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いよいよ嫁入りの前日になり、桃もクロモもゆきと春太との別れを涙を堪えて笑顔で祝った。
朝になり、クロモはまず荷物を何往復もしながら祠まで運んだ。次にゆきと春太、クロとサクラ、鶏達を運び、その次に、つゆ子達と桃は眠らせた状態で運んだ。
まだ昼前で、爺様達が来るまで時間があるからと、桃は祠の裏の方でまだ眠っているし、サクラとクロとが秋男の子守りをしたり鶏達を外に出したりしてくれている。
ゆきも春太も、蜘蛛の姿のクロモと一緒に祠の前で荷物を小分けにしたりと忙しくしていた。
いきなり、クロモの背後から人が飛び出してきて、そのまま刀で切り付けられる。
「も、桃の仇!!」
「……ぐ……………。」
「父様?」
クロモの大きな体で見えなかったが、振り返ったクロモの背中に大きな傷があった。
「父様!!大丈夫??父様!!」
「くそー!化け物め!!まだ生きているのか!!背中に隠しているのはお前の子か?化け物の子は、化け物だ!!覚悟しろ!!」
「や、やめろ!!」
「うるさい!!桃の……桃の仇だ!!化け物め!!」
ズズーーっと切り裂くような音がして、クロモは前に倒れた。
倒れたクロモの後ろからゆきと春太が真っ青になり、クロモに駆け寄る。
「お前!!何するんだ!!父様、しっかり!!」
「えっ……………、人…なんで……。」
「父様ーー!!クロ!!クロ助けて!!」
「母様の仇って、なんだよ!!父様は母様を大事にしてる!!」
「……う…………、桃を………呼ん………で………。」
「父様、喋らないで!!」
「………お、お前………。そーか、お前達も騙されて!!そいつは化け物だ!桃を食った化け物だ!!」
「何言ってるの!!母様は生きてるし、私は父様と母様の子よ!!」
サクラが桃を連れて走って来た。
「……………ク、クロモ様………、なんで?……えっ……源?嘘でしょ?」
「……桃?………桃生きて……え……。お、俺、桃が化け物に食われたと………だから、仇を………前に一度失敗……したから……だから今度こそ………って……。」
「……何言ってるの?クロモ様は山神様だよ!!村をずっと守ってくれてる神様なのに。……クロモ様………しっかりして!!」
クロが嫁入りの荷物から林檎を取り出してクロモに食べさせようとするが、口を開ける力も無さそうだ。
桃が林檎を齧り噛み砕き、蜘蛛の姿のクロモの口の中に押し込む、何度も何度も口から口へと林檎を入れるが飲み込めないのか、口の端から溢れてしまう。
「ねぇ、食べて!!クロモ様!!」
「父様………うっうっ………。」
「なんでこんな事!!許さない!!」
「………あ……………あぁ………。」
春太が怒りで、今にも源に殴りかかろうとした時、大きな大きな山犬が現れた。
「山犬様!!山犬様………クロモ………が………助けて……。」
「桃、大丈夫だ。必ず助けよう。人間……山神に対する反逆の行為……許される物ではないぞ!村は滅びると思え!!愚か者!!」
ちょーど、到着した爺様達が、山犬様の怒鳴り声を聞き、源のした事を知った。
山犬様がクロモと桃を運んでくれ、意識のないクロモに林檎をすりおろしを口の中に押し込んだ。
桃は、クロモを失うかもしれない恐怖で震える手を必死に動かして林檎をすった。
しばらくして、少しは飲み込めたのか、一口ゴクンと飲み込み、少しづつ傷が塞がっていく。
桃はホッとしてへたり込んでしまった。
1時間くらい経っただろうか、クロモが薄っすら目を開けた。
「クロモ様、大丈夫?分かる??」
「……あぁ……桃。」
「黒蜘蛛、まだ動くな。もう少し林檎を食べろ!俺の神力も使っているがかなりの傷だ。」
「山犬様……すみません。」
「いや、いい。しかし、村はどうなっているんだ!!お前の怪我をこの小さな蜘蛛が必死に知らせに来たから間に合ったが………もう少し遅ければ命も危なかった。」
「………あ……。山犬様、俺を祠まで連れて行ってください。源が……彼は、俺の大切な村人の1人です。」
