171 / 358
第八章 メロビクス戦争2
第171話 グンマー丸呑みの刑
しおりを挟む
ルーナ先生が吠えると同時に、グンマークロコダイル三匹――マエバシ、タカサキ、イセサッキが加速した。
「「「グアアア!」」」
そして、前方へきりもみジャンプ!
グンマークロコダイルがきりもみ回転しながら、敵陣を貫く!
「アターック!」
「うわあああ!」
「落ちる! 落ちるのである!」
俺と黒丸師匠が悲鳴を上げ、必死にマエバシ、タカサキにしがみつく。
周りでは、敵兵が跳ね飛ばされている。
俺は後悔した。
軽い気持ちで黒い三連星の話なんかするんじゃなかった!
回転が収まり、マエバシが地面に足をつく。
やっと終わった……。
「アターック!」
「「「グアアア!」」」
「またかよー!」
「止めるのである! 止めるのである!」
終わったと思ったら、再びのジェットストリームアタック!
イセサッキを中心にトライアングルフォーメーションで、ドリルと化した緑の三連星を誰も止められない。
回転する景色の中で俺は見た。
イセサッキが敵将を頭から丸呑みにするのを。
回転が終わり着地すると、敵兵は俺たちの周りから我先に逃げていった。
それよりも――。
「ルーナ先生! イセサッキが敵将を飲み込んじゃいましたよ!」
「問題ない。明日になれば出てくる」
出てくるって……。
それは胃腸で消化済みって事だよね?
それじゃ、誰だかわからないよ。
「いや、問題でしょう! イセサッキ! 吐き出して!」
「グエエエ!」
イセサッキが渋い顔で、敵将を吐き出した。
敵将はなんだか分からないドロドロした液体に包まれている。
「うわ! キモイ!」
「アンジェロ。キモイは、かわいそう」
ルーナ先生……原因は、あなたにあるのですよ!
さすがに敵将が気の毒に思えたので、水魔法で謎のドロドロした液体を洗い流して上げた。
「ブワッ! な、な、な、なんだ! 貴様らは!」
「なんだと言われても、フリージア王国軍です。あなたの敵です」
「フリージアだと? 貴様! 歴史的上位国である我がニアランド王国軍の将官に対して何たる非礼か!」
「「「……」」」
敵将は元気に怒りだした。
この敵に囲まれた状況で、グンマークロコダイルにパックリいかれた後で、よくそんな態度がとれるモノだ。
俺たち三人は呆れて、しばらく言葉が出なかった。
「メンタル強すぎであるな……」
「面白い。どれだけ強いか、試してみる。イセサッキ!」
「グアアア!」
「あっ……」
イセサッキが、敵将をパクリと丸呑みした。
「ムゴムゴムゴ! ム……ゴ……」
敵将はイセサッキの口の中で何かわめいていたが、やがて静かになった。
「死んだであるか?」
「死んだかな?」
「黒丸師匠もルーナ先生もヒドイですよ……」
まあ、敵将を倒すつもりで襲いかかったから結果は一緒だけど。
ルーナ先生が、生死確認を始めた。
「イセサッキ! 吐き出せ!」
「グエエエ!」
敵将がイセサッキから吐き出された。
さっきと同じように、ドロドロした液体まみれなので水魔法で洗い流す。
「き、貴様! 歴史的上位国であるううう――」
「貴殿、涙目であるぞ。さっきの勢いは、どうしたであるか?」
「マエバシ!」
「グアアア!」
「あっ……」
今度はマエバシが丸呑みをした。
「これは面白いのである! 何秒耐えられるか、研究するのである!」
「いーち、にーい、さーん、しー」
あーあ、ルーナ先生と黒丸師匠が、悪ノリし出してしまった。
あの敵将は、もう二人のおもちゃだ。
結局、イセサッキ、マエバシ、タカサキが交代で敵将を丸呑みしては、吐き出しを続けた。
敵将は徐々に憔悴し、二人はゲラゲラ笑う……。
「適当な所で捕虜にしてくださいね」
あまりにも敵将が可哀想に思えて、捕虜にして情報を吐かせることにした。
戦場では、既に勝負は決していた。
追撃するフリージア王国軍、逃げるニアランド王国軍。
「追い首を稼げ!」
「魚野郎を海に帰すな!」
「追撃だ! 追撃!」
特にアルドギスル兄上配下の部隊が熱心だ。
ずっと防衛戦だったので、たまっていた鬱憤を晴らしているのだろう。
敵将のことは、ルーナ先生と黒丸師匠に任せて、俺はアルドギスル兄上のもとへ向かった。
「「「グアアア!」」」
そして、前方へきりもみジャンプ!
グンマークロコダイルがきりもみ回転しながら、敵陣を貫く!
「アターック!」
「うわあああ!」
「落ちる! 落ちるのである!」
俺と黒丸師匠が悲鳴を上げ、必死にマエバシ、タカサキにしがみつく。
周りでは、敵兵が跳ね飛ばされている。
俺は後悔した。
軽い気持ちで黒い三連星の話なんかするんじゃなかった!
回転が収まり、マエバシが地面に足をつく。
やっと終わった……。
「アターック!」
「「「グアアア!」」」
「またかよー!」
「止めるのである! 止めるのである!」
終わったと思ったら、再びのジェットストリームアタック!
イセサッキを中心にトライアングルフォーメーションで、ドリルと化した緑の三連星を誰も止められない。
回転する景色の中で俺は見た。
イセサッキが敵将を頭から丸呑みにするのを。
回転が終わり着地すると、敵兵は俺たちの周りから我先に逃げていった。
それよりも――。
「ルーナ先生! イセサッキが敵将を飲み込んじゃいましたよ!」
「問題ない。明日になれば出てくる」
出てくるって……。
それは胃腸で消化済みって事だよね?
それじゃ、誰だかわからないよ。
「いや、問題でしょう! イセサッキ! 吐き出して!」
「グエエエ!」
イセサッキが渋い顔で、敵将を吐き出した。
敵将はなんだか分からないドロドロした液体に包まれている。
「うわ! キモイ!」
「アンジェロ。キモイは、かわいそう」
ルーナ先生……原因は、あなたにあるのですよ!
さすがに敵将が気の毒に思えたので、水魔法で謎のドロドロした液体を洗い流して上げた。
「ブワッ! な、な、な、なんだ! 貴様らは!」
「なんだと言われても、フリージア王国軍です。あなたの敵です」
「フリージアだと? 貴様! 歴史的上位国である我がニアランド王国軍の将官に対して何たる非礼か!」
「「「……」」」
敵将は元気に怒りだした。
この敵に囲まれた状況で、グンマークロコダイルにパックリいかれた後で、よくそんな態度がとれるモノだ。
俺たち三人は呆れて、しばらく言葉が出なかった。
「メンタル強すぎであるな……」
「面白い。どれだけ強いか、試してみる。イセサッキ!」
「グアアア!」
「あっ……」
イセサッキが、敵将をパクリと丸呑みした。
「ムゴムゴムゴ! ム……ゴ……」
敵将はイセサッキの口の中で何かわめいていたが、やがて静かになった。
「死んだであるか?」
「死んだかな?」
「黒丸師匠もルーナ先生もヒドイですよ……」
まあ、敵将を倒すつもりで襲いかかったから結果は一緒だけど。
ルーナ先生が、生死確認を始めた。
「イセサッキ! 吐き出せ!」
「グエエエ!」
敵将がイセサッキから吐き出された。
さっきと同じように、ドロドロした液体まみれなので水魔法で洗い流す。
「き、貴様! 歴史的上位国であるううう――」
「貴殿、涙目であるぞ。さっきの勢いは、どうしたであるか?」
「マエバシ!」
「グアアア!」
「あっ……」
今度はマエバシが丸呑みをした。
「これは面白いのである! 何秒耐えられるか、研究するのである!」
「いーち、にーい、さーん、しー」
あーあ、ルーナ先生と黒丸師匠が、悪ノリし出してしまった。
あの敵将は、もう二人のおもちゃだ。
結局、イセサッキ、マエバシ、タカサキが交代で敵将を丸呑みしては、吐き出しを続けた。
敵将は徐々に憔悴し、二人はゲラゲラ笑う……。
「適当な所で捕虜にしてくださいね」
あまりにも敵将が可哀想に思えて、捕虜にして情報を吐かせることにした。
戦場では、既に勝負は決していた。
追撃するフリージア王国軍、逃げるニアランド王国軍。
「追い首を稼げ!」
「魚野郎を海に帰すな!」
「追撃だ! 追撃!」
特にアルドギスル兄上配下の部隊が熱心だ。
ずっと防衛戦だったので、たまっていた鬱憤を晴らしているのだろう。
敵将のことは、ルーナ先生と黒丸師匠に任せて、俺はアルドギスル兄上のもとへ向かった。
19
お気に入りに追加
4,055
あなたにおすすめの小説
転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」
なつきコイン
ファンタジー
転生者の幼女レイニィは、女神から現代知識を異世界に広めることの引き換えに、なりたかった『お天気キャスター』になるため、加護と仮職(プレジョブ)を授かった。
授かった加護は、前世の記憶(異世界)、魔力無限、自己再生
そして、仮職(プレジョブ)は『大魔術師(仮)』
仮職が『お天気キャスター』でなかったことにショックを受けるが、まだ仮職だ。『お天気キャスター』の職を得るため、努力を重ねることにした。
魔術の勉強や試練の達成、同時に気象観測もしようとしたが、この世界、肝心の観測器具が温度計すらなかった。なければどうする。作るしかないでしょう。
常識外れの魔法を駆使し、蟻の化け物やスライムを狩り、素材を集めて観測器具を作っていく。
ほのぼの家族と周りのみんなに助けられ、レイニィは『お天気キャスター』目指して、今日も頑張る。時々は頑張り過ぎちゃうけど、それはご愛敬だ。
カクヨム、小説家になろう、ノベルアップ+、Novelism、ノベルバ、アルファポリス、に公開中
タイトルを
「転生したって、あたし『お天気キャスター』になるの! そう女神様にお願いしたのに、なぜ『大魔術師(仮)』?!」
から変更しました。

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが
アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。
右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。
青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。
そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。
青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。
三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。
【登場人物紹介】
マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。
ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。
クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。
ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。
デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。
ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。
ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。
ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。
ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。
【お知らせ】
◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。
◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。
◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。
◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。
◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。
◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。
◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。
※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる