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第185話 使徒
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「なっ?!こ、この力の波動っ?!・・・ま、間違いない・・・炎帝龍アグニシアだ・・・」
ドルゲルが目を見開き突然立ち上がると声を上げた。
「ド、ドルゲル殿?!ど、どうしたんだ?!」
「そうよ!どうしたのよ?!」
ジルバとマーベリアが心配そうにドルゲルを見上げる。
「馬鹿かお前等は?!獣人の癖にどれだけ鈍感なんだ!この力の波動を感じないのか?!炎帝龍アグニシアがもう直ぐ目覚めるんだよ!!多分この波動を放っているのは分体だ。アグニシアが自分を起こそうとしている奴を見つけたんだ・・・」
(ちぃ・・だが分体とは別に馬鹿でかい魔力・・・いや・・これは神力か!!それが3つ・・中でも1つは・・・ば、化け物級だ・・どうなってやがる・・・まさか・・)
ドルゲルの脳裏に以前放った八岐大蛇が倒された記憶が過った・・
(・・・これは今後の為にも確かめる必要があるぞ・・・だが・・この馬鹿でかい神力・・・相手が敵だったら・・・今の俺では・・・)
「ド、ドルゲル・・殿?ど、どういう事だ?!アグニシアが目覚める?!詳しく教えてくれ!!」
立ったまま一点を見つめて固めるドルゲルにジルバも立ち上がる。しかしそんなジルバを無視して考え込むドルゲルが弾けたように顔を上げた!
(んんっ?!ちょっと待てよ!馬鹿でかい神力に気を取られていたが・・・も、もう1つ・・こ、この神力は・・・ククッ・・いたぞ・・イグだ・・・よしよし・・・これは運が向いて来たぞ・・・)
ついさっきまで眉間に皺を寄せていたドルゲルが急にニヤリと笑う。すると突然マーベリアがドルゲルの胸ぐらを掴み揺らす!
「ねえ?!あんた聞いてる?!何をさっきから1人百面相してるのよ!!さっきからジルバ殿が聞いてるじゃ無い?!なんとか言いなさいよ!!」
「えぇい!!五月蝿い!!」
「あうっ!」
ドルゲルはマーベリアの腕を振り払う。
「いいか!よく聞け!今、アグニシアの分体が現れたんだ!奴が目覚めるも時間の問題だ。だから俺はそれを止めに行く!このままこの世界を終わらせる訳にはいかないからな!」
(ふん!それじゃあこの世界を支配する意味がないからな・・・)
「ド、ドルゲル殿・・・あんたは何故それほどまでに勇敢なんだ・・・正に神か・・」
ジルバが尊敬の眼差しで立ち上がる。そしてマーベリアも真剣な顔で前に出る。
「だったら私も行くわ!」
「駄目だ!」
「えっ?!」
ドルゲルがマーベリアの言葉を予測していたようにピシャリと切り捨てた。
「・・と言うより・・無理だ。お前達では近付く事さえ出来ん。足手纏いだ!今、龍峰山はアグニシアの分体の放つ熱気と殺気が渦巻いているんだぞ!お前等ごときでは死にに行くようなものだ!それに龍峰山から逃げる魔物がこの辺りに殺到するぞ!」
マーベリアは顔を上げ光悦な表情でドルゲルに歩み寄る。
「・・・そ、そんな危険な場所に・・ドルゲル様は私達の為に・・この世界の為に単身犠牲になると言うのですか?!・・・貴方は本当にこの世界の危機を救う為にこの地上に降りて来た神・・・まさに救世主・・・私達は暗黒神ドルゲル様のお言葉通り行動致しましょう。」
「ドルゲル様。魔物の対処は我らにお任せください。必ずやこの街を護って見せましょう!」
マーベリアがドルゲルの足元に跪いた・・それに続いて部下達も跪く。
(うーん・・・崇めたり詰め寄ったり・・こいつの情緒はどうなっているんだ・・・よく分からん・・・)
ドルゲルは跪くマーベリアを目を細めて見下ろすのであった。
龍峰山では段々と威力を増して荒れ狂うアグニシアの熱気と殺気の中でミハエル達が行動を起こす!
