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第三章 行方不明
第41話 ダンジョンで不思議に思うこと
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俺たちは、四階層の戦いに慣れてきた。
四階層の魔物レッサーツナは、動きが速く突進力が強い。
だが、レッサーツナの動き自体は直線的だ。
突っ込んできたレッサーツナを、俺が盾で弾く。
↓
レッサーツナが床に落ちる。
↓
アンとミレットがタコ殴り。
この戦い方で連戦連勝を続けている。
必勝パターンがわかれば、何ということもない!
ミレットは、魔法を使わなくても戦闘に参加出来るので喜んでいる。
魔法の杖を振り回しながら『死になさい!』なんて言っているミレットには、先ほどの甘い雰囲気の欠片もない。
(ふう、ダメダメ! 相手は、まだ子供だよ!)
そうなのだ。
俺は日本からの転生者。
前世では大人だった。
一方、ミレットは十三歳。
大人の俺が十三歳のミレットにトキメクなど、『事案発生!』である。
だが、現在の俺は異世界の少年でミレットと同じ十三歳。
母親であるサオリママに甘えることもある。
多分、精神が肉体に引っ張られているのだろう。
つまり、俺は名実共に十三歳で、ミレットとホニャララホニャララしてもセーフ?
ホニャララ♪
ホニャララ♪
ホニャララ♪
ホニャララ♪
頭の中がホニャララだらけになりながら、四階層の通路を走っていると、後ろからミレットが叫んだ。
「ユウト! 前!」
「え?」
イカン!集中していなかった。
前方にレッサーツナ!
俺が足を止めて盾を構えると同時にレッサーツナが空中を突進して来た。
俺はちょっと焦ったが、この階層で繰り返してきたパターン通りに行動する。
「セイッ!」
盾を横に動かし、突進して来たレッサーツナを受け流す。
レッサーツナは、突進した勢いのままダンジョンの壁にぶち当たり、壁に当たった衝撃で床に落ちた。
床に落ちるとビチビチと跳ねている。
まさに陸に上がったマグロ。
シメ時である。
「こんのぉ! マグロ野郎!」
「えい! えい! えい!」
アンがショートソードでレッサーツナの胴体を突き。
ミレットが、レッサーツナの頭部に魔法の杖を振り下ろす。
(マグロさんを許してあげて……。マグロでも許して……)
俺は女性に逆らってはダメだなと思いながら、タコ殴りにされるレッサーツナに心の中で手を合わせた。
(成仏しろよ! アディオス!)
俺はこの初心者ダンジョンのコンセプトが分かってきた。
一階層は、魔物との戦闘。
二階層は、人型魔物との戦闘、武器への対応。
三階層は、魔法を使った戦闘。
四階層は、盾を使った戦闘。
つまり色々な戦闘パターンをこなせる冒険者パーティーじゃないと、ダンジョン攻略が進まない。
(これは誰かが意図して作ったのだろうか? それとも偶然?)
俺はそんなことを考えながら、四階層の通路を走った。
というのもミレットを意識してしまうと、前のめりになった姿勢で無様に走ることになるからだ。
真面目なことを考えて邪念を振り払う。
もし、誰かが意図したとしたら?
何のために?
俺は走り、戦いながら思考を進める。
(いきなり強い魔物を配置したら? 例えばドラゴンとか?)
もしも、ダンジョンが何かの防衛施設であるとか、金庫のように大切な物を保管する施設とかであるなら、強力な魔物を配置するのが正解だろう。
だが、この初心者ダンジョンは違う。
まるでトレーニング施設のようだ。
(ダンジョンとは何なのだろう……?)
そんなことを考えながらも戦闘を続け、俺たちは五階層――最後の階層へ続く階段にたどり着いた。
四階層の魔物レッサーツナは、動きが速く突進力が強い。
だが、レッサーツナの動き自体は直線的だ。
突っ込んできたレッサーツナを、俺が盾で弾く。
↓
レッサーツナが床に落ちる。
↓
アンとミレットがタコ殴り。
この戦い方で連戦連勝を続けている。
必勝パターンがわかれば、何ということもない!
ミレットは、魔法を使わなくても戦闘に参加出来るので喜んでいる。
魔法の杖を振り回しながら『死になさい!』なんて言っているミレットには、先ほどの甘い雰囲気の欠片もない。
(ふう、ダメダメ! 相手は、まだ子供だよ!)
そうなのだ。
俺は日本からの転生者。
前世では大人だった。
一方、ミレットは十三歳。
大人の俺が十三歳のミレットにトキメクなど、『事案発生!』である。
だが、現在の俺は異世界の少年でミレットと同じ十三歳。
母親であるサオリママに甘えることもある。
多分、精神が肉体に引っ張られているのだろう。
つまり、俺は名実共に十三歳で、ミレットとホニャララホニャララしてもセーフ?
ホニャララ♪
ホニャララ♪
ホニャララ♪
ホニャララ♪
頭の中がホニャララだらけになりながら、四階層の通路を走っていると、後ろからミレットが叫んだ。
「ユウト! 前!」
「え?」
イカン!集中していなかった。
前方にレッサーツナ!
俺が足を止めて盾を構えると同時にレッサーツナが空中を突進して来た。
俺はちょっと焦ったが、この階層で繰り返してきたパターン通りに行動する。
「セイッ!」
盾を横に動かし、突進して来たレッサーツナを受け流す。
レッサーツナは、突進した勢いのままダンジョンの壁にぶち当たり、壁に当たった衝撃で床に落ちた。
床に落ちるとビチビチと跳ねている。
まさに陸に上がったマグロ。
シメ時である。
「こんのぉ! マグロ野郎!」
「えい! えい! えい!」
アンがショートソードでレッサーツナの胴体を突き。
ミレットが、レッサーツナの頭部に魔法の杖を振り下ろす。
(マグロさんを許してあげて……。マグロでも許して……)
俺は女性に逆らってはダメだなと思いながら、タコ殴りにされるレッサーツナに心の中で手を合わせた。
(成仏しろよ! アディオス!)
俺はこの初心者ダンジョンのコンセプトが分かってきた。
一階層は、魔物との戦闘。
二階層は、人型魔物との戦闘、武器への対応。
三階層は、魔法を使った戦闘。
四階層は、盾を使った戦闘。
つまり色々な戦闘パターンをこなせる冒険者パーティーじゃないと、ダンジョン攻略が進まない。
(これは誰かが意図して作ったのだろうか? それとも偶然?)
俺はそんなことを考えながら、四階層の通路を走った。
というのもミレットを意識してしまうと、前のめりになった姿勢で無様に走ることになるからだ。
真面目なことを考えて邪念を振り払う。
もし、誰かが意図したとしたら?
何のために?
俺は走り、戦いながら思考を進める。
(いきなり強い魔物を配置したら? 例えばドラゴンとか?)
もしも、ダンジョンが何かの防衛施設であるとか、金庫のように大切な物を保管する施設とかであるなら、強力な魔物を配置するのが正解だろう。
だが、この初心者ダンジョンは違う。
まるでトレーニング施設のようだ。
(ダンジョンとは何なのだろう……?)
そんなことを考えながらも戦闘を続け、俺たちは五階層――最後の階層へ続く階段にたどり着いた。
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