43 / 139
第4章 ウエストシティの内戦
043 ウエストシティの内戦Ⅵ
しおりを挟む
二葉はサンドイッチを口に入れた後、牛乳を飲み干す。
「じゃあ、早めにことを済ませないとな……」
「うん……」
「二葉、フードをかぶれ」
「え?」
裕也は何かに気づき、二葉にフードをかぶらせ、自分もフードをかぶる。
「今、入ってきた奴から嫌な臭いがした」
扉の近くの席に座った一人の男に目をやる。
一見普通の男に見えるが、顔に付けられた深めの傷跡、歴戦の戦士の風格を漂わせている。
――――まだ、こちらに気づいてはいないようだな。俺の感が正しければ……。
――――どうする……ここで争えばどれだけの被害が及ぶ……。
裕也は腰掛けの陰から相手の男を見つめる。コーヒーを読み、店内にある新聞を読んでいる。
「ユーヤ、大丈夫なの?」
「分からない。ただ、事が済むまでここにいる余裕なんてない」
「だったら私が何とかしようか?」
「はい? 何か策でもあるのか?」
「うん。あるよ! 私の魔法だったらね」
二葉はそう言いながら懐からタロットカードを取り出す。
「その手があったか!」
裕也は振り返って二葉の両肩を握った。
二葉は頬を赤らめ、思わずタロットカードを落としてしまう。
「――――近い……」
「ああ、悪い……」
二葉から離れ、散らかったタロットカードを集める。
二葉の魔法はタロットによる精霊召喚である。所持しているカードの中から契約している精霊を呼び出すことができる魔法である。
運動音痴の二葉にとってはこの上ない魔法である。
どんな人間であっても体力がある者が決して運動できるとは限らない。その逆もあり得る事であり、自分の長所を生かすことで一つ、また一つと新たな枝が分かれいくのだ。
「それでどいつを召喚するつもりでいるんだ?」
「魔術師・マーキュリー」
「番号1・魔術師か……。あいつを出すのかよ……。俺、殺されたりしないよな?」
「分からない。この子が大人しく聞いてくれることは保障できない」
「だよな……」
「じゃあ、早めにことを済ませないとな……」
「うん……」
「二葉、フードをかぶれ」
「え?」
裕也は何かに気づき、二葉にフードをかぶらせ、自分もフードをかぶる。
「今、入ってきた奴から嫌な臭いがした」
扉の近くの席に座った一人の男に目をやる。
一見普通の男に見えるが、顔に付けられた深めの傷跡、歴戦の戦士の風格を漂わせている。
――――まだ、こちらに気づいてはいないようだな。俺の感が正しければ……。
――――どうする……ここで争えばどれだけの被害が及ぶ……。
裕也は腰掛けの陰から相手の男を見つめる。コーヒーを読み、店内にある新聞を読んでいる。
「ユーヤ、大丈夫なの?」
「分からない。ただ、事が済むまでここにいる余裕なんてない」
「だったら私が何とかしようか?」
「はい? 何か策でもあるのか?」
「うん。あるよ! 私の魔法だったらね」
二葉はそう言いながら懐からタロットカードを取り出す。
「その手があったか!」
裕也は振り返って二葉の両肩を握った。
二葉は頬を赤らめ、思わずタロットカードを落としてしまう。
「――――近い……」
「ああ、悪い……」
二葉から離れ、散らかったタロットカードを集める。
二葉の魔法はタロットによる精霊召喚である。所持しているカードの中から契約している精霊を呼び出すことができる魔法である。
運動音痴の二葉にとってはこの上ない魔法である。
どんな人間であっても体力がある者が決して運動できるとは限らない。その逆もあり得る事であり、自分の長所を生かすことで一つ、また一つと新たな枝が分かれいくのだ。
「それでどいつを召喚するつもりでいるんだ?」
「魔術師・マーキュリー」
「番号1・魔術師か……。あいつを出すのかよ……。俺、殺されたりしないよな?」
「分からない。この子が大人しく聞いてくれることは保障できない」
「だよな……」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる