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ルドルのダンジョン編
第2話 1回目のガチャ!
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俺は、腕組みをして三つのガチャの前で考えていた。
・一か月の寿命と引き換えのブロンズガチャ。
・一年の寿命と引き換えのシルバーガチャ。
・十年の寿命と引き換えのゴールドガチャ。
そして、次の世界で俺の寿命は約五十年……。
ガチャを引けるのは三回。
どのガチャを引くか?
よし……。
「まず……ゴールドガチャ(寿命十年)を引く……」
「クフフフ! 寿命十年だよ? ほんとにイイの?」
「いい! ゴールドだ!」
「クフフフ! がんばって」
俺は、まずゴールドガチャ(寿命十年)を引く事にした。
なぜか?
カードは(初級)、(中級)、(上級)、(超)に分かれている。
ゴールドなら、(上級)。うまくすれば(超)!
レア度が高い。
仮に……、十年の人生をかけて勉強をしたとして、頭脳明晰(上級)になれるだろうか?
たぶん難しいだろう。
ならば寿命十年を犠牲にしても、ここはゴールドガチャで良いカードを引き当てた方が得なんじゃないか? と考えた。
俺はゴールドガチャの前に立った。
手元のコインから『十年』と書いてあるコインを握った。
手がブルブルと震えている。
当然だ。自分の寿命をかけたガチャだ。
だが……。
太く短く! 目指せ! 豊かな転生人生!
俺はゴールドガチャに、寿命十年のコインを投入した。
ガチャの機械がブルブルと震えだし、赤と黒の渦が俺の目の前に現れた。
渦の中には沢山のカードが舞っている。
ブワーン!
腹に響く不気味な音と共に、渦が消えた。
一枚のカードが俺の目の前に現れた。
だが、カードは真っ黒だ。
「クフフ、カードに触れれば、カードが開くよ」
俺はカードに触れてみた。
カードの中から赤い文字が浮き上がって来た。
ゴールドガチャカード:【ゴールド】
えっ?
ゴールド?
剣術(上級)とか魔法(上級)とかじゃないんだ?
そっちの方を期待していたけど……。
このカードは一体……。
「えっ? これどういう意味? もう一回ガチャが引けるの?」
「クフフ、違うよ」
「じゃあ……【ゴールド】だけに、お金持ちに生まれ変わるとか?」
「違うよ」
「じゃあ、どういうカードなんだ?」
「教えられないよ」
俺はカチンと来た。
「おい、悪魔。これ寿命十年分だよな? 【ゴールド】って、寿命十年分の価値があるのか?」
悪魔の方を見て俺は驚き、一瞬言葉を失ってしまった。
さっきまで、小さなぬいぐるみのような悪魔だったのに、今は子供サイズの悪魔になっている。
「おい……お前……さっきの悪魔なのか?」
「そうだよ」
「ちょっと前は、もっと小さかったよな」
「そうだよ。君がゴールドガチャを回してくれたから、五級悪魔から四級悪魔に出世したんだ」
「そ、そうか……」
なんか、良いのか?
悪魔を出世させてしまったみたいだぞ。
声もさっきまでは、おもちゃみたいな声だったけど、今は子供の声になってる。
いや、それより大事なのは、このカードだ。
ゴールドガチャカード:【ゴールド】
寿命十年分突っ込んで、この意味不明なカードはなんだ?
「それで、さっきの質問の答えは? 【ゴールド】に寿命十年分の価値はあるのか?」
「あるよ。ゴールドガチャのカードは、全て素晴らしいカードだよ」
「はずれはないのか?」
「ないよ」
「シルバーやブロンズのカードは、ゴールドガチャに入ってないのか?」
「ないよ」
「じゃあ、この【ゴールド】ってカードは役に立つんだな?」
「すごく役に立つよ」
そうなのか……。
む、確かにこのカード、縁取りが金色だな。
【ゴールド】……、何のカードだろう?
俺がカードとにらめっこしていると、悪魔は俺に何かチケットのような物を渡して来た。
「クフフ、これはゴールドガチャを買ってくれた特典だよ」
「特典?」
なんだこれ?
