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その後
髪に願った祈りって何だっけ
しおりを挟む下からの楽しそうな声が小さいながらにも聞こえてくるのと、隣の壁に耳をつけても今は何も聞こえないけどきっと、この様子じゃある程度聞こえそうだと予測を立てる。
ベッドに腰をかけて寝転がって見て天井を見たら 差し込む夜空の光がないから雨漏りは大丈夫そう。
また、起き上がってドアの鍵を開けて2階の作りを見て歩く。といえど、そこまで広いわけではないので私の角部屋から2部屋続きバストイレが奥に続いていた。
階段の上から下にかけて覗き込んでみたり、今誰かに出くわしたら不審者極まりないことをしている。
また、そそくさと部屋に戻って鍵をしめてベッドの上に紙袋から出したドレスを広げ、このまま質屋に入れることはどう考えても身バレを含め厳しいと理解しているので、王家は私を探すことなどないと言い切れても、家族が探さないとは言い切れない。
結構激怒していた流れで、絶縁だと言われたけどきっと私が途方に暮れて謝ってくると思っての判断だと思う分、絶縁はこちらとして好都合で絶対に家族に捕まって家に戻されるわけにはいかないと強く思う
だからこそ、一つ一つ長い年月をかけて積み重ねてきた計画が一瞬で崩れ落ちないように、お金になるといえど、どう捌くかよく考えて時間をかけて行わなきゃいけない。
ドレスと一緒に脱いでいたコルセットの中敷の間に挟んでいた小さなハサミを小さな穴に指を入れて引きちぎるように緩んでる縫い目横から布を引っ張り破る。
ビリビリと少々大きな音が出たが隣の部屋に人の気配はなかった筈だからとハサミを取り出す いったん机の上に置いて、他のベットの上に広げた物を小さく畳んで紙袋に戻す。
紙袋をベットの下の隙間にしまって、ハサミを着ているペティコートの横からポケットに入れて先 程発見した洗面所に、部屋のドアの鍵を閉めて向かう。
念のためにトントントンとドアを2度ノックしてみるが返事はない ドアノブをひねって中に入り鍵を閉める
手洗いの上にある鏡で身なりを確認して一呼吸
今まで大事に、お母様が手入れをしてきてくれたこの髪をバッサリと切るのは気がひけるけど『これも身バレを防ぐためには必要な手段よ!』と自分に言い聞かせてポッケからハサミを出す。
ジャッキ、ジャッキ・・・バサッ
ハサミが髪の毛を滑るように切るためでる音がやけに大きく聞こえる。
生まれて初めて自分の髪の毛を切って思うことは、メイドやお母様のように上手く切るにはもっと練習が必要だと思うのと、自分にはセンスがないのかもしれないと思う。
あまり時間をかけていると女将さんに心配されそうなのでパパッとカットしてしまう。
腰下まであった髪の毛は長くて首下までになり前髪も自分なりに眉下で作って見た結果『ガタガタカットにはなったけどヘルメット見たいではないから笑われないわよね』と鏡の中の自分を見て言い聞かせる。
切り終わった後の髪の毛は、ゴミと一緒に廃棄してもらうために周りを軽く掃除してペーパーに一緒に包んで自室にもう一度戻ってベッドの下にその日までしまっておくことにした。
『明日は薬剤師さんのところに頼んでいた商品を取りに朝から動かなきゃ行けないわね』
予定を思い出す。今まで重く感じていた頭が軽くなってなんだか寂しい様な気もしたが、一度決意したことだと、切った髪の毛が服に着いていないか確認をし、もう一度全体を軽くはらって一呼吸した後、手すりを持ちながらゆっくり階段を下りた。
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