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第1章 動き出す物語
Ⅵ
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「なんだ、椿か……」
颯馬が椿の方を見る。
彼の名は、長友椿。颯馬が小学校の頃からの友人である。
颯馬よりも身長が高く、男子にしては少し長い髪を髪留めで一つに纏めており、上下ともに黒の学ランを着ていた。
「お前こそ、毎日、この時間帯の登校だろ? って、言っても家があそこだったら誰も文句言えねぇーしな……」
「いやー、家が近いとゆっくり登校したくなるし、ギリギリまで眠れるからいいんだよ」
椿は照れくさそうに頭を掻く。
彼の家は西条高校から徒歩四分の所にある。小・中は家から学校までの距離が少し遠かったものの、高校に入ってからは一気に近くなり、こうして今に至る。
「でもなぁ、家が近いんだからもう少し早くきたらどうなんだ?」
「僕もそうしたいところなんだけど、家が近いと思ったらね……。この意味、分かるでしょ?」
「まあ、分からんでもないが……」
二人は階段を上り、二階にある二年二組の教室を目指す。
男子トイレ、女子トイレのすぐ隣が二組の教室であり、廊下では自分のロッカーから朝課外に必要な参考書を用意しようと急いでいる生徒でいっぱいだった。
「げっ……。そういや、朝って英語だったのかよ……」
「そうだね。これは早く準備しないと、谷口先生だからね……」
と、椿はとぼけた風に言う。
英語の谷口は、この学校の英語担当教師の中で、厳しいと有名であり、特に毎日行われる小テストは、皆、頭を悩まされている。
小テストには、単語、文法、穴埋め、の三つが主であり、それに加え、授業でやる長文の翻訳の宿題などがあったりする。
「でも、朝は確か……」
椿が何か言おうとした。
「ん? 何かあるのか?」
「あ、いや……。そう言えば、今日は……」
椿は苦笑いをして、バツが悪そうに後頭部を掻く。
「えー、今日は担当の谷口先生が休みで、朝課外は中止となりました……」
と、代理の教師が二組の教室に入ってきて、そう告げた。
「「「ええ~‼」」」
クラス中に響き渡るブーイングの声。必死になって、授業の用意をした生徒たちは、朝からやる気をなくす一方である。
颯馬が椿の方を見る。
彼の名は、長友椿。颯馬が小学校の頃からの友人である。
颯馬よりも身長が高く、男子にしては少し長い髪を髪留めで一つに纏めており、上下ともに黒の学ランを着ていた。
「お前こそ、毎日、この時間帯の登校だろ? って、言っても家があそこだったら誰も文句言えねぇーしな……」
「いやー、家が近いとゆっくり登校したくなるし、ギリギリまで眠れるからいいんだよ」
椿は照れくさそうに頭を掻く。
彼の家は西条高校から徒歩四分の所にある。小・中は家から学校までの距離が少し遠かったものの、高校に入ってからは一気に近くなり、こうして今に至る。
「でもなぁ、家が近いんだからもう少し早くきたらどうなんだ?」
「僕もそうしたいところなんだけど、家が近いと思ったらね……。この意味、分かるでしょ?」
「まあ、分からんでもないが……」
二人は階段を上り、二階にある二年二組の教室を目指す。
男子トイレ、女子トイレのすぐ隣が二組の教室であり、廊下では自分のロッカーから朝課外に必要な参考書を用意しようと急いでいる生徒でいっぱいだった。
「げっ……。そういや、朝って英語だったのかよ……」
「そうだね。これは早く準備しないと、谷口先生だからね……」
と、椿はとぼけた風に言う。
英語の谷口は、この学校の英語担当教師の中で、厳しいと有名であり、特に毎日行われる小テストは、皆、頭を悩まされている。
小テストには、単語、文法、穴埋め、の三つが主であり、それに加え、授業でやる長文の翻訳の宿題などがあったりする。
「でも、朝は確か……」
椿が何か言おうとした。
「ん? 何かあるのか?」
「あ、いや……。そう言えば、今日は……」
椿は苦笑いをして、バツが悪そうに後頭部を掻く。
「えー、今日は担当の谷口先生が休みで、朝課外は中止となりました……」
と、代理の教師が二組の教室に入ってきて、そう告げた。
「「「ええ~‼」」」
クラス中に響き渡るブーイングの声。必死になって、授業の用意をした生徒たちは、朝からやる気をなくす一方である。
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