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第一章
04
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目を凝らして見える範囲端から確認していくと、少しばかし遠くに宿らしき看板と名前が見えた。
「騎士、あの奥の方にあるのは宿じゃないかしら?行ってみましょう」
騎士の右袖を軽く引っ張って合図を送ってから手を離して、すぐさま宿らしき店のある方向に駆け出そうとすれば目の前に、ふっと右腕が伸びて前に進むことを中断せざるを得なくなった。
急に出てきた腕に驚いて
その腕の主の顔を覗き見れば
「サフィ…宿に着くまでの間、俺の懐へ来い」
騎士の右腕はまだ、私の目の前にある。
その上で私に向き合って、羽織っている黒マントを左腕を広げることで空間ができたその中へ入って来いと言わんばかりの視線を感じる。
直ぐに動こうとしない私をみて、騎士の右腕が優しく私の肩を前から抱くように触れて自分の懐へと誘導されてしまった。
『騎士ったら、本当に過保護なんだから…先程湖で泳いだこともあるし、多少濡れても宿でシャワーを借りれば何の問題無いと思っていたけれど、どうやらそうは行かないようね。』
ポツリ、ポツリと降る雨がザァザァという音に変わる前にどうにか宿につきたいもの。
そうなれば、『大人しく騎士のやりたいようにさせてる方がここは賢いわよね。』と、黙って騎士のマントの中に導かれるがまますっぽりと入る。
そんな私の行動に満足したのか、自らもフードを被り私の頭を軽く撫でてきた。
そして影が深くなったかと思うと
騎士が少し屈んで、片腕で私を抱き上げる。
その行為が急すぎて「ひゃっ」と小さめに驚きから声が出てしまって、恥ずかしさに口をとっさに片手で押さえた。
騎士の片側のマントだけが私が抱き上げられたこともあり斜め上に布が引っ張り上げられて不格好になるが、そんなことには気にも止めずに宿らしき店の方向へと足を向ける。
先程、らしきと思った店はやはり宿で合っていた。
宿の前には少しばかしテントが張ってあり、ドア横の窓際で騎士はゆっくりと私を下ろしてから濡れたマントの水をはらう動作をする。
私も布で擦れて軽くボサボサになった髪を窓にかろうじて映る自分の姿を見ながら整える。
影が近づいたかと思えば
そんな私の頭をひと撫でして
「待たせた、宿へ入ろう。」
そう言って肩を抱いて入口へと向かわさせられる。
「大丈夫よ、待ってないわ。…えぇ」
『密着しておかなくても、物陰から野獣など出てこないのに。』
カラン、コロン、
そういう音がドア上につけてある鈴から鳴る
中に入れば数歩先に受付があり、騎士に肩を抱かれたまま受付の店番の女性の前に近付く。
目の前の女性は此方に興味なんてないようで下を向いていたが、一歩、一歩近づくにつれて私はハッとする。
店番の女性の見た目は、ウェブのかかったロングヘアーに胸元が開いている服から溢れんばかりの色白の巨乳、近づいてきた私たちに仕方なしにと言った感じで上げた顔は、目元に泣きボクロが何処か大人の女性の魅力を漂わせているその雰囲気から、思うに20代後半のように見える。
『あぁ、目の前の店番の女性は騎士のタイプの女性ね。』
近づいてきた私たちに、仕事だから仕方ないと言った声で「いらっしゃい…」と店番の女性は口を開くと同時に顔を上げた。
そして視界に騎士が見えた途端
その気だるそうな瞳を大きく一度開いた。
『これは、騎士の魅力に一目で奪われたわね。』
彼女から騎士への好意的なオーラが流れ出ているのを感じ取り分かりきっていた状態だけど、これから私にとって面倒臭いやり取りが行われるかと思うとため息がでる。
カウンターの前で足を止めて、騎士が店番へ
「泊まれる部屋はあるか?」
何を考えているか分からない表情で声をかける。
「えぇ、旦那丁度空きがあるのだけど…」
双子でもいるのかしら?と言いたいほど、先ほどとは打って変わって陽気な声でカウンター越しから身を乗り出して騎士に女性フェロモンを撒いている店番には騎士しか見えていない様子
『…私の姿が見えていないのね。』
それなら、それでいいわ。
騎士のあとで部屋を取れば済むことだし、二人の話が済むまで心ばかしにあるソファで座って気長に待っていればいいかしら?と、視線をソファにやる。
『ソファで座って待っておきましょ』と動けば、騎士の横にいる私が視界に入ったようで言葉が止まった。
しっかり私の方に目をやり騎士と私の関係を瞬時に判断しようとしているのか女性の眉間にシワがよっていて、『キレイな顔が鬼のようね。』と思うも例えるなら蛇に睨まれたかのように動くことができなくなり、不本意だけれど女性を見つめ返す状態で私も固まる。
