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第5章  同じ日に同じ夢を見るということは非合理的な空想論である

037  同じ日に同じ夢を見るということは非合理的な空想論であるⅩ

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 今日の天気はどうやら快晴らしい。降水確率0%というところがちゃんと観測しているのかと疑わしいが日本の天気予報はアナログ式の気球からデジタル式の気象衛星まで視野を幅広く使っているから0%という確率が出せるのであろう。これからの未来はもしかするとAIが全て気象を制御してコントロールしてくれる日が来てくれたとしたら、世界は明るくなるだろうがそれをテロに使う国も出てくるのかもしれない。
 もしもの話だけどな……。
「そういえば、今度、高校の家庭訪問があるんだけど、どうすればいいの?」
「ああ、もう、そんな時期なのか……」
「母さんには言ってあるのか?」
「一応、言ってはいるんだけど……」
親父おやじには?」
「絶対にいや!」
 それもそうだな。あの父親、たぶん娘の事になったら仕事を休んでまで来る気あるしな。恐らく、家を出て行ったら毎週のように会いに行くだろう。
 いわゆる、いい娘思いの父親だがそれをもう少し長男に対してもしてほしかったぐらいだ。
 かわいそうな親父……。
「じゃあ、どうするんだよ。去年は何とか母さんが休暇を取れて来れたものの。それに高校って毎年家庭訪問が必要なのか?俺の時は二者面談でいいと言って、終わったけどな……」
「佑理の担任は三者面談しないと気が済まないの」
 ああ、そういう奴いるなあ。わざわざ、家まで訪ねて、くだらない話をした後に帰るときには必ずお土産を貰って帰るパターン。あれ、お返しに何もくれないよね。ただの迷惑だよね。
「それは面倒だな。もし、母さんがダメだった場合は?」
「最終手段でお兄ちゃん、お願い」
「大丈夫なのか?普通は親御さんと話すのが家庭訪問というものだろ」
「無理な場合はお兄さんやお姉さんでもいいって」
 と、まあ、面倒ごとに巻き込まれるのは決定事項けっていじこうとなっているのがうれしいような、悲しいような、複雑な気持ちである。
 佑理は楽しそうに話しながら、俺は嫌な顔をして朝食を食べ終えた。
「それじゃあ、私、先に家を出るから鍵はしっかりと閉めておいてね」
「はいよ。お前も気を付けて行けよ。特に車にな……」
「はいは―い」
 佑理はリビングに置いていたバックをからって、家を出ていった。
 俺は皿を流しに置いて、簡単に水を付けた。
 そして、俺はこの少しだるい体を動かしながら八時ごろに家を出た。

 いつもだったらこの交互に来る長い上り下りの坂を真剣に漕いでいるのだが、今日はそんなやる気も起こらなく、自転車を押して行った。
 やっとたどり着いた頃、一限目まで残り十五分しかなかった。急いで、駐輪所から階段を登り、グランドの横の道を走って、始まり一分ギリギリ前に教室に滑り込んだ。
 出席カードを機械にかざして、空いている席に座る。なんとか開始時刻までには間に合ったものの呼吸は荒く、肩で呼吸をしているくらいだった。そして、この時間はひたすらキーボード操作をやり続け、目の前に浮かぶコードを読み込む。
 そして、一限目を終えるころには魂が抜けるようにぐったりとイスに寄り掛かっていた。今日の授業はこれだけで俺はこの時間のために苦労して来たのかと思うと一気に疲れが襲い掛かってくる。
 俺は荷物をまとめて、ゆっくりと歩きながらいつもの場所に行くのにニ十分もかかった。研究室に入ると冬月と藤原先生がいた。
 そのまま、部屋の奥にいる先生の横にイスを持って来て、バックを机の上に置いた。
「先生、生理学にある夢を見る時について、訊きたいんですが……」
 向こうで座っている冬月の肩がビクッ、と動いたような気がした。
「夢か……。天道、お前は睡眠にノンレム睡眠とレム睡眠の二つがあるということを知っているか?」
「名前だけなら」
「その二種類には異なっていて、ノンレム睡眠は脳を休める。レム睡眠は身体を休め、夢を見るんだ。そして、睡眠は人生の三分の一と言われており、一日八時間と推定されている」
 先生は自分のフォルダーからPDFのアイコンをクリックして、俺に見せた。
「まあ、睡眠が深いほどノンレム睡眠で睡眠が浅いほどレム睡眠に近い。専門的に詳しく見てみると急速眼球運動と抗重力筋こうじゅうりょくきんの緊張低下というものもあるが説明するのがややこしいからそれは聞き逃してもいいぞ」
「じゃあ、俺が夢を見るほどだからノンレム睡眠ということですか?」
「そうだな。それに睡眠時間は歳を取るごとにどんどん減っていて、これまた夢を見るのに関係があることが分かっている」
 なるほど、いつもはあまり役に立たない先生だと思っていたが今日は何故だか頼りになる。
「俺が見た夢なんですけど、まるで現実で起こったような感覚で五感全てが働いていたんですよ」
「なるほどね……。そんな例はあまり聞いたことが無いな。いや、待てよ。そこまでは聞かないがどこかで聞いたことがあるな」
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