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第5章  剣の魔導士とそこにあるもの

069  剣の魔導士とそこにあるものXIII

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「だったら大佐に色々と請求しておいてくれないか?」


「請求とは?」


「嫌がらせ。大量の書類とか後始末がお似合いだろうよ」


「それは日常茶飯事だからそれは面白くないな……」


 総司は首を横に振って却下する。


「その事についてはこれが終わってから話すとして、裕也、本当に実行は二日後の夜でいいんだな?」


 もう一度、総司は裕也に訊き返す。


「ああ、それまでにはこの教会ごとぶっ壊さないと気が済まないからな」


「だったら話は簡単だ。お前がそれまで囚われの身になった状態で奴が賢者の石と黒魔法を使うまで大人しくしておけばいいだろ?」


 総司はニヤッと笑う。


「総司さん、冗談はやめてください! いくら何でもそれでは万が一の時、どうするんですか⁉」


 三久は裕也の鎖手錠を自分の錬成で作り変えたものに交換し終えた後だった。


 どこにも不自然や違和感が無い。


 おかげで裕也は魔法を使うことができるようになったのだ。


「分かってる。でも三久さん、そうしなければ奴らを現行犯で取り押さえることができない。この事実を闇に葬られてしまったら一生近づくことができるどころか、そのままなかったことにされる可能性が高い。軍が関わっている以上、これは絶対に失敗してはならない任務だ。だから、裕也‼ お前には協力してもらうぞ! 炎の魔導士」


「その言葉、信じてもいいんだな? 剣の魔導士」


 二人は互いに見上げ、見下ろしながら睨みつけた。


「ああ、男に二言はねぇ……。そして、お前の仲間である三姉妹との約束だ。女との約束は絶対に裏切らない」


「ぶれないな。お前はどこに行っても女の事しか考えていないようだな」


 二人が話していると、再びマーロスが地下に降りてきて、扉を開けた。


「中将殿、どうです? まさか炎の魔導士が実験体として我が野望の生贄になられるのです」


 変装している総司に、マーロスは優しく声を掛ける。


「ああ、まさか噂の炎の魔導士が見つかるとは思わなかったよ。教主様、この魔導士をどう生贄にするのです?」


「それは二日後、私が錬金術と魔法で証明して見せますとも……」


「ほう。それは楽しみですなぁ……。それまでにしっかりと見張っておいてくださいよ。私の上司たちがその報告を待っておられますので……」
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