ひとまず恋でもしてみませんか？

結局一緒なんだろう。

彼女と俺の出会いは企業を動かしていく人間には当たり前ともいわれる、政略結婚。

自分は恋をして愛した女性ひとと結婚をし、幸せな家庭を築くんだと幼き頃に夢見た。


実際自分もまた、お互い『好き』だの『愛している』だの感情もなく次世代に企業の継続・拡大だけの為に子孫を作る、すべてが上辺のような夫婦。

仮面夫婦とでも言うべきだろうか。

そんな幼き頃から見てきた
両親と同じことを繰り返そうとしていた。

親父に「一度でもいいから結婚する前に顔を見ておけ」と言われたが相手企業はこれから伸び行く事業の娘だという上、今は親父が投資をしているところだというではないか。

会社には、まだまだマイナスでしかない。

そんな会社の娘と結婚させようという
意図がつかめずにいた俺に親父が放った言葉は

「お前が考えるべきことはひとつ。子供を産ませることだ、産ませた後は好きにするがいい」

含みのあるニヤケ顔をみせた。

オブラードにも包まず、放たれた結婚する意味。

それと、同時に会社の拡大・継続にしか興味がない男だとつくづく思い知らされる。

自分の手元にあるものが例え実の息子とて、この男には次へ進む駒でしかないのだろう。

どうせ相手の娘も自分の母親のようなブランド好きの我が子より、お金や男好きなそんなくだらない女だろう。

結婚する前に見づしとも結婚した後は、嫌でも顔を合わせ子を作らねばならないのだから、どうせなら結婚式であえばいい。

これから子を作るまでは嫌でも見なければならない顔だ、どうかマシであってくれそれだけが望みだと内心一人願う。

時が流れるのは早く親父に聞いたのは2か月も前。

今日これからめでたくもなんともない結婚式だと思うと少しばかし憂鬱になる。