山神様への嫁入り

みーか

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15 源の勘違い

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 朝ご飯を食べながら何があったか聞いたが教えてもらえなかった。
 ちょっとヘマしただけだ。と言ってたけど、昨日の傷は刃物で切られたように見えた。
 クロモは人を襲ったり傷付けたりは絶対しないのに、誰がこんな酷い事をしたのだろう?
 桃が考えこんでいると、クロモが話題を変えてきた。

「そうだ!!桃が織った布が高値で売れたぞ!綺麗な色使いだと褒めてくれていた。」
「本当??やったーー!!やっぱり才能あるんだ!!」
「あぁ、そうだな。次に町に行く時に桃のお小遣いにするからな。」
「お小遣い?」
「あぁえっと、桃が好きな物を手に入れられるように桃が自由に使えるお金をあげるって事だ。」
「そーなの??好きな物を選んでいいの??」
「いいぞ!桃が働いて貰ったお金だからな。桃が自由に使えばいい。」
「ぅわーーーーー!!楽しみだなぁ~。」
「そうだな。その代わりしっかりと町の事を覚えるんだぞ!!」
「もっちろんだよ!!」

 町の勉強は夜ご飯の後からになっているので、桃は洗濯などを済ませて卵を温めている湯たんぽの温度を確認したりして、褒められた機織りを頑張った。

 桃が夢中で機織りをしている頃、クロモは家から少し離れた所で蜘蛛の姿になっていた。
 やはり、人間の姿でいると神力を使ってしまうので蜘蛛の姿になり、怪我の回復に神力を使う。

 それにしても、昨日は酷い目にあった。

 町に出かけてまずは野菜や反物などを売りに行き、人目につかない所でお弁当を食べていた。
 昼からは桃が喜びそうな物を買いに行くのに、どの店を回ろうかなどと考えていたら、嫁入りの祠にいる蜘蛛から視界が送られてきた。

 あの源と言う男が、祠の近くで熊と遭遇してしまったようだ。

 クロモは大急ぎで弁当を片付けて、蜘蛛の姿で祠に急ぐ。

 クロモが駆けつけた時にはすでに熊が源に気付いてしまい、その鋭い爪で源に襲いかかろうとしている所だった。
 クロモは、熊と源の間に入って熊を睨みつける。熊は本能的にクロモに手を出したらダメだと悟り山に帰って行った。

 そこまでは良かったのだが、助けられた源は、クロモに向かって包丁を突き付けてきた。

「お、お前!桃をどこにやった!!このバケモノが!!」
「俺は山神だ。桃は俺の嫁だから俺の家にいる。」
「う、嘘だ!!桃を食ったんだろ!!桃を返せ、バケモノ!!」
「嘘じゃない。」
「こんな恐ろしい姿のバケモノが神様なわけない!!花嫁衣装もドロドロに汚れていた。桃を食ったんだ!!」
「いや、あれは桃がゲロを……」
「うるさい!!桃の仇だー!!」

 めちゃくちゃに包丁を振り回しながら近づいてきて、石につまづいて転びそうになり、危ないからクロモが助けようとした時にザックリと前足の付け根あたりに包丁が刺さってしまった。

「……くっ。」
「ざまぁみろ!バケモノめ、覚悟しろ!!」

 さらに刺さったままの包丁に力を入れて切り裂こうとしてきた。
 流石に源にこのまま殺される訳にはいかないので、桃の時にも使った神力で源を眠らせて村の近くまで運んだ。

 傷が深かく大きかったのと、神力を使って源を眠らせ村近くまで運んだ事で、神力を使い過ぎてしまい人間の姿にも戻れず、フラフラになりながらなんとか家まで辿り着いた。

 桃が嫌がるだろうし家に入らず、どうしようかと考えていたら桃が飛び出してきて蜘蛛の姿の体に飛び付いて心配してくれた。

 その後、俺の言葉で我に返って吐きそうにはなっていたが、蜘蛛の姿でも駆け付けてくれた事がとても嬉しかった。

 桃の作った晩御飯を食べて少し戻った神力で怪我を治そうとしたが、傷が深すぎた。
 桃が寝てから温泉にも浸かって一晩かけてかなり神力も戻り、傷も半分ほど癒えた。
 朝一番に桃に抱きつかれ少し傷が開いたが、桃から抱きついてきてくれた事が嬉しかった。

 張り切って朝食の用意をする桃が可愛くて仕方ない!!

 俺の嫁、最高~!!
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