20 / 23
3章
20話(前半)
しおりを挟む
19度目の9月11日。いつも少女から話を振ってもらうのは申し訳ないため、今回は僕が話題を作ることにした。
「少し聞きづらいことなんだけど、聞いてもいいかな?」
「何でも聞いてください。私に答えられないものなんてありませんから」
……本当に何でも答えられそうで少し怖い。
「ご両親はどんな仕事をしているの?」
それを聞くと、少女は高笑いをした。
「何ですかーそんな恐る恐る聞かなくても、私達の仲じゃないですか。もっと気軽に聞いていいんですよ」
会社の上肢のような風格で少女は言った。もういっそのこと部長と呼ばせてほしい。
「父は弁護士、母は教育者です」
「へー。僕の知り合いに弁護士はいないからなんだか新鮮だよ」
「そうなんですか?まあ確かに誰でもなれる職業ではないことは心得ています。そんな父を尊敬しています。ただ、帰りが遅いうえに、部屋に籠っていることが多いので、あまり話せないんですよね」
「そうなんだ……。お母さんは?何の教科を教えてるの?」
「母は高校で数学を教えているようです」
高校教師。教育者であれば道徳や倫理には人一倍厳しそうだが、少女にあんなことを言うということは、それは僕の偏った考えなのかもしれない。
少女は母の性格について話してくれた。
「母はかなり頑固で、融通がきかないんですよ。これと決めたらなかなか考えを曲げません。芯があると言えば聞こえはいいですが、教育者としてはあまり感心しませんね」
少女はしっかりと分析している。自分で賢いと言っているのが否定できないくらい頭がいい。
僕もかなり頑固なところがあるため、少女の母の性格をどうこう言うことはできない。しかし、それでもやっぱりあの発言はいかがなものかと思う。
僕が難しい顔をしていると、少女がパチンと手を叩いて「そうだ!」と言った。
「今から私の家に行きませんか?」
少女は名案だと言わんばかりに、ブランコから降りて僕の手を引く。
……少女の方から提案するってありなのか?いや、僕が誘うのもそりゃ大問題だけど。
僕は遠慮しながら言った。
「その……大丈夫なの?君のこともそうだけど、あまり通常と異なることをしていると過去改変が起きちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。今の時間父と母がいることはありませんし、ただ家を外から見るだけですから」
押しにめっぽう弱い僕は「ほら、行きますよ」という少女に引っ張られながら、公園を後にする。
「少し聞きづらいことなんだけど、聞いてもいいかな?」
「何でも聞いてください。私に答えられないものなんてありませんから」
……本当に何でも答えられそうで少し怖い。
「ご両親はどんな仕事をしているの?」
それを聞くと、少女は高笑いをした。
「何ですかーそんな恐る恐る聞かなくても、私達の仲じゃないですか。もっと気軽に聞いていいんですよ」
会社の上肢のような風格で少女は言った。もういっそのこと部長と呼ばせてほしい。
「父は弁護士、母は教育者です」
「へー。僕の知り合いに弁護士はいないからなんだか新鮮だよ」
「そうなんですか?まあ確かに誰でもなれる職業ではないことは心得ています。そんな父を尊敬しています。ただ、帰りが遅いうえに、部屋に籠っていることが多いので、あまり話せないんですよね」
「そうなんだ……。お母さんは?何の教科を教えてるの?」
「母は高校で数学を教えているようです」
高校教師。教育者であれば道徳や倫理には人一倍厳しそうだが、少女にあんなことを言うということは、それは僕の偏った考えなのかもしれない。
少女は母の性格について話してくれた。
「母はかなり頑固で、融通がきかないんですよ。これと決めたらなかなか考えを曲げません。芯があると言えば聞こえはいいですが、教育者としてはあまり感心しませんね」
少女はしっかりと分析している。自分で賢いと言っているのが否定できないくらい頭がいい。
僕もかなり頑固なところがあるため、少女の母の性格をどうこう言うことはできない。しかし、それでもやっぱりあの発言はいかがなものかと思う。
僕が難しい顔をしていると、少女がパチンと手を叩いて「そうだ!」と言った。
「今から私の家に行きませんか?」
少女は名案だと言わんばかりに、ブランコから降りて僕の手を引く。
……少女の方から提案するってありなのか?いや、僕が誘うのもそりゃ大問題だけど。
僕は遠慮しながら言った。
「その……大丈夫なの?君のこともそうだけど、あまり通常と異なることをしていると過去改変が起きちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。今の時間父と母がいることはありませんし、ただ家を外から見るだけですから」
押しにめっぽう弱い僕は「ほら、行きますよ」という少女に引っ張られながら、公園を後にする。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
聖女戦士ピュアレディー
ピュア
大衆娯楽
近未来の日本!
汚染物質が突然変異でモンスター化し、人類に襲いかかる事件が多発していた。
そんな敵に立ち向かう為に開発されたピュアスーツ(スリングショット水着とほぼ同じ)を身にまとい、聖水(オシッコ)で戦う美女達がいた!
その名を聖女戦士 ピュアレディー‼︎
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる