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第4章  ウエストシティの内戦

043  ウエストシティの内戦Ⅵ

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 二葉はサンドイッチを口に入れた後、牛乳を飲み干す。


「じゃあ、早めにことを済ませないとな……」


「うん……」


「二葉、フードをかぶれ」


「え?」


 裕也は何かに気づき、二葉にフードをかぶらせ、自分もフードをかぶる。


「今、入ってきた奴から嫌な臭いがした」


 扉の近くの席に座った一人の男に目をやる。


 一見普通の男に見えるが、顔に付けられた深めの傷跡、歴戦の戦士の風格を漂わせている。


 ――――まだ、こちらに気づいてはいないようだな。俺の感が正しければ……。


 ――――どうする……ここで争えばどれだけの被害が及ぶ……。


 裕也は腰掛けの陰から相手の男を見つめる。コーヒーを読み、店内にある新聞を読んでいる。


「ユーヤ、大丈夫なの?」


「分からない。ただ、事が済むまでここにいる余裕なんてない」


「だったら私が何とかしようか?」


「はい? 何か策でもあるのか?」


「うん。あるよ! 私の魔法だったらね」


 二葉はそう言いながら懐からタロットカードを取り出す。


「その手があったか!」


 裕也は振り返って二葉の両肩を握った。


 二葉は頬を赤らめ、思わずタロットカードを落としてしまう。


「――――近い……」


「ああ、悪い……」


 二葉から離れ、散らかったタロットカードを集める。


 二葉の魔法はタロットによる精霊召喚である。所持しているカードの中から契約している精霊を呼び出すことができる魔法である。


 運動音痴の二葉にとってはこの上ない魔法である。


 どんな人間であっても体力がある者が決して運動できるとは限らない。その逆もあり得る事であり、自分の長所を生かすことで一つ、また一つと新たな枝が分かれいくのだ。


「それでどいつを召喚するつもりでいるんだ?」


「魔術師・マーキュリー」


「番号1・魔術師か……。あいつを出すのかよ……。俺、殺されたりしないよな?」


「分からない。この子が大人しく聞いてくれることは保障できない」


「だよな……」
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