山神様への嫁入り

みーか

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51 里帰り出産

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 部屋の外でウロウロしていたクロモに、双子を抱っこして桃が声をかけた。

「はい、おじいちゃん!!女の子の双子ちゃんですよぉ~!!」
「お、おじいちゃん……そうか、孫か……。しかも双子か!!」
「可愛いね!クロモ様。」
「よし、源を呼びに行って来る!」
「あっ、そうだね。」

 クロモは大急ぎで出て行った。

 双子ちゃんは、ゆきのおっぱいを飲んでうとうとしている。小梅やサクラが覗き込んで、その可愛さにメロメロになっていた。
 そっくりの双子ちゃんで、目元の右と左にそれぞれホクロがあった。
 
「ゆき!!産まれたって?!」
「静かに!今寝たところなんだから。ほら、双子だったの。」
「ぅわ~!!可愛い!!お父さんですよぉ~。」
「おい、本当にお前の子か?ゆき、こいつが父親か?」
「あら、どうだったかしら?」
「そ、そんなぁ~!!」
「冗談よ!それより、父親なら名前を付けて。」
「名前かぁ、女の子2人だからなぁ。うーん。お義父さん、付けてもらえませんか?」
「えっ?クロモ様に頼むの?センスないよ……。」
「桃、酷くないか?俺だってババーンとセンスのある名前を考えてやる!」
「ゆきは?クロモ様が決めるのでいいの?」
「うん。父様決めてよ。」
「双子……かぁ。女の子だしな!よし、ゆきから一文字づつもらって、ゆゆとききはどうだ?」
「クロモ様にしたら、なかなか良いと思う!」
「父様、ありがとう。」
「よし、じゃあ、こっちの子が『ゆゆ』、こっちの子が『きき』だ。」

 また、パァっと光ってゆゆとききが少し大きくなったような気がした。
 2人とも産まれたての赤ちゃんとは思えないほどの美形だ。源は今から変な虫がつかないようにしないとな!とぶつぶつ言っていた。

 そう言えばクロモ様も、ゆきが産まれた時に、嫁にはやらん!とか言ってたなぁ~。

 桃は思い出して1人でクスッと笑っていた。義理とは言え、親子で良く似ている。

 もぅ少しの間ゆきはここに残り源は村に帰って、ゆき達を迎える準備をするそうだ。
 クロモも、源と村に行きベビーベットなど子育てに必要な物を運んでくれる。

 花も時々つかまり立ちができるようになり、ベビーベットに寝ている、ゆゆとききを見てきゃっきゃっと笑って嬉しそうだ。
 もちろん桃は妊娠中。クロモは、見事に一度で妊娠する事に、何かの呪いか?と愚痴っていた。

 それから1週間ほどした頃、かなり早いが小梅が産気づいた。

 桃はゆき達と違い、ただの人間の小梅が心配で手を握ってずっと付き添う。
 やはり、ゆきより時間がかかりそうだし、痛みも強そうだ。

「おい、桃!これを食べさせてやれ。少しは楽になるんじゃないか?」
「クロモ様……。そうだね。ありがとう!!」
「く……黒蜘蛛…様……あり…がと……。」
「礼はいい!小梅、頑張るんだぞ!」
「……はぃ!」

 春太も小梅に付き添い、心配そうに手を握っている。

 桃が小梅に林檎のすりおろしを食べさせると、痛みが和らいだようでそこからは春太も外に出して、一気にお産が進んだ。

 小梅の出産は、30分もかかりとても心配したが、普通はもっともっと痛くて長くかかるものらしい。

 小梅は、元気な女の子を出産した。

「黒蜘蛛様、名前をつけてください。」
「そうだな。春太はどうだ?何か考えてあるのか?」
「いや、僕も父様につけてもらいたいな。」
「うーん、そうだなぁ。2人から名前をもらって『小春』にしよう。」
「わぁ~、素敵!!小春ちゃん、よろしくね!」

 春太と小梅と小春は、もうしばらくここで子育てをしてから村に戻ることになった。

 ゆきは文句を言いながらも、源の待つ村に帰り、源の両親から大歓迎されていた。
 村一番の美人姉妹だと、あちこちに自慢しに行き、クロモに感謝して蜘蛛の形の木彫りを神棚に飾り、毎日毎日手を合わせた。
 その信仰心のおかげか、クロモの神力が少しづつ増えていき、桜が満開の頃には村の人達が少しだけ若返り、源の母親も妊娠。接吻を教えてくれたお姉さんも3人目を妊娠。ゆきも妊娠とおめでたラッシュになった。
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