シルバーガチャ・チケット一回分
ブロンズガチャ・チケット一回分
おい……。
こういう商売ってどうなの?。
「クフフフ、お得だったでしょ?」
「このチケットで、シルバーとブロンズのガチャを回せるのか?」
「そうだよ」
「よし、早速、シルバーとブロンズのガチャをやろう」
すると俺の手元からチケットが霧のように消えた。
シルバーガチャとブロンズガチャが、不気味な音を鳴らして動き出した。
ブワーン!
同じようにカードの渦が二つ現れては消え、目の前に黒いカードが二枚現れた。
触ってみると文字が浮かび上がった。
シルバーガチャカード:【前世記憶】
ブロンズガチャカード:【ややイケメン】
なんかまた良くわからないカードが出たぞ。
【ややイケメン】はわかる。これは、まあアタリだよな。
【前世記憶】はなんだ?
「【前世記憶】ってなんだよ?」
「クフフ、これから生まれ変わるけど、君は記憶を残したまま生まれ変われるんだよ」
俺は腕を組んで、考え込んでしまった。
それってどうだ?
得なのか? 損なのか
「おい、悪魔。これシルバーガチャ、寿命一年分だよな? 【前世記憶】って、寿命一年分の価値があるのか?」
「あるんじゃないかな。だって生まれ変わって赤ん坊の時から、君の今の記憶があるんだよ」
「……それが何の得に?」
「人生の経験だよ。『あの時こうしていたら……』って考えた事はないかい?」
なるほど、それはそうかもしれない……。
五才の時に何をしたら良いか、十才の時に何をすれば良いか、と的確に判断が下せそうだ。
そうか! 人生をやり直すんだよな!
そう考えると、これはアタリなのかもしれない。
「クフフフ、喜んでるね。それがアタリかどうかは、君次第だよ」
まあ、確かに、次の人生をどう生きるかは、俺次第だからな。
次に生まれ変わる俺は、【前世記憶】を持っていて【ややイケメン】という事だ。
そして、ゴールドガチャ(寿命十年)を一回引いたから。
残りの寿命は四十年で、ガチャは残り二回引ける。
さて、どうするか……。
悩むな……。
なんか悪魔がニヤニヤ笑って話しかけて来た。
「クフフ、出世できたよ」
「ゴールドガチャが売れると出世できるのか?」
「そうだよ。だって寿命を十年かけてガチャを回す人なんて、なかなかいないからね」
そうか。悪魔の世界も営業成績次第か。
なかなか悪魔の世界も世知辛いようだ。
いや……、待てよ……。
今の会話にヒントが……。
『寿命を十年かける人なんて、なかなかいない』って言ったな。
「なあ、ゴールドガチャ(寿命十年)をやる人って少ないのか?」
「クフフ、まずいないね。だから五級悪魔は、いつまでたっても五級から抜け出せないのさ」
「ふーん。どの位の割合で、ゴールドガチャ(寿命十年)をやる人がいるんだ?」
「教えられないよ」
「……じゃあ、お前は何年くらいここで仕事をしてるんだ?」
「百年くらいかな」
「他に同じ仕事をやってる悪魔は何人いるんだ」
「たくさんいるよ」
ふむ……、百年たってやっと俺がゴールドガチャ(寿命十年)をやったのか。
ゴールドガチャに入っているカードを持っている人間は、次の世界では相当少ないだろうな。
ゴールドガチャのカードは超レアって事だ。ゴールドをやって良かった。
だが、待てよ、今の俺のカードは……。
【ゴールド】
【前世記憶】
【ややイケメン】
……ちょっと弱くないか?
今のままだと――
『【ややイケメン】が、【前世の記憶】を頼りに、上手く世渡りする転生人生。【ゴールド】は謎である』
――になってしまいそうだ。
声優大塚明夫の声で脳内再生されたが……うううん……。
折角の生まれ変わり、これで良いのか?
もうちょっとこう……インパクトのあるカードが欲しい。
……。
……。
……。
……。
もう一回ゴールドか?
……。
……。
……。
……。
ゴールドなのか?
……。
……。
……。
……。
ゴールド? いっちゃう?