少しのなんとも言えない間の後に
急に左右に目を泳がせたかと思えば、人差し指だけ立てて頬に沿うようにあてがい、ふと閃いたと言う感じで「あっ!」と声を出すので、ビクッと少し驚いてしまったわ。
「この可愛らしいお嬢ちゃんは旦那の妹さんかい?」
とニコニコ笑みで騎士に顔を向ける。
『流れ的におかしい話の持っていき方ね。…ムリがあると思うのだけど』
狙った獲物を確実に手に入れたいと、私が自分には害がない相手であるように強制的に話を持っていく姿に『騎士と私はこんなに顔が似ていないのに、よく妹だなんて思うのね。そうあって欲しいだけでしょう』とどっと疲れが増す。
別にこの女の人だけに限ったことじゃなく長い間、騎士の度重なる女性問題に巻き添いになって困ってるのが事実
そもそも、”妹”の立ち位置に立たせるにしても
騎士は、紫に近い黒髪ショートのストレートで澄んだガラス玉の様なブルーの瞳をしている。勿論切れ長の目元に鼻もスッキリと筋が通っていて、口もそこまで大きくも無く薄めの唇で旅での日焼けはしているものの汚い焼け方をしている訳ではなく、長身長の割に小顔に見えるがもしかしたら普通なのかもと思う。何より全体的にバランスがとれた肉体美を持ち合わせており、剣術も優れて頭の回転も速い上に世話焼きで微笑めば甘いマスクをその無表情の奥底に隠し持ってるような男をどこの女がほっておくと言うのだろう。って感じだけど、
対して”妹”などと都合よく解釈される私は、母に似た色白ではあるけれどこの旅で日焼けをして軽く焼けていてなんとも言えない状態で、剣術や日頃筋肉を作るために運動をしても決して細マッチョの様な筋肉を持ち合わせてはないないし、赤毛に軽くウェーブがかかっていて、瞳の色も茶色。目も切れ目じゃなく猫目だし、鼻もスッキリとっていうより小鼻で口もそこまで大きくはなくても唇が適度に厚みがある。
騎士と全然似ていないと思うわ。
ただ、私は騎士を兄の様にそして剣の師匠として尊敬をしているから、お兄さん?と言われても問題は無いのだけれど、騎士はどう思ってるかなんて分からないからそれは伝えれずのままなのよね。
だいたいの女性たちは私になんて話を振ることすらなく、騎士に”妹”かと聞いている。
きっと彼女たちはこの出会いを易々と流したくないんだと思う。
そこまで女性たちを魅了する騎士
魅了するのはいいけど私へのとばっちりも凄いことを本当に分かって欲しいわ。
そう思いながら、どしゃ降りの外を眺める。
「騎士、あの奥の方にあるのは宿じゃないかしら?行ってみましょう」
騎士の右袖を軽く引っ張って合図を送ってから手を離して、すぐさま宿らしき店のある方向に駆け出そうとすれば目の前に、ふっと右腕が伸びて前に進むことを中断せざるを得なくなった。
急に出てきた腕に驚いて
その腕の主の顔を覗き見れば
「サフィ…宿に着くまでの間、俺の懐へ来い」
騎士の右腕はまだ、私の目の前にある。
その上で私に向き合って、羽織っている黒マントを左腕を広げることで空間ができたその中へ入って来いと言わんばかりの視線を感じる。
直ぐに動こうとしない私をみて、騎士の右腕が優しく私の肩を前から抱くように触れて自分の懐へと誘導されてしまった。
『騎士ったら、本当に過保護なんだから…先程湖で泳いだこともあるし、多少濡れても宿でシャワーを借りれば何の問題無いと思っていたけれど、どうやらそうは行かないようね。』
ポツリ、ポツリと降る雨がザァザァという音に変わる前にどうにか宿につきたいもの。
そうなれば、『大人しく騎士のやりたいようにさせてる方がここは賢いわよね。』と、黙って騎士のマントの中に導かれるがまますっぽりと入る。
そんな私の行動に満足したのか、自らもフードを被り私の頭を軽く撫でてきた。
そして影が深くなったかと思うと
騎士が少し屈んで、片腕で私を抱き上げる。
その行為が急すぎて「ひゃっ」と小さめに驚きから声が出てしまって、恥ずかしさに口をとっさに片手で押さえた。
騎士の片側のマントだけが私が抱き上げられたこともあり斜め上に布が引っ張り上げられて不格好になるが、そんなことには気にも止めずに宿らしき店の方向へと足を向ける。
先程、らしきと思った店はやはり宿で合っていた。
宿の前には少しばかしテントが張ってあり、ドア横の窓際で騎士はゆっくりと私を下ろしてから濡れたマントの水をはらう動作をする。
私も布で擦れて軽くボサボサになった髪を窓にかろうじて映る自分の姿を見ながら整える。
影が近づいたかと思えば
そんな私の頭をひと撫でして
「待たせた、宿へ入ろう。」
そう言って肩を抱いて入口へと向かわさせられる。
「大丈夫よ、待ってないわ。…えぇ」
『密着しておかなくても、物陰から野獣など出てこないのに。』
