夢の話

奏 -sou-

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血が足りません。(※話が急に切替)

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ボーッとしている意識の中、何度と激しいキスを繰り返し一方的に受けていると先ほど俺を見捨てていった赤髪が視界に入り戻ってきたのが分かった。
 
「おーいお二人さん。ここ道の真ん中よー、それ以上すんなら場所変えろって。」と呆れ笑いでしゃがんで兄の上から声をかけてくる。

その言葉に『げっ、道の真ん中だった。』と今いる場所を再確認して顔が一気にボンっと熱を持つ。
目を開けてそろそろ離れることを提案しようかとした俺の変化に気づいた兄が目を開けホントに今日これから槍が降ってくるんじゃないか、と笑ったところを見たことない兄がくすりと笑い名残惜しそうにチュッとキスを1度だけしてから体を離し起き上がらせてくれた。 なにせ体力もそこそこで、兄の血を大量に飲んだからと言って回復したわけでもなく…ふらふらだった、起き上がった後も背後から俺の肩に手を置き支えてくれる兄。

なんだか先程から兄の見せる行動表情が全て初めてで『本当にあの兄なのか!?』と失礼ながらに疑ってしまい再度顔を確認する。…不意打ちでキスを軽くされた。

また、恥ずかしさが込み上げて下を向いていたら赤髪が何かを言っていたみたいだが俺の耳に入ってこず、そのまま逃げるわけにもいかず兄に支えられて兄が来た道を歩いていく。

また赤髪以外に変わった髪型をした男性が前に立ち止まっていてこちらを見ていたが、兄が動き出すと一緒に後ろから赤髪とついてきた。

ゆっくりだが兄に支えられてい歩いていたら道路のような場所に道が開けて車が俺の前に止まる。
隣にいたはずの兄がいなくなっていて、疑問に思ったがそれよりも俺の前に止まった車に知り合いかなと助手席側の窓を覗く。

******************

4人席の車の中は運転席と助手席に男が乗っていて後方席に男と女合わせて見えてる範囲で4人はいたがもしかしたらそれ以上にいたのかもしれないがなにせギュウギュウ詰に入っていることに定員オーバーしててよく楽しそうに乗ってんなという印象が強かった。

助手席の男に「いまからどう?」と、意味も分からないがニヤニヤしている感じからからかわれている気分になり、なんなんだコイツと断る事は決まっていたが相手にするか悩みながらも、そういや兄は何処へ行ったんだと男から目を逸らして辺りを見れば少し離れたところに兄がいた。わざわざ自分から離れた場所にいる兄に疑問を持ったがまぁ、いいか。と目の前の車に視線を戻しかけた時、後ろから身体を乗り出して俺の腕の服を掴む女の手が見えて驚きながらそちらを見れば後方席に座ってた女性陣の1人が1枚の写真をみせてくれた。

その写真がなんの意味をもたらしてるのかイマイチわからず写真を女の人に戻そうとすれば後ろも見るようにジェスチャーをされ、しぶしぶ後ろを見れば”写真のメンバーは全員つきあってる”と書かれていた。
そもそも道を阻むかのように目の前にこの車が止まった上に声を掛けてきたのはそっちであって、まるっきり興味のない集まりで、その文字の意味に『なるほどね。』という感想しかなく書いてるその文字通りに4人乗りの車の中から男女のそれらしい雰囲気が出ていたことを理解し、だからなんなんだ。と思うがこれ以上関わりたくなかったので流し笑いで写真を女に返す。その後、なんの満足をしたのか知らないがそれ以上何かを言うわけでもなく、ドンドンとHiphopの音をガンガンにかけて彼らが道を左に曲がるのを見送った。

距離を置いて立っていたはずの兄が車が離れたと同時に目の前にきて「なにを話していた?」と聞いてくるから「男どもにナンパされたけど彼ら恋人同士なんだって、写真みせてもらったんだけど。」とぎこちなく笑む。

そんな俺に「女がいたか?」なんて距離はあったけどこっちを見ていたはずなのに『兄さんは何を見ていたんだ』とツッコミたくなる発言をされたが、その言葉を飲み込んで「ほら、後ろにいたよ?」と明るく言ってみる。

少し眉間にシワを寄せながら「…俺がいるのに誘いに乗ったのか?」と表情はそこまで変わらずにトゲのある言い方をしてくる兄に「乗ってないよ。断ったよ。彼らもからかっただけみたいだし…」とそんなふうに言うのなら何故あの時横にいなかったんだと思いながら相手にもしてないよ。と伝える。

静かに落ち着いた声で「俺はお前を手放す気はない。」と両手で頬を軽くはさまれ目と目が合ったまま顔を背けることも許されずに、おいおいおい実の弟に何を言っているんだい?え?っていうプチパニックになりかけて、あぁそうだ半分聞かなかった事にしよう、でも否定したらややこしい事なりそうだから流そう。そうしよう。と「うん。わっかってる。…あ、でね、なんだか知り合いに似てた…」

それにしても不機嫌丸出しの兄と目を合したまま言葉を繋ぐのは正直逃げたい気持ちにかられるしボロが出そうになり焦りながらもカバーした言葉で5分と満たない迷惑な車のやつらの話をする。

その途中に車の急ブレーキ音と悲鳴と男どもの楽しいそうな声が聞こえてきて、その音に驚きなら身体がビクッと反応する。

聞こえてきた方を見れば先程の車の彼らが曲がった道で、なんなら兄と一緒にいた赤髪ともう一人がいないことに気付いた。

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