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第十章 レッドアラート!
第287話 蒼天すでに死す
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俺は定時連絡のために、ギガランド旧王都郊外へ転移した。
今日は、ギガランド共産党を率いるフルシチョフへの謀略について報告を受ける予定だ。
じいが同行するのはわかるのだが、なぜか黒丸師匠がついてきた。
「きっとルーナが何かやっているのである!」
それだ!
ルーナ先生がエルキュール族の工作員に協力しているのだ。
きっと何かが起こる!
それも、とびきりロクでもないことに違いない。
転移して工作員から報告を受ける。
受ける……。
受けた……。
「ギャハハハ! それは傑作なのである! それがしも見たかったのである!」
黒丸師匠が大きな体をよじって爆笑をし、ルーナ先生がその時のフルシチョフのモノマネをする。
「違う! 違うのだあー!」
「ヒヒヒイイイ! ヒドイのである!」
ヒドイのは、アンタたちだよ!
まったく、どうして長命種はこうなのだろう?
長生きしすぎて、人生に退屈しまくっているのだ。
「最後は、オシッコドバドバー! ああああぁぁぁー!」
「失禁したのであるか! お漏らしであるな! こんどおしめを差し入れるのである!」
二人とも性根が腐っている。
そっとしておいてやれよ……。
俺とじいは、ドン引きしている。
それでも、ギガランドを支配する共産党幹部連中に不和の種をまくことに成功したのだ。
このシチュエーションは、有効に利用しなければならない。
俺は気を取り直して、心理作戦という名目の嫌がらせを続行する。
「えーと、じい。じゃあ、次の段取りは?」
「ゴホン! えーと、そうですな。フルシチョフの悪い噂を国中に広めましょう。さすれば、民心が離れて行きましょう」
「それで、頼む」
エルキュール族の工作員たちは、嬉々として散っていった。
こいつらも腐ってるな……。
*
ゴブリンと同衾し、次の日はオークと同衾したフルシチョフ。
部下たちの前で失禁したフルシチョフ。
これは、決して本人の望みではない。
だが、さらに本人が望まないことが起こった。
ロクでもない噂が、町から町へ、村から村へと流れてしまったのだ。
「えっ! ゴブリンと?」
「オークとか……、俺は絶対無理だな……」
「変態!」
もちろん、噂をばらまいたのは、エルキュール族の工作員である。
だが、途中からエルキュール族の工作員も予想しない方向へ噂が変質していった。
「いや……変態どころか、神をも恐れぬ所業だ……」
「そうか……! だから教会を弾圧しているのか!」
「フルシチョフに神罰を!」
やがて、ギガランド旧王都では、民衆によるデモが起こるようになった。
「魔物と交尾するな!」
「教会を守れ!」
「変態は出て行け!」
政治将校たちは、噂を打ち消そうとやっきになった。
「諸君! 妙な噂に惑わされてはいけない! 我々は崇高な使命を持ち、一致団結! 肩を組んで前へ前へと進もうではないか!」
政治将校たちの呼びかけは、民衆たちの罵声にかき消される。
やがて民衆たちの中から小さな女の子が進み出て、政治将校たちに質問した。
「ねえ、おじちゃん。交尾ってなーに? 魔物と交尾ってなーに?」
「いや……それは……」
「おじちゃんたちは、魔物と交尾したのぉ?」
「えっ!? いや、私はしていないよ!」
「フルシチョフさんは、したのぉ?」
「そ……それは……」
政治将校たちは、歯切れの悪い返事しか出来なかった。
歯切れの悪い返事は、民衆たちの不信を呼んだ。
「おい! 何か隠してるんじゃないか?」
「やっぱり魔物趣味なんだろう?」
「ふざけるな! この変態たち! 子供に触るな!」
「そうだ! 子供を守れ!」
既に民衆たちは、制御不能である。
そもそも、ギガランド人は『千年戦争』で、ミスル人と長く戦っていたので、ミスル人に不信感がある。
革命が起こって王様がいなくなったら、共産党から派遣されたミスル人中心の政治将校たちが国を仕切り始めたのだ。
――なんとなく、気に入らない。
ギガランド人たちが、そう思っていた所に、『フルシチョフ魔物愛好家疑惑』である。
燎原の火のごとく、民衆による抗議活動は広がっていった。
*
『ギガランドで民衆による抗議活動激化!』
俺は情報部からの報告を受け、ギガランド攻略を次の段階へ進めることにした。
グンマー連合王国南部にあるウーラの町へ転移し、ブンゴ隊長を呼び出す。
ブンゴ隊長は、相変わらず飄々として頼もしい。
「ブンゴ隊長! 出番だよ!」
「お任せッス!」
「砂漠の狐作戦発動!」
今日は、ギガランド共産党を率いるフルシチョフへの謀略について報告を受ける予定だ。
じいが同行するのはわかるのだが、なぜか黒丸師匠がついてきた。
「きっとルーナが何かやっているのである!」
それだ!
