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23 桃の歌
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織りながら歌っていたら、サクラも合わせて歌い出した。
それを聞いていたクロも一緒に歌い出して、さらには鶏達もコッココッとリズムを刻む。
片言の2羽も、コーケコーケと歌い出し、ヒヨコもピヨピヨと歌う。
すると織っていた布がキラキラと輝きだして、見たこともない淡い虹色になっている。
しかも、メスの鶏は卵をポンポンと産むし、ヒヨコの卵も2つ産んでくれた。
畑の方からは、風が歌うようにサラサラと音を立てて吹き、林檎や蜜柑の葉をサワサワと揺らす。それが歌にピッタリと合っていて、桃はとても温かい気持ちになり歌い続けた。
クロは歌いながら孵卵器に卵を入れに行き、夜の食事用に卵を回収。そのまま畑に出て芋掘りや玉葱の苗植えをしたり、水を撒いたりした。
サクラは、歌いながら乾いたタオルや桃の服を畳んだり、クロモが桃のために石の床の上に木の板をはって、足元が冷えないようにしてくれた床の雑巾がけをする。
床はピッカピカになり、天井まで明るく綺麗になっていた。
クロが持って来た林檎は、今までの林檎より一回り大きく赤い。
大根も、掘った芋もビックリするくらい立派だ。
さて、そろそろクロモが帰って来るから晩御飯の支度をしよう。
桃が炊事場に行くと、5歳くらいになったサクラと7歳くらいになったクロがいた。
「えっ?クロちゃんとサクラちゃんだよね?」
「桃ちゃん、どーしたの?」
「ちょっとこっちに来て!」
鏡を見せるとクロもサクラもビックリしていた。
自分では気付いてなかったようだ。
「桃様、これでお手伝いもしやすくなりました。桃様の歌が気持ち良くて、スーーっとした気持ちでしたが、まさか大きくなれるなんて。桃様、ありがとうございます。」
「見てよ!桃ちゃん。ほら、こんなに立派なじゃがいもとさつまいも。それにこの大根!」
「ぅわー、すごい!!美味しそうだね!」
「この林檎も凄いだろ!これも桃ちゃんの歌が気持ちいいからだと思う。」
「そう……かなぁ?あれ、家の中がすごく綺麗になってない?綺麗だし、明るくなったような気がする。」
「桃様と歌いながら掃除をしたら、家中が綺麗になりました。」
「へぇーー。これもクロモ様の力かなぁ?」
そんな事を話しながら桃達が晩御飯の支度をしていると、クロモが帰ってきた。
「なんだ?俺の家が綺麗になってる。」
「おかえりなさい。」
「あ、あぁ、ただいま。って、なんだ!!クロとサクラが大きくなってないか?」
「あるじ、桃ちゃん凄いんだ。桃ちゃんが機織りしながら歌い出すと僕達も楽しくなってきて、みんなで歌ったんだよ。」
「そうなのです、あるじ様。サクラ達と一緒に鶏達や風や草木も一緒になって歌い、家中がキラキラしたのです。」
「そうだ!これ見てクロモ様。歌いながら織ったら、こんなのになっちゃった。」
「え?」
「これもクロモ様の力でしょ?」
「いや、多分俺の力じゃなく嫁の力なんじゃないか?桃の力だと思うぞ。」
「そーなのかなぁ?ま、いいや。早くご飯食べよう。」
「そ、そーだな。」
「今日のじゃがいもの煮物、すっごい美味しい!!」
「お味噌汁もですわ。」
「桃、お前いったい何したんだよ。」
「ん?何もしてないよ。」
デザートに林檎も食べようという事になり、皮を剥いて食後のデザートにした。
「んんんんーーー!!すっごく甘い!」
「神力が増えていく。」
「うめーー!!」
「とっても美味しゅうございます!!」
食べ終えた桃は、また少し胸が大きくなった気がした。
クロとサクラはまた大きくなり、10歳と8歳くらいまで成長した。
夜の勉強をしていると、今日はプリンという物をクロモが持ってきてくれた。
甘くてプルプルで、とっても美味しかった。
気付いたら涙を流して変なポーズを取っていたけど、私、何してたんだろ?
クロとサクラの顔が引き攣っているように見えるけど、気のせいかな?
勉強は、今日から桃は新しいノートに数字の練習をして計算をする事になった。
ひらがなとカタカナは覚えたし、漢字もそこそこ読めるようになった。
クロモが絵日記帳を買ってきてくれ、色鉛筆を使って、その日あった出来事など絵に描いて、それを文章にも書く。文字の練習にもなるからと言われ、早速今日から書く事にした。
それを聞いていたクロも一緒に歌い出して、さらには鶏達もコッココッとリズムを刻む。
片言の2羽も、コーケコーケと歌い出し、ヒヨコもピヨピヨと歌う。
すると織っていた布がキラキラと輝きだして、見たこともない淡い虹色になっている。
しかも、メスの鶏は卵をポンポンと産むし、ヒヨコの卵も2つ産んでくれた。
畑の方からは、風が歌うようにサラサラと音を立てて吹き、林檎や蜜柑の葉をサワサワと揺らす。それが歌にピッタリと合っていて、桃はとても温かい気持ちになり歌い続けた。
クロは歌いながら孵卵器に卵を入れに行き、夜の食事用に卵を回収。そのまま畑に出て芋掘りや玉葱の苗植えをしたり、水を撒いたりした。
サクラは、歌いながら乾いたタオルや桃の服を畳んだり、クロモが桃のために石の床の上に木の板をはって、足元が冷えないようにしてくれた床の雑巾がけをする。
床はピッカピカになり、天井まで明るく綺麗になっていた。
クロが持って来た林檎は、今までの林檎より一回り大きく赤い。
大根も、掘った芋もビックリするくらい立派だ。
さて、そろそろクロモが帰って来るから晩御飯の支度をしよう。
桃が炊事場に行くと、5歳くらいになったサクラと7歳くらいになったクロがいた。
「えっ?クロちゃんとサクラちゃんだよね?」
「桃ちゃん、どーしたの?」
「ちょっとこっちに来て!」
鏡を見せるとクロもサクラもビックリしていた。
自分では気付いてなかったようだ。
「桃様、これでお手伝いもしやすくなりました。桃様の歌が気持ち良くて、スーーっとした気持ちでしたが、まさか大きくなれるなんて。桃様、ありがとうございます。」
「見てよ!桃ちゃん。ほら、こんなに立派なじゃがいもとさつまいも。それにこの大根!」
「ぅわー、すごい!!美味しそうだね!」
「この林檎も凄いだろ!これも桃ちゃんの歌が気持ちいいからだと思う。」
「そう……かなぁ?あれ、家の中がすごく綺麗になってない?綺麗だし、明るくなったような気がする。」
「桃様と歌いながら掃除をしたら、家中が綺麗になりました。」
「へぇーー。これもクロモ様の力かなぁ?」
そんな事を話しながら桃達が晩御飯の支度をしていると、クロモが帰ってきた。
「なんだ?俺の家が綺麗になってる。」
「おかえりなさい。」
「あ、あぁ、ただいま。って、なんだ!!クロとサクラが大きくなってないか?」
「あるじ、桃ちゃん凄いんだ。桃ちゃんが機織りしながら歌い出すと僕達も楽しくなってきて、みんなで歌ったんだよ。」
「そうなのです、あるじ様。サクラ達と一緒に鶏達や風や草木も一緒になって歌い、家中がキラキラしたのです。」
「そうだ!これ見てクロモ様。歌いながら織ったら、こんなのになっちゃった。」
「え?」
「これもクロモ様の力でしょ?」
「いや、多分俺の力じゃなく嫁の力なんじゃないか?桃の力だと思うぞ。」
「そーなのかなぁ?ま、いいや。早くご飯食べよう。」
「そ、そーだな。」
「今日のじゃがいもの煮物、すっごい美味しい!!」
「お味噌汁もですわ。」
「桃、お前いったい何したんだよ。」
「ん?何もしてないよ。」
デザートに林檎も食べようという事になり、皮を剥いて食後のデザートにした。
「んんんんーーー!!すっごく甘い!」
「神力が増えていく。」
「うめーー!!」
「とっても美味しゅうございます!!」
食べ終えた桃は、また少し胸が大きくなった気がした。
クロとサクラはまた大きくなり、10歳と8歳くらいまで成長した。
夜の勉強をしていると、今日はプリンという物をクロモが持ってきてくれた。
甘くてプルプルで、とっても美味しかった。
気付いたら涙を流して変なポーズを取っていたけど、私、何してたんだろ?
クロとサクラの顔が引き攣っているように見えるけど、気のせいかな?
勉強は、今日から桃は新しいノートに数字の練習をして計算をする事になった。
ひらがなとカタカナは覚えたし、漢字もそこそこ読めるようになった。
クロモが絵日記帳を買ってきてくれ、色鉛筆を使って、その日あった出来事など絵に描いて、それを文章にも書く。文字の練習にもなるからと言われ、早速今日から書く事にした。
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