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第一章 二人の旅路

奇妙で心地よい関係※

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 二人とも魔物の血を洗い流して、そして狩ったばかりの肉に火を通し適当なスパイスをかけて齧り付く。久々に味わう肉の旨味と歯応えに二人は最初こそ「うまい」「最高だ」なんて言いながらはしゃいでいたが数秒と経たない内に無言で貪るようになった。
 まともな飯にありつけないことに慣れていると言ってもまだまだ食べ盛りな二人には今は肉しか見えておらず、満足するまで食らい付いていたらいつの間にか日はとっぷりと沈んで辺りは静寂に満ちていた。

 川のせせらぎと虫の声だけが聞こえる暗闇の中、二人は休息の為にテントへと入る。魔物がいる森の中ではあるが、この世界にはハンターの為の魔物除けが普及している。特殊な香りを放つ香木に風除けを施して火を点ければ、後は朝までゆっくり休むことが出来る。それを初めて見た時はなんて便利なんだと感動したものだ。
 テントは二人用といっても旅の荷物にならないようにと少し小さめの物を用意している。小さめといっても寝る分には問題は無く、幾度もこのテントで夜を明かしてきた。
 だが、ただ夜を明かすだけでは無い日もある。

「…ぁ、はぅ…っ、ん、ゃ、…そこ、そこやだって言った…っ」

 月明かりしか届かないテントの中で重なる影が二つ。
 熱い男の舌が白い肌を臍から胸元まで舐め上げて薄い胸板の上でふくりと膨らんだ胸の突起を舌先で押し潰す。その刺激に白い体はびくんと跳ねてテントの中に湿り気を帯びた声が響いた。

「ぁうっ、ゃ、ある、アルフ…っ」
「…嫌じゃなくて気持ち良いって言えって教えたろ」

 綺麗に生え揃った歯でカリ、と突起を挟むとまた高い声が出てアルフレッドは機嫌良さそうに喉を鳴らした。その姿にきゅっと眉を寄せて睨むがそんなものどこ吹く風と反対側の突起も存外器用な指先が捏ねて来るとラファエルの口からはまた切なげな声が漏れる。

「んんぅ…っ!ゃ、そこばっか…っ、ひぅっ」

 男のくせに胸で快感が拾えてしまうのが恥ずかしくてラファエルの頬は林檎のように赤く染まって、青い瞳も湖のように潤んでいる。頼りない光しか届かない月夜でもその瞳の羞恥に染まる様はよく見えて、アルフレッドの口角は意地悪く上がった。

 こうして肌を合わせるようになったのはいつ頃からだっただろうか。冒険を始めてからそう時間は経っていなかった気がする。男二人の旅で、魔が差したと言っても良いかもしれない。ただお互いになんとなくふざけあって、抜き合いなんかして、それの回数が増えるにつれて触れるのは下半身だけじゃなくなった、きっとただそれだけ。

「考え事か?余裕だな」
「ち、ちが…っ、ぁあんっ!」

 ぐじゅ、とアルフの太い指が遠慮なく中へと入ってきてラファエルの白い喉が仰け反った。最初の頃に感じていた違和感や痛みはもう無くて、あるのは重たい快感ばかり。

「…昨日もヤったからか、まだ柔らかいな。うまそうに飲み込んでいく」
「は、ぁう…っ、アルフ、アルフ…っ、ンンぅっ」
「まだ指だけなのにどんだけ感じてんだよ。ほら、どこにも行かねえから抱き着いとけ」

 ラファエルの脚の間に陣取ったアルフレッドの尊大な物言いに普段なら軽口の一つは叩くのに、この状況下ではそんなことが出来る余裕もなく言われるままに広い背中に腕を回して抱き着いた。興奮と快感とで体温が上がっているラファエルと同じかそれ以上に熱い体に縋るように抱き着いたことでラファエルの心は安堵で包まれる。
 いい子だと熱の籠った低音で囁かれて腰の奥に甘い熱が溜まるのを感じていると中に埋まっている指が第二関節まで侵入してきて、ラファエルの細い身体はぴくぴくと敏感に震えた。

「んぁっ、ぁ、アルフ、キス、きすしたい…」

 肌を合わせる時、ラファエルは決まってキスを強請る。

「…は、甘えん坊だな、エル」

 それにアルフレッドはやはり機嫌良さそうに笑って、流れるようにラファエルの唇を攫った。

「ん、んぅ…っ、は、あるぅ…っ」

 唇が離れる僅かな合間に漏れる舌足らずな声は耳を塞ぎたくなる程甘くて、上擦ったその声は女性的と捉えられなくもない。細く切なげな声と唇が触れ合い、粘膜を擦るいやらしい音がテントの中で混ざっていく。普段理知的な光を宿すラファエルの瞳が快楽で揺らめくのを近い距離で見つめるアルフレッドの指が泥濘の敏感な箇所を押したのはその時だった。

「──~~っ!」

 あまりに強い快感に唇は離れ、声も出せずに震えるラファエルをかまうことなく不埒な指が腹側にあるしこりを何度も擦る。

「ああぅっ、そこ、そこだめ…っ!ぁ、ンンっ、は…っ…んう」
「…駄目じゃねえだろ」

 一度離れた唇が再び塞がれて漏れる嬌声ごとアルフレッドの口内へと吸い込まれていく。背中に回した腕は柔い肌に爪を立てて傷をつけるがそんな抵抗も最初から無かったかのように中を暴く指は二本、三本と増えていった。

「……いい感じに広がったな」

 第二関節までしか飲み込んで無かった後孔は今ではアルフレッドの太く長い指を根元まで飲み込んでその縁を淫猥にひくつかせる。何度も体を重ねて来たからかアルフレッドはラファエルの敏感な箇所など全て把握しており、その指がずるりと泥濘から抜かれる頃には既に二度ほど絶頂を迎えていた。
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