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第十章 レッドアラート!
第263話 スターリンの、スターリンによる、スターリンのための政治
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異世界のソビエト連邦中央委員会トップにして、共産党書記長ヨシフ・スターリン。
彼は、日本からの転生者である。
ヨシフマニアとでも呼ぶべき人物で、共産主義とスターリンを崇拝していた。
もちろん、スターリンだけでなく、歴史上活躍した共産主義同志の大ファンでもある。
夢は、自分がスターリンになること。
その夢は、今、かなった。
(次は、粛正だな……。対抗馬になりそうな連中を粛正し、独裁権を確立しよう)
スターリンは、戦争を起こすことで、密かに反対派を始末しようと決めた。
ヨシフ・スターリンは、革命運動のリーダーとして名が知れている。
しかし、年齢が十二才であるので、スターリンに従わない者もいた。
――スターリンの、スターリンによる、スターリンのための政治。
その為には、従順ならざる者を排除するのだ。
「同志スターリン! なぜ、ここで戦争なのです!」
「そうです! 王を倒し、貴族を追い出した! 今は内政に力をいれるべきでしょう!」
ソビエト連邦中央委員会では、戦争反対派の委員がスターリン(見た目子供)に詰め寄っていた。
スターリンは、中央の椅子に座り、ゆっくりと反論する。
「同志よ。地図を見て欲しい。西にあるマドロス王国は、我らの背後を脅かす存在だ。カタロニア地方、エウスコ地方、アラゴニア地方は、挟撃の危機にある」
スターリンは、マドロス王国から独立しソ連に加わった地方を指さしながら続ける。
「マドロス王国を攻め落とし、この地域の安全を確保せねばならない」
「それはわかりますが、グンマー連合王国を相手にすることはないでしょう?」
「マドロス王国は、グンマー連合王国に加入した。マドロス王国を攻めれば、必然的にグンマー連合王国全体と開戦だ。それに見たまえ! グンマー連合王国は、我がソビエト連邦と長く国境を接している。軍事、経済も強く、我が国の脅威なのだ!」
スターリンは、強い口調で説き伏せようとしたが、そこは子供。
反対派は、反論をした。
「いや、脅威なればこそ、お互いに国境を侵さず、平和に共存するべきでは?」
「私もそう思う! まずは和平! 内政に力を入れましょう!」
反対派に対して、スターリン支持者と戦争賛成派から罵声が浴びせられる。
「弱腰!」
「王政と共産主義は、共存できない!」
「王政に尻尾を振る敗北主義者!」
「総括しろ!」
中央委員会は、大激論となった。
スターリンは、しばらく議論の行方を見守った。
賛成派、反対派が、話し疲れてきたところで、妥協案を切り出した。
「それでは、こうしよう。反対派の同志諸君は、イタロスの切り崩しを行って欲しい」
「イタロスの?」
「そうだ。イタロスはグンマー連合王国に加入したが、元は商人が国を動かしていた。政治体制は、我がソビエトに近いのだ」
「ふむ……、王政でないのは評価できる」
「そこで、同志諸君がイタロスに赴き、説得を行ってもらいたい。イタロスがこちらへ寝返れば、我らの国力は増え、安全が高まる! 同志諸君らが成功すれば、戦争はやめよう」
「なるほど……よかろう! イタロスに行こう!」
「私も本当は、戦争などご免なのだ。同志諸君の活躍に期待する! インターナショナル万歳!」
「「「「インターナショナル万歳!」」」」
こうして反対派は、イタロスへ向け出発した。
しかし、彼らがイタロスに到着することはなかった。
イタロスに近い国境沿いで、スターリン直属の秘密警察NKVDによって密かに殺害されたのだ。
ソビエト連邦国内では、グンマー連合王国と戦闘になり死亡したと発表された。
(さて、大駒は始末できた。残る反対派は、グンマー連合王国との最前線に送り込もう。敵が処分してくれる)
中央委員会にいた政敵を排除したスターリンは、上機嫌でつぶやいた。