ルーナ先生がエルキュール族の工作員に協力しているのだ。
きっと何かが起こる!
それも、とびきりロクでもないことに違いない。
転移して工作員から報告を受ける。
受ける……。
受けた……。
「ギャハハハ! それは傑作なのである! それがしも見たかったのである!」
黒丸師匠が大きな体をよじって爆笑をし、ルーナ先生がその時のフルシチョフのモノマネをする。
「違う! 違うのだあー!」
「ヒヒヒイイイ! ヒドイのである!」
ヒドイのは、アンタたちだよ!
まったく、どうして長命種はこうなのだろう?
長生きしすぎて、人生に退屈しまくっているのだ。
「最後は、オシッコドバドバー! ああああぁぁぁー!」
「失禁したのであるか! お漏らしであるな! こんどおしめを差し入れるのである!」
二人とも性根が腐っている。
そっとしておいてやれよ……。
俺とじいは、ドン引きしている。
それでも、ギガランドを支配する共産党幹部連中に不和の種をまくことに成功したのだ。
このシチュエーションは、有効に利用しなければならない。
俺は気を取り直して、心理作戦という名目の嫌がらせを続行する。
「えーと、じい。じゃあ、次の段取りは?」
「ゴホン! えーと、そうですな。フルシチョフの悪い噂を国中に広めましょう。さすれば、民心が離れて行きましょう」
「それで、頼む」
エルキュール族の工作員たちは、嬉々として散っていった。
こいつらも腐ってるな……。
*
ゴブリンと同衾し、次の日はオークと同衾したフルシチョフ。
部下たちの前で失禁したフルシチョフ。
これは、決して本人の望みではない。
だが、さらに本人が望まないことが起こった。
ロクでもない噂が、町から町へ、村から村へと流れてしまったのだ。
「えっ! ゴブリンと?」
「オークとか……、俺は絶対無理だな……」
「変態!」
もちろん、噂をばらまいたのは、エルキュール族の工作員である。
だが、途中からエルキュール族の工作員も予想しない方向へ噂が変質していった。
「いや……変態どころか、神をも恐れぬ所業だ……」
「そうか……! だから教会を弾圧しているのか!」
「フルシチョフに神罰を!」
やがて、ギガランド旧王都では、民衆によるデモが起こるようになった。
「魔物と交尾するな!」
「教会を守れ!」
「変態は出て行け!」
政治将校たちは、噂を打ち消そうとやっきになった。
「諸君! 妙な噂に惑わされてはいけない! 我々は崇高な使命を持ち、一致団結! 肩を組んで前へ前へと進もうではないか!」
政治将校たちの呼びかけは、民衆たちの罵声にかき消される。
やがて民衆たちの中から小さな女の子が進み出て、政治将校たちに質問した。
「ねえ、おじちゃん。交尾ってなーに? 魔物と交尾ってなーに?」
「いや……それは……」
「おじちゃんたちは、魔物と交尾したのぉ?」
「えっ!? いや、私はしていないよ!」
「フルシチョフさんは、したのぉ?」
「そ……それは……」
政治将校たちは、歯切れの悪い返事しか出来なかった。
歯切れの悪い返事は、民衆たちの不信を呼んだ。
「おい! 何か隠してるんじゃないか?」
「やっぱり魔物趣味なんだろう?」
「ふざけるな! この変態たち! 子供に触るな!」
「そうだ! 子供を守れ!」
既に民衆たちは、制御不能である。
そもそも、ギガランド人は『千年戦争』で、ミスル人と長く戦っていたので、ミスル人に不信感がある。
革命が起こって王様がいなくなったら、共産党から派遣されたミスル人中心の政治将校たちが国を仕切り始めたのだ。
――なんとなく、気に入らない。
ギガランド人たちが、そう思っていた所に、『フルシチョフ魔物愛好家疑惑』である。
燎原の火のごとく、民衆による抗議活動は広がっていった。
*
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俺は情報部からの報告を受け、ギガランド攻略を次の段階へ進めることにした。
グンマー連合王国南部にあるウーラの町へ転移し、ブンゴ隊長を呼び出す。
ブンゴ隊長は、相変わらず飄々として頼もしい。
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