「お前を殺そうとした奴だ!!どうなろうと放っておけ!!」
朝になり、クロモはまず荷物を何往復もしながら祠まで運んだ。次にゆきと春太、クロとサクラ、鶏達を運び、その次に、つゆ子達と桃は眠らせた状態で運んだ。
まだ昼前で、爺様達が来るまで時間があるからと、桃は祠の裏の方でまだ眠っているし、サクラとクロとが秋男の子守りをしたり鶏達を外に出したりしてくれている。
ゆきも春太も、蜘蛛の姿のクロモと一緒に祠の前で荷物を小分けにしたりと忙しくしていた。
いきなり、クロモの背後から人が飛び出してきて、そのまま刀で切り付けられる。
「も、桃の仇!!」
「……ぐ……………。」
「父様?」
クロモの大きな体で見えなかったが、振り返ったクロモの背中に大きな傷があった。
「父様!!大丈夫??父様!!」
「くそー!化け物め!!まだ生きているのか!!背中に隠しているのはお前の子か?化け物の子は、化け物だ!!覚悟しろ!!」
「や、やめろ!!」
「うるさい!!桃の……桃の仇だ!!化け物め!!」
ズズーーっと切り裂くような音がして、クロモは前に倒れた。
倒れたクロモの後ろからゆきと春太が真っ青になり、クロモに駆け寄る。
「お前!!何するんだ!!父様、しっかり!!」
「えっ……………、人…なんで……。」
「父様ーー!!クロ!!クロ助けて!!」
「母様の仇って、なんだよ!!父様は母様を大事にしてる!!」
「……う…………、桃を………呼ん………で………。」
「父様、喋らないで!!」
「………お、お前………。そーか、お前達も騙されて!!そいつは化け物だ!桃を食った化け物だ!!」
「何言ってるの!!母様は生きてるし、私は父様と母様の子よ!!」
サクラが桃を連れて走って来た。
「……………ク、クロモ様………、なんで?……えっ……源?嘘でしょ?」
「……桃?………桃生きて……え……。お、俺、桃が化け物に食われたと………だから、仇を………前に一度失敗……したから……だから今度こそ………って……。」
「……何言ってるの?クロモ様は山神様だよ!!村をずっと守ってくれてる神様なのに。……クロモ様………しっかりして!!」
クロが嫁入りの荷物から林檎を取り出してクロモに食べさせようとするが、口を開ける力も無さそうだ。
桃が林檎を齧り噛み砕き、蜘蛛の姿のクロモの口の中に押し込む、何度も何度も口から口へと林檎を入れるが飲み込めないのか、口の端から溢れてしまう。
「ねぇ、食べて!!クロモ様!!」
「父様………うっうっ………。」
「なんでこんな事!!許さない!!」
「………あ……………あぁ………。」
春太が怒りで、今にも源に殴りかかろうとした時、大きな大きな山犬が現れた。
「山犬様!!山犬様………クロモ………が………助けて……。」
「桃、大丈夫だ。必ず助けよう。人間……山神に対する反逆の行為……許される物ではないぞ!村は滅びると思え!!愚か者!!」
ちょーど、到着した爺様達が、山犬様の怒鳴り声を聞き、源のした事を知った。
山犬様がクロモと桃を運んでくれ、意識のないクロモに林檎をすりおろしを口の中に押し込んだ。
桃は、クロモを失うかもしれない恐怖で震える手を必死に動かして林檎をすった。
しばらくして、少しは飲み込めたのか、一口ゴクンと飲み込み、少しづつ傷が塞がっていく。
桃はホッとしてへたり込んでしまった。
1時間くらい経っただろうか、クロモが薄っすら目を開けた。
「クロモ様、大丈夫?分かる??」
「……あぁ……桃。」
「黒蜘蛛、まだ動くな。もう少し林檎を食べろ!俺の神力も使っているがかなりの傷だ。」
「山犬様……すみません。」
「いや、いい。しかし、村はどうなっているんだ!!お前の怪我をこの小さな蜘蛛が必死に知らせに来たから間に合ったが………もう少し遅ければ命も危なかった。」
「………あ……。山犬様、俺を祠まで連れて行ってください。源が……彼は、俺の大切な村人の1人です。」
「お前を殺そうとした奴だ!!どうなろうと放っておけ!!」
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