「死が全てを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」
問題は、解決した。
さあ、戦争を始めよう。
彼は、日本からの転生者である。
ヨシフマニアとでも呼ぶべき人物で、共産主義とスターリンを崇拝していた。
もちろん、スターリンだけでなく、歴史上活躍した共産主義同志の大ファンでもある。
夢は、自分がスターリンになること。
その夢は、今、かなった。
(次は、粛正だな……。対抗馬になりそうな連中を粛正し、独裁権を確立しよう)
スターリンは、戦争を起こすことで、密かに反対派を始末しようと決めた。
ヨシフ・スターリンは、革命運動のリーダーとして名が知れている。
しかし、年齢が十二才であるので、スターリンに従わない者もいた。
――スターリンの、スターリンによる、スターリンのための政治。
その為には、従順ならざる者を排除するのだ。
「同志スターリン! なぜ、ここで戦争なのです!」
「そうです! 王を倒し、貴族を追い出した! 今は内政に力をいれるべきでしょう!」
ソビエト連邦中央委員会では、戦争反対派の委員がスターリン(見た目子供)に詰め寄っていた。
スターリンは、中央の椅子に座り、ゆっくりと反論する。
「同志よ。地図を見て欲しい。西にあるマドロス王国は、我らの背後を脅かす存在だ。カタロニア地方、エウスコ地方、アラゴニア地方は、挟撃の危機にある」
スターリンは、マドロス王国から独立しソ連に加わった地方を指さしながら続ける。
「マドロス王国を攻め落とし、この地域の安全を確保せねばならない」
「それはわかりますが、グンマー連合王国を相手にすることはないでしょう?」
「マドロス王国は、グンマー連合王国に加入した。マドロス王国を攻めれば、必然的にグンマー連合王国全体と開戦だ。それに見たまえ! グンマー連合王国は、我がソビエト連邦と長く国境を接している。軍事、経済も強く、我が国の脅威なのだ!」
スターリンは、強い口調で説き伏せようとしたが、そこは子供。
反対派は、反論をした。
「いや、脅威なればこそ、お互いに国境を侵さず、平和に共存するべきでは?」
「私もそう思う! まずは和平! 内政に力を入れましょう!」
反対派に対して、スターリン支持者と戦争賛成派から罵声が浴びせられる。
「弱腰!」
「王政と共産主義は、共存できない!」
「王政に尻尾を振る敗北主義者!」
「総括しろ!」
中央委員会は、大激論となった。
スターリンは、しばらく議論の行方を見守った。
賛成派、反対派が、話し疲れてきたところで、妥協案を切り出した。
「それでは、こうしよう。反対派の同志諸君は、イタロスの切り崩しを行って欲しい」
「イタロスの?」
「そうだ。イタロスはグンマー連合王国に加入したが、元は商人が国を動かしていた。政治体制は、我がソビエトに近いのだ」
「ふむ……、王政でないのは評価できる」
「そこで、同志諸君がイタロスに赴き、説得を行ってもらいたい。イタロスがこちらへ寝返れば、我らの国力は増え、安全が高まる! 同志諸君らが成功すれば、戦争はやめよう」
「なるほど……よかろう! イタロスに行こう!」
「私も本当は、戦争などご免なのだ。同志諸君の活躍に期待する! インターナショナル万歳!」
「「「「インターナショナル万歳!」」」」
こうして反対派は、イタロスへ向け出発した。
しかし、彼らがイタロスに到着することはなかった。
イタロスに近い国境沿いで、スターリン直属の秘密警察NKVDによって密かに殺害されたのだ。
ソビエト連邦国内では、グンマー連合王国と戦闘になり死亡したと発表された。
(さて、大駒は始末できた。残る反対派は、グンマー連合王国との最前線に送り込もう。敵が処分してくれる)
中央委員会にいた政敵を排除したスターリンは、上機嫌でつぶやいた。
「死が全てを解決する。人間が存在しなければ、問題も存在しないのだ」
問題は、解決した。
さあ、戦争を始めよう。
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