……。
……。
……。
……。
「クフフフ、悩んでるね? 相談にのろうか?」
やばい、悪魔がささやき出した。
「クフ、何を悩んでいるのかな?」
「……もう、一回ゴールドをやるかどうか悩んでいる」
「おお! もう一回ゴールド引くの?」
「そうすると、生まれ変わった俺の寿命は三十年だよな?」
「だいたいそうだよ」
うーん、人生三十年はさすがに短くないか?
仮に二十才で結婚して、子供が十才の時に死ぬわけだろ?
人生設計としてどうなんだ?
「寿命は伸ばせるよ」
「だから、それはどうやるんだよ」
「教えられないよ」
「ぐぬぬ」
「クフフ、そうだね。人によってはそんな難しい方法ではないね」
あれ?
なんか悪魔がヒントくれた?
『そんな難しい方法ではない』?
「じゃあ、恋人を生贄にする、とかじゃない?」
「違うよ」
えっ?
じゃどうやるんだ?
「野菜を沢山食べるとか?」
「違うよ」
「健康食品?」
「違うよ」
「マムシ? ガラナ?」
「それは精力剤だよ」
ありとあらゆる思いつく事を質問してみたけど、生まれ変わった世界で寿命を延ばす方法はわからなかった。
「じゃあ、寿命を延ばす方法を知るのは、難しいのか?」
「そんな事ないよ」
おっ!
そうなのか?
悪魔の秘密とか、秘奥義とか、隠された謎とか、そういうのじゃないんだ。
「……じゃあ確認するぞ。『生まれ変わった世界で、寿命を延ばす方法を知るのは難しくない』、『寿命を延ばす方法は、人によっては、そんなに難しい方法ではない』これであってる?」
「クフフフ、あってるよ。君は沢山質問するね。こんなに質問する人は初めてだよ」
ふん。質問魔をなめるなよ。
生前の俺のあだ名は、ミスター・クエスチョンだったからな。
だが、これでわかってきた。
生まれ変わっても寿命を補充出来そうだ。
なら、あと二回のガチャをどうするか?
・ゴールドガチャ(寿命十年)二回
・ゴールドガチャ(寿命十年)一回+シルバーガチャ(寿命一年)
このどっちかだな。
ブロンズはみんなやってそうだし、レア度が低いから、この際無視しよう。
ゴールドガチャ(寿命十年)を二回にすると、残り寿命が二十年になってしまう。
これはさすがに不安だな。
二十才になるまでに、寿命を延ばす方法を知って実行しなかったら死ぬ。
すると、ゴールドガチャ(寿命十年)一回+シルバーガチャ(寿命一年)か?
これなら残り寿命が二十九年だな。
二十九年あれば、寿命を延ばす方法も……。
なんとかなりそうな気がする。
悪魔は相変わらずニヤニヤしている。
なんか期待のこもった目をしてやがるな。
「なあ、悪魔。もしも、俺がもう一回ゴールドガチャをやったら、サービスのチケットはまた貰えるのか?」
「シルバーとブロンズを一枚ずつあげるよ」
「そのカードは全部持っていけるのか? つまり三つから選べとか、後になってから言わないよな」
「ガチャから出たカードは、全部持って生まれ変われるよ。数に制限はないよ」
よし!
なら、ゴールドをもう一回引きたい。
シルバーとブロンズもオマケで付くし。
『ややイケメンが、うまく世渡りする人生』、じゃ、ちょっと地味だからな。
しかし、もう一声欲しい。
「なあ、悪魔。俺がまたゴールドガチャをやるとお前は出世するのか?」
「するよ。四級悪魔から三級悪魔になれるよ。大出世だよ」
「なら、なんかサービスしてくれよ」
「……」
悪魔は下を向いて考え出した。
目をつぶって、耳がピクピク動いている。
何だろう?
俺には聞こえない方法で、誰かと話しているのか?
「いいよ。サービスするよ。許可が下りたよ」
お! 言ってみるもんだな!