カラン、コロン、
そういう音がドア上につけてある鈴から鳴る
中に入れば数歩先に受付があり、騎士に肩を抱かれたまま受付の店番の女性の前に近付く。
目の前の女性は此方に興味なんてないようで下を向いていたが、一歩、一歩近づくにつれて私はハッとする。
店番の女性の見た目は、ウェブのかかったロングヘアーに胸元が開いている服から溢れんばかりの色白の巨乳、近づいてきた私たちに仕方なしにと言った感じで上げた顔は、目元に泣きボクロが何処か大人の女性の魅力を漂わせているその雰囲気から、思うに20代後半のように見える。
『あぁ、目の前の店番の女性は騎士のタイプの女性ね。』
近づいてきた私たちに、仕事だから仕方ないと言った声で「いらっしゃい…」と店番の女性は口を開くと同時に顔を上げた。
そして視界に騎士が見えた途端
その気だるそうな瞳を大きく一度開いた。
『これは、騎士の魅力に一目で奪われたわね。』
彼女から騎士への好意的なオーラが流れ出ているのを感じ取り分かりきっていた状態だけど、これから私にとって面倒臭いやり取りが行われるかと思うとため息がでる。
カウンターの前で足を止めて、騎士が店番へ
「泊まれる部屋はあるか?」
何を考えているか分からない表情で声をかける。
「えぇ、旦那丁度空きがあるのだけど…」
双子でもいるのかしら?と言いたいほど、先ほどとは打って変わって陽気な声でカウンター越しから身を乗り出して騎士に女性フェロモンを撒いている店番には騎士しか見えていない様子
『…私の姿が見えていないのね。』
それなら、それでいいわ。
騎士のあとで部屋を取れば済むことだし、二人の話が済むまで心ばかしにあるソファで座って気長に待っていればいいかしら?と、視線をソファにやる。
『ソファで座って待っておきましょ』と動けば、騎士の横にいる私が視界に入ったようで言葉が止まった。
しっかり私の方に目をやり騎士と私の関係を瞬時に判断しようとしているのか女性の眉間にシワがよっていて、『キレイな顔が鬼のようね。』と思うも例えるなら蛇に睨まれたかのように動くことができなくなり、不本意だけれど女性を見つめ返す状態で私も固まる。
少しのなんとも言えない間の後に
急に左右に目を泳がせたかと思えば、人差し指だけ立てて頬に沿うようにあてがい、ふと閃いたと言う感じで「あっ!」と声を出すので、ビクッと少し驚いてしまったわ。
「この可愛らしいお嬢ちゃんは旦那の妹さんかい?」
とニコニコ笑みで騎士に顔を向ける。
『流れ的におかしい話の持っていき方ね。…ムリがあると思うのだけど』
狙った獲物を確実に手に入れたいと、私が自分には害がない相手であるように強制的に話を持っていく姿に『騎士と私はこんなに顔が似ていないのに、よく妹だなんて思うのね。そうあって欲しいだけでしょう』とどっと疲れが増す。
別にこの女の人だけに限ったことじゃなく長い間、騎士の度重なる女性問題に巻き添いになって困ってるのが事実
そもそも、”妹”の立ち位置に立たせるにしても
騎士は、紫に近い黒髪ショートのストレートで澄んだガラス玉の様なブルーの瞳をしている。勿論切れ長の目元に鼻もスッキリと筋が通っていて、口もそこまで大きくも無く薄めの唇で旅での日焼けはしているものの汚い焼け方をしている訳ではなく、長身長の割に小顔に見えるがもしかしたら普通なのかもと思う。何より全体的にバランスがとれた肉体美を持ち合わせており、剣術も優れて頭の回転も速い上に世話焼きで微笑めば甘いマスクをその無表情の奥底に隠し持ってるような男をどこの女がほっておくと言うのだろう。って感じだけど、
対して”妹”などと都合よく解釈される私は、母に似た色白ではあるけれどこの旅で日焼けをして軽く焼けていてなんとも言えない状態で、剣術や日頃筋肉を作るために運動をしても決して細マッチョの様な筋肉を持ち合わせてはないないし、赤毛に軽くウェーブがかかっていて、瞳の色も茶色。目も切れ目じゃなく猫目だし、鼻もスッキリとっていうより小鼻で口もそこまで大きくはなくても唇が適度に厚みがある。
騎士と全然似ていないと思うわ。
ただ、私は騎士を兄の様にそして剣の師匠として尊敬をしているから、お兄さん?と言われても問題は無いのだけれど、騎士はどう思ってるかなんて分からないからそれは伝えれずのままなのよね。
だいたいの女性たちは私になんて話を振ることすらなく、騎士に”妹”かと聞いている。
きっと彼女たちはこの出会いを易々と流したくないんだと思う。
そこまで女性たちを魅了する騎士
魅了するのはいいけど私へのとばっちりも凄いことを本当に分かって欲しいわ。
そう思いながら、どしゃ降りの外を眺める。
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