5 / 90
5 失礼な嫁
しおりを挟む
皿洗いや、洗濯物をして待つように言われたので大人しく待っていたら、洗濯が終わる頃帰って来た。
「確かに若い男が来てた。ゲロまみれの白無垢見て腰を抜かしてたぞ。」
「………あの場所に白無垢置いて来たんだ……。」
「いや、あんなに汚れたのを触りたくなかったから。」
「……す、すみません。」
「その後、泣きながら帰って行った。」
「そぅ……ですか。」
「あっ、洗濯したのは今日は天気が良いからな。こっちに持って来てくれ!」
出て行ったのとは反対方向に進むと、そこにも扉があり外に繋がっていた。
背の低い草原になっていて、木から木に紐が結ばれていた。
そこに洗濯物を干して乾かすらしい。
クロモは、手慣れた様子で干していく。
少し歩いた所に畑があり、ここに野菜は取りに来たらいいと教えてくれた。
中に戻り、機織りの仕方を教えてもらう。クロモが草木を使って染めた綺麗な色の糸を織っていく。
「おぉ、思ったより上手じゃないか!」
「へへへ、そうですか?」
「ここは、もう少し力を入れて詰めないと穴が開くぞ。」
「こう……ですか?」
「そうだ。もう少し糸をピンと張るといい。」
「なるほど。」
「困った事があったら、畑にいるから呼びに来い。」
「はい。」
単純作業が好きな私は夢中で織っていたようで、外が暗くなり帰って来たクロモに晩御飯の催促をされるまで気付かなかった。
今夜は猪の肉で、鍋を作ってほしいと言われ、肉を料理するなんて初めての事で、ルンルンで料理した。野菜は、クロモが取ってきてくれていた。
こんなに沢山の肉を食べた事はなく、幸せな気分になりながら、クロモについ聞いてしまった。
「あの織ってる糸って、何の糸?」
「は?決まってるだろ、俺の」
「…うっ、、」
「ぅわ!!吐くな!!勿体ない!!」
「……んんん、………はぁはぁ、危なかった。」
「……お前なぁ、それくらいは我慢しろよ~。」
「……第一印象が最悪過ぎて……。」
「本当に失礼な奴だな!」
「……ごめんなさい。今の姿はカッコイイですよ。」
「ま、まぁな。俺はイケてるからな!!」
「はい。今は!カッコイイです。今は。」
「……なんか腹立つ。風呂入ってこい。桃の着替えは、ここにあるからな。」
「はい。」
着替えを持って、温泉に行く。パンツという腰巻きは毎日洗うのだそうだ。そして、寝る時と起きてからは違う着物を着るのだと教えてくれた。
寝る時用の服を持って温泉に行き、毎日温泉に入れる幸せを噛み締める。
元の姿さえなければ最高の嫁ぎ先だ!
温泉に浸かりながら、今日の事を振り返る。
洗濯物を干してあるのも忘れ、機織りに集中していたが、その辺りは全部クロモがしてくれていた。
良くしてくれてるし、もっとしっかり仕事しなきゃな!うん、明日からはもっと頑張ろう!!あっ、子作りの仕事って何だろう?それも仕事なら、しっかりやらなきゃ!!
そんな事を考えて、ずっと温泉に浸かり、そろそろ上がるかと湯船から出た所で、視界が歪んだ。
その後は全く記憶も無く、口の中に冷たい水が入ってきたのでゴクンと飲み込み、もっと飲みたくて口を開けると水が入ってきてゴクンとまた飲み込んだ。
はぁ、美味しい。
「ぃぎぃゃーーーーーー!!」
バチンっ!!
