10 / 90
10 観察日記
しおりを挟む
クロモは今日町に行き、桃の為にヘアブラシやヘアゴム、可愛いワンピース、だいたいのサイズでブラまで購入してきた。
桃と町に行って買い物出来ればいいが、町までは桃の足だと夜通し歩いて5日はかかる。
クロモ1人だと、蜘蛛の姿で糸を出して木から木へとビュンビュン移動できるから直線で進む事ができ1時間半ほどあれば、町へ行くことが出来る。
ただ蜘蛛の姿まま桃と出かける事ができないので、仕方なく1人で行った。いつかは桃と2人で町に行きたいな……とクロモは思いブラまで購入したのだ。
ただ、桃には服や可愛いヘアゴムより饅頭の方が嬉しかったようだが……。
はぁー、まだまだお子ちゃまだな。
バタン!
また風呂場から音がして、大急ぎで行ってみると、なんとか自力で起き上がった桃が全裸で立っていた。
「クロモ様、また入り過ぎてしまいました……。」
壁にもたれてなんとか立っている状態の桃を、今日買ってきたバスタオルで包み、抱き上げてベットまで運んだ。
「へへへ、饅頭の事考えてたら風呂から出るの忘れてた……。」
「はぁーーー。本当に、心配ばっかりかけやがって!!」
「ごめんなさい。」
「水飲めるか?」
「はい。」
クロモは、ドキドキを隠しながら水を取りに台所まで行く。
全く、毎日毎日……俺の自制心が崩壊しそうだ。
水をコップに入れて持って行くと、ゴクゴク飲み干して寝巻きを置いてきたからと起き上がって、またふらついて倒れそうになるのをクロモが支えた。
支えた場所が胸辺りだったので、クロモの頭の中がピンク色になりかけたが、なんとか踏みとどまった。
「俺が取ってくるから、待ってろ!」
「は、はい。」
深呼吸をしながら、パジャマを持って戻る。
「ほら、早く着替えないと風邪引くぞ!」
着替え終わった桃の髪の毛を土産のブラシで梳かしてやる。
「クロモ様、その櫛変わった形ですね。」
「これは、ブラシと言って櫛より髪が梳かしやすいだろ?」
「本当だ。」
「それと、これも土産だ。こうやって髪を束ねるのに使う。髪紐より束ねやすいだろ?」
「あっ、本当!それにズレてこない。可愛い飾りもついてるし、すごいです!!町って本当にすごい所なんですねぇ。饅頭もあんなに甘くて美味しかったし!」
桃の髪を梳かしながら、ふと気付く。あれ?桃はシャンプー使ってないのか?まだ来て数日だが、バシバシになっている。
「なぁ、桃。髪はどうやって洗っているんだ?」
「え?髪はここに来てから初めて洗いました。石鹸があったのでそれで洗ったけど……ダメだったんですか?」
「いや、ダメじゃない。俺が説明してなかったから……。明日の風呂は髪の洗い方を教えてやる。」
「はい。お願いします?」
よく分からないって顔の桃を見て、クスッと笑ってしまった。おでこにおやすみのキスをして自分の部屋に戻った。
あっぶなかったぁー!!毎日全裸を見せられるこっちの身にもなれよ~!!
はぁ~。
さて、ここからはクロモの時間だ。村のあちこちに住む同族の蜘蛛達と視界を共有して、村に変化がないか確かめる。畑仕事の時など少しの休憩時間にも見守っている。
他にもここら一帯の山の様子もしっかりチェックしている。
これが山神の仕事だ。
罠にかかった猪や鹿を捌きに行くのも、この時間にする。
桃がしっかりと寝てしまったのを確認してから、クロモは本来の姿に戻り、風呂に入って蜘蛛の体を覆う細かいふさふさの毛をシャンプーを使って丁寧に洗う。
それから温泉にゆっくり浸かってから、お風呂掃除をする。
掃除が終われば、もう一度桃の顔を見に行き、桃との生活で何が必要かなどを書き出したり、その日の桃の観察日記をこっそりと書いたりもしている。
実は桃の部屋にも蜘蛛の巣がありとても小さな蜘蛛が桃を見守ってくれている。家中に蜘蛛の巣があり、留守にしてても、何かあればすぐにクロモに伝わるようになっている。
桃が来る前は、村での出来事や立派な大根が出来たなどの日記をつけていたのだが、それプラス桃の観察日記が加わり恐ろしいスピードでページが埋められていく。
今度町に行ったら多めにノートを買おう……。
桃と町に行って買い物出来ればいいが、町までは桃の足だと夜通し歩いて5日はかかる。
クロモ1人だと、蜘蛛の姿で糸を出して木から木へとビュンビュン移動できるから直線で進む事ができ1時間半ほどあれば、町へ行くことが出来る。
ただ蜘蛛の姿まま桃と出かける事ができないので、仕方なく1人で行った。いつかは桃と2人で町に行きたいな……とクロモは思いブラまで購入したのだ。
ただ、桃には服や可愛いヘアゴムより饅頭の方が嬉しかったようだが……。
はぁー、まだまだお子ちゃまだな。
バタン!