悪魔のサービス、ってのもなんか怖いけど。
「それで、何をサービスしてくれるんだ?」
「カードを一つオマケでつけてあげるよ」
「俺が選べるのか?」
「選べないよ」
「お前が選ぶのか?」
「そうだよ。ガチャが終わったら、全部のカードを見て良さそうなカードを一つ付けてあげるよ」
悪魔におまかせ! って事か……。
なんか怖いな。
「おい、なんか変なのじゃないだろうな? 【犯罪者(上級)】とかじゃないだろうな?」
「違うよ。良いのを選んで付けてあげるよ。それに、次の世界で悪人になるかどうかは、君次第だよ」
「そうなのか?」
「そうだよ。悪魔は次の世界に送り出すまでが仕事だよ。悪い人になるか、良い人になるかは、君次第だよ」
意外だ。
悪魔だから、悪人を送り出すのが仕事かと思っていた。
まあ、ちゃんとしたカードを一つオマケで付けてもらえそうだから儲けた。
「よし、じゃあ、確認するぞ。次も俺がゴールドガチャをやると……、
一 シルバーとブロンズガチャの無料チケットがついてくる。
二 悪魔がオマケで一つカードをプレゼントしてくれる。
三 生まれ変わる時にカードは全部持っていける。
で、間違いないか?」
「そうだよ」
よし!
ゴールドガチャを、もう一回やろう!
・一か月の寿命と引き換えのブロンズガチャ。
・一年の寿命と引き換えのシルバーガチャ。
・十年の寿命と引き換えのゴールドガチャ。
そして、次の世界で俺の寿命は約五十年……。
ガチャを引けるのは三回。
どのガチャを引くか?
よし……。
「まず……ゴールドガチャ(寿命十年)を引く……」
「クフフフ! 寿命十年だよ? ほんとにイイの?」
「いい! ゴールドだ!」
「クフフフ! がんばって」
俺は、まずゴールドガチャ(寿命十年)を引く事にした。
なぜか?
カードは(初級)、(中級)、(上級)、(超)に分かれている。
ゴールドなら、(上級)。うまくすれば(超)!
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当然だ。自分の寿命をかけたガチャだ。
だが……。
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渦の中には沢山のカードが舞っている。
ブワーン!
腹に響く不気味な音と共に、渦が消えた。
一枚のカードが俺の目の前に現れた。
だが、カードは真っ黒だ。
「クフフ、カードに触れれば、カードが開くよ」
俺はカードに触れてみた。
カードの中から赤い文字が浮き上がって来た。
ゴールドガチャカード:【ゴールド】
えっ?
ゴールド?
剣術(上級)とか魔法(上級)とかじゃないんだ?
そっちの方を期待していたけど……。
このカードは一体……。
「えっ? これどういう意味? もう一回ガチャが引けるの?」
「クフフ、違うよ」
「じゃあ……【ゴールド】だけに、お金持ちに生まれ変わるとか?」
「違うよ」
「じゃあ、どういうカードなんだ?」
「教えられないよ」
俺はカチンと来た。
「おい、悪魔。これ寿命十年分だよな? 【ゴールド】って、寿命十年分の価値があるのか?」
悪魔の方を見て俺は驚き、一瞬言葉を失ってしまった。
さっきまで、小さなぬいぐるみのような悪魔だったのに、今は子供サイズの悪魔になっている。
「おい……お前……さっきの悪魔なのか?」
「そうだよ」
「ちょっと前は、もっと小さかったよな」
「そうだよ。君がゴールドガチャを回してくれたから、五級悪魔から四級悪魔に出世したんだ」
「そ、そうか……」
なんか、良いのか?
悪魔を出世させてしまったみたいだぞ。
声もさっきまでは、おもちゃみたいな声だったけど、今は子供の声になってる。
いや、それより大事なのは、このカードだ。
ゴールドガチャカード:【ゴールド】
寿命十年分突っ込んで、この意味不明なカードはなんだ?
「それで、さっきの質問の答えは? 【ゴールド】に寿命十年分の価値はあるのか?」
「あるよ。ゴールドガチャのカードは、全て素晴らしいカードだよ」
「はずれはないのか?」
「ないよ」
「シルバーやブロンズのカードは、ゴールドガチャに入ってないのか?」
「ないよ」
「じゃあ、この【ゴールド】ってカードは役に立つんだな?」
「すごく役に立つよ」
そうなのか……。
む、確かにこのカード、縁取りが金色だな。
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【前世記憶】はなんだ?