「いってーーーーー!!!」
目を開けたら、クロモの顔が私の顔にくっつくくらいドアップにあり、ビックリしすぎてクロモの頬を平手打ちしてしまったらしい。
「……あ、あの……クロモ様……ご、ごめんね。ビックリして……つい。」
「………湯に浸かりすぎてぶっ倒れた桃を、ここまで運んで水を飲ませた俺を叩くって……酷すぎる!!」
「ご、ごめんなさい。目を開けたらドアップのクロモ様が……。」
「思いっきり叩く事ないじゃないか!」
「叩こうと思った訳じゃなくて……勝手に手が動いて……。」
「ほー。勝手にねぇ。」
「確かに若い男が来てた。ゲロまみれの白無垢見て腰を抜かしてたぞ。」
「………あの場所に白無垢置いて来たんだ……。」
「いや、あんなに汚れたのを触りたくなかったから。」
「……す、すみません。」
「その後、泣きながら帰って行った。」
「そぅ……ですか。」
「あっ、洗濯したのは今日は天気が良いからな。こっちに持って来てくれ!」
出て行ったのとは反対方向に進むと、そこにも扉があり外に繋がっていた。
背の低い草原になっていて、木から木に紐が結ばれていた。
そこに洗濯物を干して乾かすらしい。
クロモは、手慣れた様子で干していく。
少し歩いた所に畑があり、ここに野菜は取りに来たらいいと教えてくれた。
中に戻り、機織りの仕方を教えてもらう。クロモが草木を使って染めた綺麗な色の糸を織っていく。
「おぉ、思ったより上手じゃないか!」
「へへへ、そうですか?」
「ここは、もう少し力を入れて詰めないと穴が開くぞ。」
「こう……ですか?」
「そうだ。もう少し糸をピンと張るといい。」
「なるほど。」
「困った事があったら、畑にいるから呼びに来い。」
「はい。」
単純作業が好きな私は夢中で織っていたようで、外が暗くなり帰って来たクロモに晩御飯の催促をされるまで気付かなかった。
今夜は猪の肉で、鍋を作ってほしいと言われ、肉を料理するなんて初めての事で、ルンルンで料理した。野菜は、クロモが取ってきてくれていた。
こんなに沢山の肉を食べた事はなく、幸せな気分になりながら、クロモについ聞いてしまった。
「あの織ってる糸って、何の糸?」
「は?決まってるだろ、俺の」
「…うっ、、」
「ぅわ!!吐くな!!勿体ない!!」
「……んんん、………はぁはぁ、危なかった。」
「……お前なぁ、それくらいは我慢しろよ~。」
「……第一印象が最悪過ぎて……。」
「本当に失礼な奴だな!」
「……ごめんなさい。今の姿はカッコイイですよ。」
「ま、まぁな。俺はイケてるからな!!」
「はい。今は!カッコイイです。今は。」
「……なんか腹立つ。風呂入ってこい。桃の着替えは、ここにあるからな。」
「はい。」
着替えを持って、温泉に行く。パンツという腰巻きは毎日洗うのだそうだ。そして、寝る時と起きてからは違う着物を着るのだと教えてくれた。
寝る時用の服を持って温泉に行き、毎日温泉に入れる幸せを噛み締める。
元の姿さえなければ最高の嫁ぎ先だ!
温泉に浸かりながら、今日の事を振り返る。
洗濯物を干してあるのも忘れ、機織りに集中していたが、その辺りは全部クロモがしてくれていた。
良くしてくれてるし、もっとしっかり仕事しなきゃな!うん、明日からはもっと頑張ろう!!あっ、子作りの仕事って何だろう?それも仕事なら、しっかりやらなきゃ!!
そんな事を考えて、ずっと温泉に浸かり、そろそろ上がるかと湯船から出た所で、視界が歪んだ。
その後は全く記憶も無く、口の中に冷たい水が入ってきたのでゴクンと飲み込み、もっと飲みたくて口を開けると水が入ってきてゴクンとまた飲み込んだ。
はぁ、美味しい。
「ぃぎぃゃーーーーーー!!」
バチンっ!!
「いってーーーーー!!!」
目を開けたら、クロモの顔が私の顔にくっつくくらいドアップにあり、ビックリしすぎてクロモの頬を平手打ちしてしまったらしい。
「……あ、あの……クロモ様……ご、ごめんね。ビックリして……つい。」
「………湯に浸かりすぎてぶっ倒れた桃を、ここまで運んで水を飲ませた俺を叩くって……酷すぎる!!」
「ご、ごめんなさい。目を開けたらドアップのクロモ様が……。」
「思いっきり叩く事ないじゃないか!」
「叩こうと思った訳じゃなくて……勝手に手が動いて……。」
「ほー。勝手にねぇ。」
2
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
薪割りむすめと氷霜の狩人~夫婦で最強の魔法具職人目指します~
寺音
ファンタジー
狐系クール女子×くまさん系おおらか男子。
「旦那が狩って嫁が割る」
これは二人が最高の温かさを作る物語。
分厚い雪と氷に閉ざされた都市国家シャトゥカナル。極寒の地で人々の生活を支えているのが、魔物と呼ばれる異形たちの毛皮や牙、爪などから作られる魔法具である。魔物を狩り、魔法具を作るものたちは「職人」と呼ばれ、都市の外で村を作り生活していた。
シャトゥカナルに住む女性ライサは、体の弱い従妹の身代わりに職人たちが住む村スノダールへ嫁ぐよう命じられる。野蛮な人々の住む村として知られていたスノダール。決死の覚悟で嫁いだ彼女を待っていたのは……思わぬ歓待とのほほん素朴な旦那様だった。
こちらはカクヨムでも公開しております。
表紙イラストは、羽鳥さま(@Hatori_kakuyomu)に描いていただきました。

社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる