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第九章 グンマー連合王国
第223話 異世界スキル:お仕事丸投げ
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――グンマー連合王国の首都キャランフィールド。
スラム出身の冒険者ミディアムは、冒険者ギルドのホールで悪態をついた。
「チッ! まったく……黒丸の旦那は……。面倒な仕事を持ち込んでくれたな!」
ホールに置かれた丸テーブルには、黒丸からの手紙が広げられていた。
手紙の出だしには、こう書かれていた。
『悪党どもを、そちらに送ったのである。ミディアムが中心になって、彼らを鍛えるのである。再教育をして、使える人材に生まれ変わらせるのである』
――面倒な!
ミディアムは、心底うんざりした。
ミディアム自身がスラムのチンピラ上がりなので、悪党を更生させる難しさをよくわかっていたのだ。
ミディアムは、黒丸の手紙を続けて読もうとしたが、内容が難しく理解が出来なかった。
ミディアムの後ろに立つ仲間――冒険者パーティー『砂利石』のメンバーも黒丸からの手紙をのぞき見るが、よく意味がわからなかった。
彼らは、読み書きを習っている最中なので、難しい内容は分からないのだ。
「続きは……えーと……」
ミディアムが頭をひねっていると、隣に座るミシェル(冒険者パーティーエスカルゴのリーダー)が、文章の続きを要約して聞かせた。
「冒険者ギルドとして請け負った仕事だから、『砂利石』、『エスカルゴ』、『白夜の騎士』で協力して上手くやれとさ。他の冒険者パーティーを使っても良いと」
「上手くヤレって……。黒丸の旦那もいい加減だな!」
ミディアムは下顎を突き出し、黒丸の『お仕事丸投げ』に抗議する。
ミシェルは、ミディアムの言うことに同意し苦笑した。
「まあ、信頼してもらっていると考えよう。えーと……それから……。訓練が終わったら、適正に応じて兵士、文官、土木作業など仕事を振り分けるそうだ。ただし、五年間は無給か……。ちょっと気の毒かな……」
「ミシェルさん。そいつらは馬賊や盗賊だったんでしょ? なら、死罪にならないだけマシってモンですよ!」
「それもそうか。なら、遠慮は無用だな」
その後、白狼族のサラたち『白夜の騎士』も混ざり、ミディアムたちは、『逮捕した悪党たちをどう鍛えるか?』を打ち合わせた。
*
――翌日!
「走れ! 走れ! 走れー!」
翌日、ミディアムたちは、キャランフィールドの訓練場で、逮捕した悪党たちをしごき始めた。
ミディアムたちの方針はシンプルだ。
『何も考えられなくなるくらい運動させる』
ミディアム自身の経験上、疲れれば反抗する気力を失うし、筋肉痛で脱走も出来ない。
演台の上からにらみをきかせながら、ミディアムは独りごちる。
「初日はたっぷり走ってもらうぜ……。夜、ベッドに入ったら、速攻でオネンネって寸法よ!」
悪党たちは、訓練場の中を、ひたすらグルグルと走り回る。
悪党たちを先導するのは、白狼族のサラだ。
サラはかなりゆっくり走っているつもりだが、あくまで獣人基準だ。
走らされる悪党たちは、人族なのでサラのスピードについて行けず、皆アゴが上がり必死で走っている。
悪党たちの後ろから、サラのパーティーメンバーの白狼族が槍で武装し、走らない悪党の尻をつつく。
悪党たちは、合計二百五十人。
黒丸たちが逮捕者を増やせば、二百五十人から更に増える可能性がある。
ミディアムたち『砂利石』、ミシェルたち『エスカルゴ』、サラたち『白夜の騎士』だけでは、手が足りず、他の冒険者パーティーも二組配置していた。
教官役のミディアムたちの人数が悪党たちに対して少ないが、武装しているので、万一悪党たちに反乱されても制圧出来る自信がミディアムにはあった。
(ふむ……。意外と素直じゃねえか……。筋金入りのワルって訳じゃねえな。まあ、徴兵された農民や下級貴族が多いって話だからな……)
ミディアムは、じいことコーゼン伯爵から今朝聞いた話を思い出していた。
これなら『教育』は、難しくないかもしれない。
そんなことを考えていると、一部の悪党たちが反発しだした。
「いつまで走らせるんだ!」
一部の悪党は、訓練所に座り込み動こうとしない。
「やれやれ……出番だな……」
ミディアムは、のっそりと、座り込んだ悪党たちの元へ向かった。
スラム出身の冒険者ミディアムは、冒険者ギルドのホールで悪態をついた。
「チッ! まったく……黒丸の旦那は……。面倒な仕事を持ち込んでくれたな!」
ホールに置かれた丸テーブルには、黒丸からの手紙が広げられていた。
手紙の出だしには、こう書かれていた。
『悪党どもを、そちらに送ったのである。ミディアムが中心になって、彼らを鍛えるのである。再教育をして、使える人材に生まれ変わらせるのである』
――面倒な!
ミディアムは、心底うんざりした。
ミディアム自身がスラムのチンピラ上がりなので、悪党を更生させる難しさをよくわかっていたのだ。
ミディアムは、黒丸の手紙を続けて読もうとしたが、内容が難しく理解が出来なかった。
ミディアムの後ろに立つ仲間――冒険者パーティー『砂利石』のメンバーも黒丸からの手紙をのぞき見るが、よく意味がわからなかった。
彼らは、読み書きを習っている最中なので、難しい内容は分からないのだ。
「続きは……えーと……」
ミディアムが頭をひねっていると、隣に座るミシェル(冒険者パーティーエスカルゴのリーダー)が、文章の続きを要約して聞かせた。
「冒険者ギルドとして請け負った仕事だから、『砂利石』、『エスカルゴ』、『白夜の騎士』で協力して上手くやれとさ。他の冒険者パーティーを使っても良いと」
「上手くヤレって……。黒丸の旦那もいい加減だな!」
ミディアムは下顎を突き出し、黒丸の『お仕事丸投げ』に抗議する。
ミシェルは、ミディアムの言うことに同意し苦笑した。
「まあ、信頼してもらっていると考えよう。えーと……それから……。訓練が終わったら、適正に応じて兵士、文官、土木作業など仕事を振り分けるそうだ。ただし、五年間は無給か……。ちょっと気の毒かな……」
「ミシェルさん。そいつらは馬賊や盗賊だったんでしょ? なら、死罪にならないだけマシってモンですよ!」
「それもそうか。なら、遠慮は無用だな」
その後、白狼族のサラたち『白夜の騎士』も混ざり、ミディアムたちは、『逮捕した悪党たちをどう鍛えるか?』を打ち合わせた。
*
――翌日!
「走れ! 走れ! 走れー!」
翌日、ミディアムたちは、キャランフィールドの訓練場で、逮捕した悪党たちをしごき始めた。
ミディアムたちの方針はシンプルだ。
『何も考えられなくなるくらい運動させる』
ミディアム自身の経験上、疲れれば反抗する気力を失うし、筋肉痛で脱走も出来ない。
演台の上からにらみをきかせながら、ミディアムは独りごちる。
「初日はたっぷり走ってもらうぜ……。夜、ベッドに入ったら、速攻でオネンネって寸法よ!」
悪党たちは、訓練場の中を、ひたすらグルグルと走り回る。
悪党たちを先導するのは、白狼族のサラだ。
サラはかなりゆっくり走っているつもりだが、あくまで獣人基準だ。
走らされる悪党たちは、人族なのでサラのスピードについて行けず、皆アゴが上がり必死で走っている。
悪党たちの後ろから、サラのパーティーメンバーの白狼族が槍で武装し、走らない悪党の尻をつつく。
悪党たちは、合計二百五十人。
黒丸たちが逮捕者を増やせば、二百五十人から更に増える可能性がある。
ミディアムたち『砂利石』、ミシェルたち『エスカルゴ』、サラたち『白夜の騎士』だけでは、手が足りず、他の冒険者パーティーも二組配置していた。
教官役のミディアムたちの人数が悪党たちに対して少ないが、武装しているので、万一悪党たちに反乱されても制圧出来る自信がミディアムにはあった。
(ふむ……。意外と素直じゃねえか……。筋金入りのワルって訳じゃねえな。まあ、徴兵された農民や下級貴族が多いって話だからな……)
ミディアムは、じいことコーゼン伯爵から今朝聞いた話を思い出していた。
これなら『教育』は、難しくないかもしれない。
そんなことを考えていると、一部の悪党たちが反発しだした。
「いつまで走らせるんだ!」
一部の悪党は、訓練所に座り込み動こうとしない。
「やれやれ……出番だな……」
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