山神様への嫁入り

みーか

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38 ゆき

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「ほら見て!クロモ様。とっても可愛い。すんごく美人になるよ!!」
「本当だな。よく頑張ったな桃。」
「うーん、でも痛みもほとんどないし、これなら本当に毎日でも産めちゃうよ。」
「ほら、桃。乳を飲ませるのですよ。」
「あっ、そうか!!えっと、どうするの?」
「おい、クロ!お前は出て行け!!」
「えぇーー!!……はいはい、分かりました。」

 クロが出て行き、サクラも後片付けでバタバタしている中、ふゆが乳の飲ませ方を教えてくれる。赤ん坊が自分から乳を探して吸い始める。
 その間に、クロモはすりおろしていた林檎を桃に食べさせてくれた。
 
「黒蜘蛛様。桃を甘やかしすぎです。」
「そ、そうか?」
「父親になられたのですから、もっとどっしりと構えておけばいいのです。」
「あ、あぁ。」

 その後、オムツの替え方や服の着せ方などを本を見ながらクロモと2人でなんとかやってみる。
 まさかのベビーベットもすぐに必要になり、クロが頑張って組み立ててくれた。

 お腹が少し痛いかな?と思ってからわずか30分での出産。
 
 心なしか大きくなったようにも見える。

 「ねぇ、クロモ様!名前何にしようか?」
「そうだな、実は考えていたんだ。ゆきはどうだ?雪降ってるし、これからも子が増えるだろうから、名前も覚えやすくしようと思ってな。」
「ゆき、かぁ。うん、そうしよう。」
「お前は『ゆき』だぞ!」
「あぶ~!!」
「え?返事した??」
「いやいや、まさか……?」

 桃の布団の横にベビーベットを置いて、クロモも一緒に寝る事にした。

 3時間おきにゆきは泣いて、桃は眠気と戦いながら授乳をし、オムツ替えなどはクロモがしてくれる。
 
 次の日も、授乳はするが間隔が空いてきた。それに昨日よりも確実に大きくなっている。
 服もワンサイズ大きなのに着替えさせ、昼からも服のサイズを大きくした。
 その日の夜は朝までぐっすり寝てくれた。

 朝には首がすわり、よく笑うようになった。
 こんにちは赤ちゃん情報によると、どうやらゆきは、1日で普通の赤ちゃん1ヶ月くらい成長しているようだ。

 サクラやクロもゆきを可愛がってくれ、ゆきをおんぶしながら鶏の世話をしたり、ご飯を作ったり。
 その間に、桃は機織りをしながら歌った。

 山犬様がふゆを迎えに来て、成長の早さに驚いていた。
 
 ふゆには子育ての事や出産の事、嫁としての心構えなど沢山の事を教えてもらった。
 感謝の気持ちとして、お土産に、桃の織った反物を喧嘩にならないよう8反と林檎などの果物に野菜を沢山抱えて帰っていった。

 桃の歌の力なのか、本当なら冬には実らない桃や葡萄、梨に栗などがクロモの家の周りでは毎日実をつける。夏野菜も畑で採れる。トマトなんて真っ赤でとても美味しい。ゆきが産まれてから、さらに果物や野菜が大きく美味しくなった気がする。

 ゆきが産まれて10日、1人でお座りをして、離乳食を食べ乳離れした。

 クロモは、我慢我慢の日々がやっと終わり、これで思う存分桃とイチャイチャできる!!と張り切って、ゆきを寝かしつけてから、久しぶりに幸せな夜を過ごした。
 これからしばらく、桃との甘い生活が続くと思い、朝桃を起こしに行くと、グースカ寝たまま起きない。

 こ、これはゆきの時と同じじゃないかーー!!!

 なんて事だ!!まさかの一度で妊娠…………嬉しいけど泣きたい……。
 
 本来なら子が産まれるまで5か月と聞いていたが2か月だった。産まれてからもかなりのスピードで成長しているから、我慢期間は短いけど………。はぁ~。
 今まで嫁が居なかったから、このスピードなのかもしれない。仕方ないか。……切ない………。

 昼頃起きて、やはり妊娠中だろうと桃は喜んでいた。

 2人目は、小梅の相手だから男の子だろう。そして、ゆきと一緒に村に行く事になりそうだ。小梅と一年ほど一緒に生活してから結婚になるだろう。源は、時間がないからゆきとすぐ結婚する事になる。
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