「ライナード君!皆んなを頼むよ!!」
「カリンはこの熱気を吸収して!!」
ミハエルの声を聞く前にライナードとカリンは指輪を外して魔力を集中していた。
「おう!分かってる!!天空魔法〈ストームシールド〉!!」
「任せて!!冥界魔法〈シャドームーン〉!!」
ライナードが魔力を展開すると風の流れが息も絶え絶えのセイル達を囲むように立ち昇る。風の内側は熱も殺気も遮断され穏やかな空間となっていた。
「・・ぜぇ・・ぜぇ・・た、助かったぜ・・もうダメかと思った・・・」
「・・・ふっ、ふっ、ふぅ・・・ほ、本当に死ぬかと思いました・・・と、所であの3人は・・・生きていますか・・・?」
セイルが三兄弟に目をやると白目を剥いて泡を吹いているが微かに胸が膨らみ上下していた。
カリンが空に放った巨大な漆黒の球体は高速回転をしながらアグニシアの放つ熱気を吸い込んで行く!アグニシアが放つ熱気をそのままにしておけば周りの街や森が壊滅的な被害を受ける事になるのだ。
「・・・い、いきなり分体が出て来るなんて・・・だけど・・・リ、リベルト殿・・・あの人間・・ライナードとカリンだったわね・・・」
イグは複雑な面持ちで立ち上がりライナードとカリンを見据えていた。
「あ、あぁ。そうだが・・どうしたんだ?」
「こ、この圧倒的と言うのも足りない程の神力・・・こ、この空間・・・濃密な風魔法で造られてるわ・・アグニシアの分体の熱気と殺気を最も簡単に遮断している。それと同時に蘇生級の癒し魔法も同時に行使されているの・・あそこに倒れている3人は一度死んでいた・・・それを見越して蘇生魔法級の魔法を行使しながらこの強力な結界を展開しているのよ・・・それにあの子・・・〈シャドームーン〉は冥界魔法の中でも上級に位置するわ。術者が望むもの全てを吸い込み無と化す魔法・・・あの恐ろしく膨大な魔力を消費する魔法を平然と行使しているわ。それがどういう事か分かる?」
イグが真剣な表情でリベルトを見つめるとリベルトは目を逸らし顔を赤らめる・・
「・・あ・・あの・・た、ただ・・凄いと言うしか・・・」
リベルトが自身なさげに呟くとイグが呆れ顔で肩を落とす。
「はぁ・・・いい?!そんな一言で語れるレベルじゃないのよ!?その身で体験したように古龍四柱の分体にさえまともに対峙出来る人間なんて居ないの!この神界の力を持つ私でさえ気を抜けないのよ?!なのにあの3人は普通に対峙してその上高度な魔法を行使しているのよ!!その上あのミハエルと言う少年・・・あの指輪で神力を抑えているのよね・・・だけど・・指輪を外したライナードとカリンの神力が指輪を外す前のミハエル少年の神力と同等なのよ・・・そして・・突然私達の前に炎帝龍アグニシアの分体が現れた・・・」
イグがミハエル達を見据えながら一気に捲し立てるとリベルトが何かを察したようにイグの横に並び立ちミハエル達を眺める。
「ま、まさか・・アグニシアが目覚めたのは・・・」
イグが静かに頷く。
「・・・そう・・私達は根本から思い違いをしていたのよ・・・炎帝龍アグニシアを目覚めさせたのは・・光の使徒の膨大な神力・・それもミハエル少年の馬鹿げた神力の波動よ!それをアグニシアは興味を持つどころか敵意と受け取ったのかも知れないわ・・・」
「・・・そうか。だが原因がミハエル殿ならば誤解を解くのもミハエル殿なら出来るはずだろう?」
リベルトはアグニシアの分体と対峙するミハエルに視線を送る。するとそこには涼しい顔でアグニシアの分体を見上げるミハエルの姿があった。
「アグニシアさん。初めまして僕はミハエルと言います。お話しませんか?」
ミハエルに唐突に話しかけられアグニシアの分体が目を細めて動きを止めた。
「・・・羽虫の分散で我にに話しかけるとは・・・だが・・我の熱気と殺気をものともせぬか・・この我を威嚇しただけの事はあると言う事か・・・」
「えっ?!威嚇した?僕が?なんの事ですか?」
「・・・惚けるでない・・・その貴様の羽虫にしては強力な波動・・抑えていても忘れはせぬぞ・・・覚えがあるであろう?」
アグニシアが更に目つきを鋭くしてミハエルを見下ろすとミハエルがアグニシアを見上げながら記憶を辿る・・・そして一度メルト村で力を抑える指輪を全て外した事を思い出した・・・
(・・あっ・・も、もしかして・・帝国騎士団がメルト村を襲った時に・・・〈フルポテンシャル〉を全力で使ったような・・・)
