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第四章
05
しおりを挟むふと、部屋の中を見渡してみる。
「…私の部屋じゃない」
「あぁ、俺とサフィの部屋だ」
ボソリと呟いた言葉を拾った騎士の返事に聞き間違えかと顔を上げて騎士を見る。
「どうした、そんな顔をして」
私よりも先に着替えを済ませかけている騎士の服装をみて、まだ夢の中なのかと目をつぶってみる。
「サフィ」
目を開ければ、私の顔を覗き込む騎士が目の前にあった。
「騎士、どうして兄様みたいな格好をしているの?」
「…あぁ、サフィは知らなかったか。俺もお前の兄ヘンリーと同様この国を継ぐ者だ」
騎士は何を言ってるの?
「この国って?」
「ここは、リヴォルノ王国だ」
その言葉に、血の気が引く
リヴォルノ王国とはエドウィー王子の国よりも数十倍大きく、争いごとが大好きな王が領土を広げるために1つずつ近くから周りと戦争をして負けた国を吸収していっている未だなお戦争の絶えない国と聞いている。
騎士がその国の跡継ぎってどういうことなの?
貴方は、王族ではなく貴族ではないの?
「サフィ、どの様にこの国を学んだか知らんが案ずるな。この国の中での争いごとは父上の代で終わっている。これから、サフィと俺でこの国をつくっていくんだ。」
貴方は、何を言ってるの?
「国を、つくっていく?」
「あぁ」
私の横髪にキスをして、また両瞼へキスを軽くおとす。
「ねぇ騎士…ユーグスは、騎士では無いの?」
「…父上がいた頃、戦争に駆り出されていた時に騎士として戦うことを命じられていた、その上で俺がこの国の跡取りだと知られれば戦っている相手が何十倍にも膨らみ命がいくつあっても足らないからな。」
地べたに膝をつき、私の胸元へ顔を埋めるように抱きしめながら話す騎士
ここで初めて聞く言葉を聞けば誤魔化さず答えてくれるが、今までの時間はなんだったのか。私は何も知らなくて、もう何を信じればいいのかとサランのことがあった後に1番信頼していた騎士に何故か裏切られた気がして心に穴がぽっかり空いたように虚しくなる。
「…そう。」
「サフィ、俺にはお前しかいない」
まるで、捨てないでくれと言わんばかりに顔を上げて私を見つめて主張する。
「私は…もう、帰れないの?」
遠回しの返事のようになってしまったが、家族のいる城へ帰りたいと思う気持ち、自分の慣れ親しんだ部屋に閉じこもって頭の中を整理したい気持ちが無いわけでは無い。
「…サフィ、俺はお前と二人だけの世界があるならこの国を捨てたっていい。だがあそこにはサフィと俺の世界を邪魔する奴らしかいない。もし、帰りたいと言うのであればあの城に住まう邪魔者を処刑した上でなら一緒に帰ろう。」
二人だけの世界って、なに
邪魔者って、なに?
「私の家族は…」
「あんな邪魔者をサフィの近くに置いておくわけが無いだろう。」
この男には、心がないのだろうか?
今までずっと、息子のように接してきたお父様やお母様、兄さんたちだって騎士を慕い友情を育んできたのではないの、家族の一員のように接してきたんじゃないの?
それなのに、何を言ってるの?
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