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序章
003 序章Ⅲ
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「はい?」
訳の分からない命を受け、春佳は理解しかねない。
「ここには良からぬものが集まりつつと、占いがそう言っていた。どうもそれ自体間違っていなかったらしい。実際に使者を送り、視察してきてもらったところによると……。ここの霊気の流れが濁っていることが分かった」
「信之様の言う通り、私たちはこの京都の地を守らなければならない守護者。信之様は、長期間離れることを許されない。だから、あなたを選んだのです」
「な、なんでそんなことを私が……?」
「春佳だからやれると思ったんだよ。この命を受けてくれると僕は助かる」
「それは私は次の当主となるには避けて通れない道ということですか?」
恐る恐る春佳は信之を睨みつけるように見ながら問いただす。信之がなぜ、自分を選んでこの地を離れさせるのか。何か、理由があるのかもしれないと疑心暗鬼になった。
春佳が自分に疑いを持っていることを察知した信之は、小さく呼吸をして間を置くと、
「なら、十二家の歴史に隠された『暗黙の歴史』を知っているかい?」
その言葉がまさか、信之から飛んでくるとは思わなかった。十二家がかつて犯してきた歴史。表舞台では語られなかった歴史は、一部の人間しか知らない。一条家はそれを管理している。
「はい。一条家の者で本家の人間では私、兄様、そして、側近の二人しか知っている者はいないかと……」
「そうだね。その『暗黙の歴史』の中にまだ、闇に溶け込まれた話がある。それはまだ話すべきではない」
信之は表情を暗くして話をする。
これ以上、知ってはならない話――――
それを知っているとするならば、一体、神代町には何があるのだろう。
神代町を簡単に崩して解釈すれば、神が宿るといったところだ。
神が宿る聖域などは、世界各地に多く存在する。ここもそうだ。そして、神が存在するのなら死神、悪魔、魔人などそれぞれの人種が存在している。そんな変なものがいてもおかしくない世の中なのである。
「とにかく、神代町の良くない噂はあると思います。ですが、それは勘違いだったというのはないんですね」
春佳は信之に訴えった。
日本の東京が壊滅してから多くの人が亡くなった。そして、世界の各地でも同じことが起こっていた。この災害が何を意味しているのかは、まだ、検討されていない。そして、謎の霊気。普通、この世界での霊気の流れは安定している。
「勘違い? 馬鹿な事を言ってはならないよ。これは彼らが自分たちの眼で見てきたんだから間違いない。それに短期間とはいえ、面白い情報も手に入ったからね。春佳が神代町に行けばその何かが分かるはずだ」
「その何かとは何なんですか⁉」
春佳は信之がまだ隠している事が気になり、つい怒鳴り声になってしまった。
「じゃあ、ある一族に起こった話を知っているかな?」
「……いえ、初耳です。それよりも何があったという主語が無いと思うんですが」
「ああ、すまない。ある分家と本家の夢物語だよ。追放された者はその後、暗殺されると掟がある。だが、その二人は暗殺されなかったんだよ」
「それじゃあ、二人はどうなったんですか? それに誰が二人を助けたのですか?」
春佳はその話について少し興味を持ち始めた。信之が懐かしそうに話をするその透き通った目には何が映っているのか。そして、それと何の関連があるのか。そもそもそんな夢物語をなぜ、今になって話すのか分からない。
訳の分からない命を受け、春佳は理解しかねない。
「ここには良からぬものが集まりつつと、占いがそう言っていた。どうもそれ自体間違っていなかったらしい。実際に使者を送り、視察してきてもらったところによると……。ここの霊気の流れが濁っていることが分かった」
「信之様の言う通り、私たちはこの京都の地を守らなければならない守護者。信之様は、長期間離れることを許されない。だから、あなたを選んだのです」
「な、なんでそんなことを私が……?」
「春佳だからやれると思ったんだよ。この命を受けてくれると僕は助かる」
「それは私は次の当主となるには避けて通れない道ということですか?」
恐る恐る春佳は信之を睨みつけるように見ながら問いただす。信之がなぜ、自分を選んでこの地を離れさせるのか。何か、理由があるのかもしれないと疑心暗鬼になった。
春佳が自分に疑いを持っていることを察知した信之は、小さく呼吸をして間を置くと、
「なら、十二家の歴史に隠された『暗黙の歴史』を知っているかい?」
その言葉がまさか、信之から飛んでくるとは思わなかった。十二家がかつて犯してきた歴史。表舞台では語られなかった歴史は、一部の人間しか知らない。一条家はそれを管理している。
「はい。一条家の者で本家の人間では私、兄様、そして、側近の二人しか知っている者はいないかと……」
「そうだね。その『暗黙の歴史』の中にまだ、闇に溶け込まれた話がある。それはまだ話すべきではない」
信之は表情を暗くして話をする。
これ以上、知ってはならない話――――
それを知っているとするならば、一体、神代町には何があるのだろう。
神代町を簡単に崩して解釈すれば、神が宿るといったところだ。
神が宿る聖域などは、世界各地に多く存在する。ここもそうだ。そして、神が存在するのなら死神、悪魔、魔人などそれぞれの人種が存在している。そんな変なものがいてもおかしくない世の中なのである。
「とにかく、神代町の良くない噂はあると思います。ですが、それは勘違いだったというのはないんですね」
春佳は信之に訴えった。
日本の東京が壊滅してから多くの人が亡くなった。そして、世界の各地でも同じことが起こっていた。この災害が何を意味しているのかは、まだ、検討されていない。そして、謎の霊気。普通、この世界での霊気の流れは安定している。
「勘違い? 馬鹿な事を言ってはならないよ。これは彼らが自分たちの眼で見てきたんだから間違いない。それに短期間とはいえ、面白い情報も手に入ったからね。春佳が神代町に行けばその何かが分かるはずだ」
「その何かとは何なんですか⁉」
春佳は信之がまだ隠している事が気になり、つい怒鳴り声になってしまった。
「じゃあ、ある一族に起こった話を知っているかな?」
「……いえ、初耳です。それよりも何があったという主語が無いと思うんですが」
「ああ、すまない。ある分家と本家の夢物語だよ。追放された者はその後、暗殺されると掟がある。だが、その二人は暗殺されなかったんだよ」
「それじゃあ、二人はどうなったんですか? それに誰が二人を助けたのですか?」
春佳はその話について少し興味を持ち始めた。信之が懐かしそうに話をするその透き通った目には何が映っているのか。そして、それと何の関連があるのか。そもそもそんな夢物語をなぜ、今になって話すのか分からない。
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