また風呂場から音がして、大急ぎで行ってみると、なんとか自力で起き上がった桃が全裸で立っていた。
「クロモ様、また入り過ぎてしまいました……。」
壁にもたれてなんとか立っている状態の桃を、今日買ってきたバスタオルで包み、抱き上げてベットまで運んだ。
「へへへ、饅頭の事考えてたら風呂から出るの忘れてた……。」
「はぁーーー。本当に、心配ばっかりかけやがって!!」
「ごめんなさい。」
「水飲めるか?」
「はい。」
クロモは、ドキドキを隠しながら水を取りに台所まで行く。
全く、毎日毎日……俺の自制心が崩壊しそうだ。
水をコップに入れて持って行くと、ゴクゴク飲み干して寝巻きを置いてきたからと起き上がって、またふらついて倒れそうになるのをクロモが支えた。
支えた場所が胸辺りだったので、クロモの頭の中がピンク色になりかけたが、なんとか踏みとどまった。
「俺が取ってくるから、待ってろ!」
「は、はい。」
深呼吸をしながら、パジャマを持って戻る。
「ほら、早く着替えないと風邪引くぞ!」
着替え終わった桃の髪の毛を土産のブラシで梳かしてやる。
「クロモ様、その櫛変わった形ですね。」
「これは、ブラシと言って櫛より髪が梳かしやすいだろ?」
「本当だ。」
「それと、これも土産だ。こうやって髪を束ねるのに使う。髪紐より束ねやすいだろ?」
「あっ、本当!それにズレてこない。可愛い飾りもついてるし、すごいです!!町って本当にすごい所なんですねぇ。饅頭もあんなに甘くて美味しかったし!」
桃の髪を梳かしながら、ふと気付く。あれ?桃はシャンプー使ってないのか?まだ来て数日だが、バシバシになっている。
「なぁ、桃。髪はどうやって洗っているんだ?」
「え?髪はここに来てから初めて洗いました。石鹸があったのでそれで洗ったけど……ダメだったんですか?」
「いや、ダメじゃない。俺が説明してなかったから……。明日の風呂は髪の洗い方を教えてやる。」
「はい。お願いします?」
よく分からないって顔の桃を見て、クスッと笑ってしまった。おでこにおやすみのキスをして自分の部屋に戻った。
あっぶなかったぁー!!毎日全裸を見せられるこっちの身にもなれよ~!!
はぁ~。
さて、ここからはクロモの時間だ。村のあちこちに住む同族の蜘蛛達と視界を共有して、村に変化がないか確かめる。畑仕事の時など少しの休憩時間にも見守っている。
他にもここら一帯の山の様子もしっかりチェックしている。
これが山神の仕事だ。
罠にかかった猪や鹿を捌きに行くのも、この時間にする。
桃がしっかりと寝てしまったのを確認してから、クロモは本来の姿に戻り、風呂に入って蜘蛛の体を覆う細かいふさふさの毛をシャンプーを使って丁寧に洗う。
それから温泉にゆっくり浸かってから、お風呂掃除をする。
掃除が終われば、もう一度桃の顔を見に行き、桃との生活で何が必要かなどを書き出したり、その日の桃の観察日記をこっそりと書いたりもしている。
実は桃の部屋にも蜘蛛の巣がありとても小さな蜘蛛が桃を見守ってくれている。家中に蜘蛛の巣があり、留守にしてても、何かあればすぐにクロモに伝わるようになっている。
桃が来る前は、村での出来事や立派な大根が出来たなどの日記をつけていたのだが、それプラス桃の観察日記が加わり恐ろしいスピードでページが埋められていく。
今度町に行ったら多めにノートを買おう……。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
薪割りむすめと氷霜の狩人~夫婦で最強の魔法具職人目指します~
寺音
ファンタジー
狐系クール女子×くまさん系おおらか男子。
「旦那が狩って嫁が割る」
これは二人が最高の温かさを作る物語。
分厚い雪と氷に閉ざされた都市国家シャトゥカナル。極寒の地で人々の生活を支えているのが、魔物と呼ばれる異形たちの毛皮や牙、爪などから作られる魔法具である。魔物を狩り、魔法具を作るものたちは「職人」と呼ばれ、都市の外で村を作り生活していた。
シャトゥカナルに住む女性ライサは、体の弱い従妹の身代わりに職人たちが住む村スノダールへ嫁ぐよう命じられる。野蛮な人々の住む村として知られていたスノダール。決死の覚悟で嫁いだ彼女を待っていたのは……思わぬ歓待とのほほん素朴な旦那様だった。
こちらはカクヨムでも公開しております。
表紙イラストは、羽鳥さま(@Hatori_kakuyomu)に描いていただきました。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。


能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ぬらりひょんのぼんくら嫁〜虐げられし少女はハイカラ料理で福をよぶ〜
蒼真まこ
キャラ文芸
生贄の花嫁は、あやかしの総大将と出会い、本当の愛と生きていく喜びを知る─。
時は大正。
九桜院さちは、あやかしの総大将ぬらりひょんの元へ嫁ぐために生まれた。生贄の花嫁となるために。
幼い頃より実父と使用人に虐げられ、笑って耐えることしか知らぬさち。唯一の心のよりどころは姉の蓉子が優しくしてくれることだった。
「わたくしの代わりに、ぬらりひょん様に嫁いでくれるわね?」
疑うことを知らない無垢な娘は、ぬらりひょんの元へ嫁ぎ、驚きの言葉を発する。そのひとことが美しくも気難しい、ぬらりひょんの心をとらえてしまう。
ぬらりひょんに気に入られたさちは、得意の洋食を作り、ぬらりひょんやあやかしたちに喜ばれることとなっていく。
「こんなわたしでも、幸せを望んでも良いのですか?」
やがて生家である九桜院家に大きな秘密があることがわかり──。
不遇な少女が運命に立ち向い幸せになっていく、大正あやかし嫁入りファンタジー。
☆表紙絵は紗倉様に描いていただきました。作中に出てくる場面を元にした主人公のイメージイラストです。
※エブリスタと小説家になろうにも掲載しておりますが、こちらは改稿版となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる