上 下
3 / 14

苦悶と快感

しおりを挟む
 ファームの種族は12歳を越えると月一回ファームツリーの基部にある部屋「採種の間」でファームツリーに肉棒を突き立てる。
 それはずっと俺の村に続いてきたならわしで、採種の間にはファームツリーの木のうろがいくつも並び、その穴には樹脂がゼリー状に詰まっていて、そこに証を突き立てると中のゼリーが蠢き得も言われぬ快感を与えてくれ、最後に精の種を吐き出す。
 村の皆はその肉棒に快感を与えてくれる神聖なならわしを、いつも待ち望んでいた。
 本来、ファームの証の肉棒はその為に使う物だ。
 これを悪性種族ミームの、しかもけがれた壺に入れたいと思っている俺は本当にイかれている。

 すすり泣く声が聞こえてくる。
 白いミームが涙を流しながら顔を上げ俺をみている。
 その顔は真っ赤で、羞恥に染まっていた。
 奴も恥ずかしいのだ。
 白い髪と肌が炎の揺らぎで色めき、この上なく艶かしい。
 乳首は俺の唾液で濡れ、ミームの壺も俺を誘う様にテラテラと輝いている。
 何かが胸をギュッと締め付ける。

 そうだ……。俺は奴に取り憑かれてしまった。
 ミームの肉壷の見えない毒に侵されてしまったのだ。

 俺はさんざん逡巡したあと、「ええい、ままよ!」と奴にのし掛かった。
 神聖なる年明け早々、俺は一体何をしようとしているのか? ちらりと頭をかすめるが、それを払いのける。
 ズボンをおろし、怒張しそそり立つファームの証を引き摺り出す。

「おい、お前の壺に俺の証をいれてやる! もうどうにでもなれってんだ!」

 目の前で驚く顔にそう叫ぶと、奴の割れ目に肉棒を突き入れる。

「ああっ! ああぁぁぁーー!」

 ミームの叫び声が洞穴内にこだまする。
 俺の亀頭が暖かく滑る肉襞に包み込まれる。
 奴の割れ目がそれを挟み込んでウネウネと蠢き出す。
 滑る液が溢れ出ているにも関わらず、割れ目はキツくなかなか根元まで入り込まない。
 それでもぐいぐいと肉棒を押し進めていく。

「ううっ…くうッ!」

 奴は俺の下で息を詰め、苦しそうに顔をしかめ、必死に何かに耐えていた。
 途中で引っかかる様な抵抗を感じたが、そのまま腰を突き出し、肉棒を根元まで埋めたいという欲望を満たす。
 奴が一際大きな苦悶の声を上げる。

「うおっ! おおっ!」

 俺も思わず叫んでいた。
 キツく締め上げられる中、肉襞をかき分けなんとか肉棒を根元まで埋め込んだ。
 ファームツリーの比ではない、これまでに感じたことのない凄まじい快感が下腹部から全身に響き渡る。
 奴の肉壷は俺の肉棒をガッシリと咥え込み、暖かく包み込み、蠢きながらキツくしめあげてくる。
 肉壷の中には別の生き物でも住んでいるんだろうか?
 ざわめく快感が幾度も肉棒を刺激し、脳みそが蕩けそうだった。
 少し身体を揺り動かすだけで、凄まじい快感が下半身を包む。

 ああっ、なんてこった…。これが『ミームの壺』なのか…。

 その快感に耐えきれず早くも陰嚢が収縮し始めた。
 快感の塊が出口を求め肉棒を伝い走る。

 えっ? もう? もっと味わっていたい!

 そう思う間も無く、俺は放出していた。
 ドクドクと幾度も脈打ちながら、粘る液体が奴の腹の中に送り込まれる。
 温かい肉壷の中に俺の種が注ぎ込まれた。
 全てを出し切ると俺は奴の上に倒れこんだ。
 これまで生きてきた中で、最高の快感を味わっていた。

 奴の顔が目の前にあった。
 痛みに顔を歪め、頬を涙で濡らしている。
 奴にとってこの行為は苦痛だった様だ。
 振り乱れた白髪に縁取られた顔が、恨めしげに俺を睨んでいる。

 俺は奴にのし掛かったまま、その顔に微笑みかける。

「おい、白いミーム。めちゃくちゃ気持ちよかったぞ」

 奴は一瞬、戸惑った顔をしたが、また顔を歪め今度は怒り出した。
 縛られた手でポカポカと俺の肩や頭を殴るが全く痛くない。
 何かを話しているが、何を言ってるのか全くわからなかった。

 そして、その怒っている顔は美しかった。
 美しいと感じてしまった。
しおりを挟む

処理中です...