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「クフフ、これから生まれ変わるけど、君は記憶を残したまま生まれ変われるんだよ」
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それってどうだ?
得なのか? 損なのか
「おい、悪魔。これシルバーガチャ、寿命一年分だよな? 【前世記憶】って、寿命一年分の価値があるのか?」
「あるんじゃないかな。だって生まれ変わって赤ん坊の時から、君の今の記憶があるんだよ」
「……それが何の得に?」
「人生の経験だよ。『あの時こうしていたら……』って考えた事はないかい?」
なるほど、それはそうかもしれない……。
五才の時に何をしたら良いか、十才の時に何をすれば良いか、と的確に判断が下せそうだ。
そうか! 人生をやり直すんだよな!
そう考えると、これはアタリなのかもしれない。
「クフフフ、喜んでるね。それがアタリかどうかは、君次第だよ」
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そして、ゴールドガチャ(寿命十年)を一回引いたから。
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さて、どうするか……。
悩むな……。
なんか悪魔がニヤニヤ笑って話しかけて来た。
「クフフ、出世できたよ」
「ゴールドガチャが売れると出世できるのか?」
「そうだよ。だって寿命を十年かけてガチャを回す人なんて、なかなかいないからね」
そうか。悪魔の世界も営業成績次第か。
なかなか悪魔の世界も世知辛いようだ。
いや……、待てよ……。
今の会話にヒントが……。
『寿命を十年かける人なんて、なかなかいない』って言ったな。
「なあ、ゴールドガチャ(寿命十年)をやる人って少ないのか?」
「クフフ、まずいないね。だから五級悪魔は、いつまでたっても五級から抜け出せないのさ」
「ふーん。どの位の割合で、ゴールドガチャ(寿命十年)をやる人がいるんだ?」
「教えられないよ」
「……じゃあ、お前は何年くらいここで仕事をしてるんだ?」
「百年くらいかな」
「他に同じ仕事をやってる悪魔は何人いるんだ」
「たくさんいるよ」
ふむ……、百年たってやっと俺がゴールドガチャ(寿命十年)をやったのか。
ゴールドガチャに入っているカードを持っている人間は、次の世界では相当少ないだろうな。
ゴールドガチャのカードは超レアって事だ。ゴールドをやって良かった。
だが、待てよ、今の俺のカードは……。
【ゴールド】
【前世記憶】
【ややイケメン】
……ちょっと弱くないか?
今のままだと――
『【ややイケメン】が、【前世の記憶】を頼りに、上手く世渡りする転生人生。【ゴールド】は謎である』
――になってしまいそうだ。
声優大塚明夫の声で脳内再生されたが……うううん……。
折角の生まれ変わり、これで良いのか?
もうちょっとこう……インパクトのあるカードが欲しい。
……。
……。
……。
……。
もう一回ゴールドか?
……。
……。
……。
……。
ゴールドなのか?
……。
……。
……。
……。
ゴールド? いっちゃう?
……。
……。
……。
……。
「クフフフ、悩んでるね? 相談にのろうか?」
やばい、悪魔がささやき出した。
「クフ、何を悩んでいるのかな?」
「……もう、一回ゴールドをやるかどうか悩んでいる」
「おお! もう一回ゴールド引くの?」
「そうすると、生まれ変わった俺の寿命は三十年だよな?」
「だいたいそうだよ」
うーん、人生三十年はさすがに短くないか?
仮に二十才で結婚して、子供が十才の時に死ぬわけだろ?
人生設計としてどうなんだ?
「寿命は伸ばせるよ」
「だから、それはどうやるんだよ」
「教えられないよ」
「ぐぬぬ」
「クフフ、そうだね。人によってはそんな難しい方法ではないね」
あれ?
なんか悪魔がヒントくれた?
『そんな難しい方法ではない』?
「じゃあ、恋人を生贄にする、とかじゃない?」
「違うよ」
えっ?
じゃどうやるんだ?
「野菜を沢山食べるとか?」
「違うよ」
「健康食品?」
「違うよ」
「マムシ? ガラナ?」
「それは精力剤だよ」
ありとあらゆる思いつく事を質問してみたけど、生まれ変わった世界で寿命を延ばす方法はわからなかった。
「じゃあ、寿命を延ばす方法を知るのは、難しいのか?」
「そんな事ないよ」
おっ!
