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48 山吹となつめ
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ある日、クロとサクラがクロモにお願いがあると言い出した。
「頼むから、眷族増やそうよ!」
「家事に子守りに手が足りないのです。」
「そうだよなぁ~。村の家や畑の事もあるし、よし、お前達の親に名前をつけて人間の姿になってもらおう。」
早速、2羽を呼んで事情を説明して名前をつける。
「よし、お前は『山吹』で、お前は『なつめ』だ!」
神力を少し注ぎ名前をつけると、30歳くらいの男と女に姿が変わった。
「私は、山吹。これからよろしくお願いします。」
「私は、なつめ。桃様、お子様のお世話はお任せください。」
「ぅわー、助かる。よろしくね!」
山吹となつめは村の家に住む事になった。
時々、つゆ子達も村に泊まりに行って、畑仕事や、村の事を学ぶらしい。15歳になると村の家に子ども達が暮らすようになるし、2人がいてくれるのは、とても助かった。
クロモが2人を送って行き、鶏も半分ほど引き連れていってくれた。
村を少し広げようと言う事になり、春になったら木を切って山の斜面は段々畑にして果物の木を植えたり、畑や田んぼを作る事になった。
今でも十分に土地は余っているし、広げる必要はないかもしれないが人が増えるこれからの事を考えて広げようと言う事になった。
新しい家も数軒建ててあり、今は使われていないが、桃の子ども達が住む事になるだろう。成長も早いから案外早く住む事になるかもしれない。
村も山も雪が積もり、家の外に出るのも大変になってきた。
今年は、特に雪がよく降る。桃のおかげで畑などは雪があっても、野菜達は雪の中で立派に育っている。
毎年冬は食べる物も少なく、家の中でじっと寒さに耐えて過ごしていたが、今年はクロモのおかげで機織りをしたり、編み物をしたり、服を縫ったりと女の人は忙しい。
男は、雪掻きをして畑まで行き、野菜の収穫をしたり、温泉までの雪掻きなど、する事は沢山あった。
温泉の湯を使って少しは雪が積もらない場所も出来ているが、鶏のたまり場になっていて、そこで卵を温めてヒヨコを増やしたりしている。
村に湧いた温泉は、温度がかなり高く、その湯を利用してゆで卵を作ったり、蒸し饅頭を作ったりしている。
クロモは、今日も村に来て雪掻きの手伝いや、織物に必要な糸を運んでいた。
春太の家に行くと、小梅がそわそわしながら話しかけてきた。
「あの……お義父様……、私、妊娠しました!」
「えっ?……えぇ??いや、おい!!春太!!小梅はまだ14歳だぞ!!」
「いやぁー、僕も待とうと思ったんだけどさ……林檎を食べてもらって、もしかしたら?と思ったらやっぱりしっかりと成長してくれたんだよ。だから、問題ないよ!」
「……………お前なぁ………。」
「まぁ父様の子だからね、仕方ないよね!」
「……何も言えん。桃に伝えておくな。」
「はい。あの、手紙を書いたので姉さんに届けてもらえませんか?」
「あぁ、もちろん。蜘蛛を通してくれたらいつでも来るし、桃に会いたければ俺の家に来てもいいぞ!」
「………あの………あの、春太さん。私、初めての妊娠だし、姉さんと一緒にいたいんだけど……ダメ?」
「……うーん、じゃあ冬の間父様と母様の家に居てもいいかな?」
「あぁ問題ないぞ!」
「ちょっと待ってて!」
そう言うと、外に飛び出して行き、しばらくしてゆきも荷物を抱えて一緒にやってきた。
「父様、私も実家で出産したいので、産まれるまで実家に帰ります。良いでしょ?」
「あ、あぁ、かまわないが……。」
「ゆ、ゆきーーーー!!!!待ってくれ!!俺が、俺が嫌いになったのか??」
「あら、源!好きとか嫌いじゃなくて私は実家でゆっくりしたいの!!里帰り出産ってやつよ!」
「そ、そんなぁ~。俺も連れて行ってくれよ……。」
「ダメ!!あなたは、ここでこの子のために準備があるでしょ!それに、畑の世話や鶏の世話を誰がするのよ!!」
「…………そんなぁ~。」
「あっ、じゃあ春太さんはここに残った方が……。」
「ん?小梅、心配ないよ。畑は山吹に頼んでおいたから。」
