へ行こうか。次の鐘が鳴るまで家の中でじっとしていた方がいい。」
「わかった。」
2時間ほど経った頃、また鐘の音が聞こえてきた。この鐘の音は、危険が去ったという合図だと教えてくれた。
それからすぐに皆んな帰ってきて、畑仕事の続きをした。
夜ご飯を食べながら今日の事を聞いてみた。
「あー、まぁ山から出てきた所で追い返した。何か大声で叫びながら走ってきて石を投げたりしていたな。」
「あぁ、ずっと何かを大声で叫んでた。」
「俺、言葉わかるから今度攻めて来たら、何言ってるか聞こうか?」
「それはありがたいが……危険だと思うぞ。」
「そうだな。俺達の判断でOKは出せないな。」
「じゃあ、王様に聞いてみて。」
「うーん、俺はシオンに危険な目に合ってほしくない。」
「俺も!」
「ありがとう。俺も嫌だけどさ、でも何言ってるかわかったら、もしかしたら戦わなくてすむかもしれないだろ?」
「まぁ確かにな。」
「うーん、王様に聞いてみるか。」
「そうだな。」
「シオン、明日俺達と城まで来てくれ!」
「わかった。」
次の日、城に行くと、王様が待ってくれていた。
「わざわざありがとう。」
「いえ。俺は人間の言葉がわかります。少しでもニーン国との関係が良くなればと思ってます。」
「ありがとう。しかし、危険であることには変わりない。それでも、協力してくれるか?」
「はい。俺で役に立つなら。この国に俺は助けられました。だから、この国の役にたちたい。」
「そうか………。では、必ず兵士達の前に出ないと約束してくれ。兵士達も必ずシオンを守ってくれ。言ってる事がわからなくても無理はしなくていい。」
「はい。」
王様に何度も無理しないよう言われ、周りの兵士達からくれぐれも無茶するなと釘を刺された。
しばらくは、何もなく畑仕事を皆んなで楽しんで穏やかな日々が続いて、もうニーン国も攻めて来ないんじゃないかと少しホッとしていた。
このままニーン国が諦めてくれないかな。アニマ国の皆んなが、酷い目にあうのは嫌だ。なんでアニマ国みたいに仲良くできないんだろう。みんな同じ人間なのにな……。
ある日、また鐘が鳴り響いた。
俺はコインさん達と一緒に、山まで行き、木の影や茂みの中などに隠れて様子をみる。
するとニーン国の兵士達が大声で叫びながら出てきた。
『アニマ国の腰抜けども!!お前らみたいな動物ごときが土地を持つなんざ贅沢なんだよ!』
『動物は小屋で十分だろ!あははは!』
『ワンワンニャンニャン鳴いて人間様に媚びをうってりゃいいんだよ!』
『まぁ、女はなかなか良い体してるからペットにしてやってもいいけどな!』
『ぐぁはははは、確かにあいつらはペットに最適だ!尻尾を握ってやれば大人しくなるからな!』
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