そうなのか?
悪魔の秘密とか、秘奥義とか、隠された謎とか、そういうのじゃないんだ。
「……じゃあ確認するぞ。『生まれ変わった世界で、寿命を延ばす方法を知るのは難しくない』、『寿命を延ばす方法は、人によっては、そんなに難しい方法ではない』これであってる?」
「クフフフ、あってるよ。君は沢山質問するね。こんなに質問する人は初めてだよ」
ふん。質問魔をなめるなよ。
生前の俺のあだ名は、ミスター・クエスチョンだったからな。
だが、これでわかってきた。
生まれ変わっても寿命を補充出来そうだ。
なら、あと二回のガチャをどうするか?
・ゴールドガチャ(寿命十年)二回
・ゴールドガチャ(寿命十年)一回+シルバーガチャ(寿命一年)
このどっちかだな。
ブロンズはみんなやってそうだし、レア度が低いから、この際無視しよう。
ゴールドガチャ(寿命十年)を二回にすると、残り寿命が二十年になってしまう。
これはさすがに不安だな。
二十才になるまでに、寿命を延ばす方法を知って実行しなかったら死ぬ。
すると、ゴールドガチャ(寿命十年)一回+シルバーガチャ(寿命一年)か?
これなら残り寿命が二十九年だな。
二十九年あれば、寿命を延ばす方法も……。
なんとかなりそうな気がする。
悪魔は相変わらずニヤニヤしている。
なんか期待のこもった目をしてやがるな。
「なあ、悪魔。もしも、俺がもう一回ゴールドガチャをやったら、サービスのチケットはまた貰えるのか?」
「シルバーとブロンズを一枚ずつあげるよ」
「そのカードは全部持っていけるのか? つまり三つから選べとか、後になってから言わないよな」
「ガチャから出たカードは、全部持って生まれ変われるよ。数に制限はないよ」
よし!
なら、ゴールドをもう一回引きたい。
シルバーとブロンズもオマケで付くし。
『ややイケメンが、うまく世渡りする人生』、じゃ、ちょっと地味だからな。
しかし、もう一声欲しい。
「なあ、悪魔。俺がまたゴールドガチャをやるとお前は出世するのか?」
「するよ。四級悪魔から三級悪魔になれるよ。大出世だよ」
「なら、なんかサービスしてくれよ」
「……」
悪魔は下を向いて考え出した。
目をつぶって、耳がピクピク動いている。
何だろう?
俺には聞こえない方法で、誰かと話しているのか?
「いいよ。サービスするよ。許可が下りたよ」
お! 言ってみるもんだな!
悪魔のサービス、ってのもなんか怖いけど。
「それで、何をサービスしてくれるんだ?」
「カードを一つオマケでつけてあげるよ」
「俺が選べるのか?」
「選べないよ」
「お前が選ぶのか?」
「そうだよ。ガチャが終わったら、全部のカードを見て良さそうなカードを一つ付けてあげるよ」
悪魔におまかせ! って事か……。
なんか怖いな。
「おい、なんか変なのじゃないだろうな? 【犯罪者(上級)】とかじゃないだろうな?」
「違うよ。良いのを選んで付けてあげるよ。それに、次の世界で悪人になるかどうかは、君次第だよ」
「そうなのか?」
「そうだよ。悪魔は次の世界に送り出すまでが仕事だよ。悪い人になるか、良い人になるかは、君次第だよ」
意外だ。
悪魔だから、悪人を送り出すのが仕事かと思っていた。
まあ、ちゃんとしたカードを一つオマケで付けてもらえそうだから儲けた。
「よし、じゃあ、確認するぞ。次も俺がゴールドガチャをやると……、
一 シルバーとブロンズガチャの無料チケットがついてくる。
二 悪魔がオマケで一つカードをプレゼントしてくれる。
三 生まれ変わる時にカードは全部持っていける。
で、間違いないか?」
「そうだよ」
よし!
ゴールドガチャを、もう一回やろう!
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実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
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