「そうか、じゃあ行こうか。………まぁ…その、源、留守を頼んだぞ。」
「……………はい。」
「頼むから、眷族増やそうよ!」
「家事に子守りに手が足りないのです。」
「そうだよなぁ~。村の家や畑の事もあるし、よし、お前達の親に名前をつけて人間の姿になってもらおう。」
早速、2羽を呼んで事情を説明して名前をつける。
「よし、お前は『山吹』で、お前は『なつめ』だ!」
神力を少し注ぎ名前をつけると、30歳くらいの男と女に姿が変わった。
「私は、山吹。これからよろしくお願いします。」
「私は、なつめ。桃様、お子様のお世話はお任せください。」
「ぅわー、助かる。よろしくね!」
山吹となつめは村の家に住む事になった。
時々、つゆ子達も村に泊まりに行って、畑仕事や、村の事を学ぶらしい。15歳になると村の家に子ども達が暮らすようになるし、2人がいてくれるのは、とても助かった。
クロモが2人を送って行き、鶏も半分ほど引き連れていってくれた。
村を少し広げようと言う事になり、春になったら木を切って山の斜面は段々畑にして果物の木を植えたり、畑や田んぼを作る事になった。
今でも十分に土地は余っているし、広げる必要はないかもしれないが人が増えるこれからの事を考えて広げようと言う事になった。
新しい家も数軒建ててあり、今は使われていないが、桃の子ども達が住む事になるだろう。成長も早いから案外早く住む事になるかもしれない。
村も山も雪が積もり、家の外に出るのも大変になってきた。
今年は、特に雪がよく降る。桃のおかげで畑などは雪があっても、野菜達は雪の中で立派に育っている。
毎年冬は食べる物も少なく、家の中でじっと寒さに耐えて過ごしていたが、今年はクロモのおかげで機織りをしたり、編み物をしたり、服を縫ったりと女の人は忙しい。
男は、雪掻きをして畑まで行き、野菜の収穫をしたり、温泉までの雪掻きなど、する事は沢山あった。
温泉の湯を使って少しは雪が積もらない場所も出来ているが、鶏のたまり場になっていて、そこで卵を温めてヒヨコを増やしたりしている。
村に湧いた温泉は、温度がかなり高く、その湯を利用してゆで卵を作ったり、蒸し饅頭を作ったりしている。
クロモは、今日も村に来て雪掻きの手伝いや、織物に必要な糸を運んでいた。
春太の家に行くと、小梅がそわそわしながら話しかけてきた。
「あの……お義父様……、私、妊娠しました!」
「えっ?……えぇ??いや、おい!!春太!!小梅はまだ14歳だぞ!!」
「いやぁー、僕も待とうと思ったんだけどさ……林檎を食べてもらって、もしかしたら?と思ったらやっぱりしっかりと成長してくれたんだよ。だから、問題ないよ!」
「……………お前なぁ………。」
「まぁ父様の子だからね、仕方ないよね!」
「……何も言えん。桃に伝えておくな。」
「はい。あの、手紙を書いたので姉さんに届けてもらえませんか?」
「あぁ、もちろん。蜘蛛を通してくれたらいつでも来るし、桃に会いたければ俺の家に来てもいいぞ!」
「………あの………あの、春太さん。私、初めての妊娠だし、姉さんと一緒にいたいんだけど……ダメ?」
「……うーん、じゃあ冬の間父様と母様の家に居てもいいかな?」
「あぁ問題ないぞ!」
「ちょっと待ってて!」
そう言うと、外に飛び出して行き、しばらくしてゆきも荷物を抱えて一緒にやってきた。
「父様、私も実家で出産したいので、産まれるまで実家に帰ります。良いでしょ?」
「あ、あぁ、かまわないが……。」
「ゆ、ゆきーーーー!!!!待ってくれ!!俺が、俺が嫌いになったのか??」
「あら、源!好きとか嫌いじゃなくて私は実家でゆっくりしたいの!!里帰り出産ってやつよ!」
「そ、そんなぁ~。俺も連れて行ってくれよ……。」
「ダメ!!あなたは、ここでこの子のために準備があるでしょ!それに、畑の世話や鶏の世話を誰がするのよ!!」
「…………そんなぁ~。」
「あっ、じゃあ春太さんはここに残った方が……。」
「ん?小梅、心配ないよ。畑は山吹に頼んでおいたから。」
「そうか、じゃあ行こうか。………まぁ…その、源、留守を頼んだぞ。」
「……………はい。」
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