ミハエルが思い出し眉を上げるとアグニシアの口角が上がる。
「・・・ふっ・・心当たりがあったであろう・・・あれから我はゆっくり眠れぬのだ・・だからお前ごとこの地を更地にしてくれる!!」
「あ、あの・・・あの時は村を守る為に力を解放しただけなんです!威嚇なんて考えてないんです!・・・でも・・もしアグニシアさんがこの地上を更地にするのなら僕は貴方と戦話なければいけません!」
ミハエルはアグニシアを見据えて指輪を二つ外すと魔剛剣抜き放った。ミハエルの身体からはアグニシアの分体が顔を顰める程の神力が渦巻き立ち昇った。
「・・う・・ぐ・・・こ、この力・・・貴様・・・何者だ?!ただの羽虫では無いな・・?」
するとアグニシアの眼が光りミハエルを鑑定する・・・アグニシアはミハエルのステータスを食い入るように目を見開き凝視する・・
「・・・っ?!こ、これはぁぁぁぁ!!」
アグニシアの分体が先程の態度とは一変し上空から急いで降りるとミハエルの足元に跪いた・・・
「へっ?!」
「こ、これは・・大変失礼い致しました・・そ、それにしても・・・使徒様もお人が悪い・・・最初から言って頂けば良いのに。」
「「「「「「はっ?!」」」」」
ミハエルも含めその場にいた者達がその光景に唖然とするのであった・・・
〈世界神の部屋〉
「ゼムス様。失礼致します。」
「おぉ!メリエル殿か!珍しいな!何か用か?」
「はい。少し確認しておきたい事があります。」
「ほう。何かな?」
メリエルの真剣な眼差しにゼムスの脳裏にされては困る質問が浮かぶ・・・
「あのミハエルと言う少年の事です。」
(・・・やっぱり・・・)
「・・・ミ、ミハエルがどうしたのだ?」
「・・・ゼムス様。知っていましたね?あの日、橘 涼太が助けた女の子、溝口 玲が私の運命の歯車になる筈だった事を・・・」
メリエルが突き刺さるような視線をゼムスに向ける。
「い、いや・・・それは・・初耳だな。私は・・結果しか知らないのだ・・」
歯切れが悪くメリエルの眼を見る事が出来ないゼムスに更に質問を投げかける。
「あの橘 涼太は私の運命の歯車を越えた・・・ゼムス様・・ミハエル少年の称号を偽装しましたね?アレでは私の運命を越えるは同然です!」
(どきぃぃぃぃ・・・)
「な、何の事だ・・?よく分からないな・・」
「惚けないでください!!私はミハエル少年のステータスを見たのです!私の鑑定は誤魔化されませんよ・・・ゼムス様が私の事を気遣ってくれたのは嬉しい事だと思っています。ですが!あのミハエル少年は既に地上に居てはいけない存在になっています!」
ミハエル
Lv 13654
【称号】創造神の使徒
攻撃力 768547489
防御力 687490532
素早さ 853795316
魔力 4695338649
魔法力 10763899547
【加護】〈世界神の加護〉
〈光の加護〉
〈闇の加護〉
【装備付与】
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
【スキル】〈アイテムボックス〉〈影収納〉〈経験値1000倍〉〈ステータス上昇値1000倍〉〈全状態異常無効〉〈スキル消去〉〈スキル防御〉〈スキル付与〉〈全魔法使用〉〈光属性魔法・極大〉〈闇属性魔法・極大〉〈悪意感知〉〈索敵〉〈隠密〉〈看破〉〈擬装〉〈威圧〉〈薬の極意〉〈錬金の極意〉〈体術の極意〉〈剣の極意〉〈弓の極意〉
(む、むう・・・遂にバレてしまったか・・・確かにあの力は下手をすれば地上を消滅しかねないが・・・でも言えない・・メリエル殿が選んだ溝口 玲ではルビラスに対抗出来ないと創造神ゼムビウス様が判断したなんてな・・・)
ドルゲルが目を見開き突然立ち上がると声を上げた。
「ド、ドルゲル殿?!ど、どうしたんだ?!」
「そうよ!どうしたのよ?!」
ジルバとマーベリアが心配そうにドルゲルを見上げる。
「馬鹿かお前等は?!獣人の癖にどれだけ鈍感なんだ!この力の波動を感じないのか?!炎帝龍アグニシアがもう直ぐ目覚めるんだよ!!多分この波動を放っているのは分体だ。アグニシアが自分を起こそうとしている奴を見つけたんだ・・・」
(ちぃ・・だが分体とは別に馬鹿でかい魔力・・・いや・・これは神力か!!それが3つ・・中でも1つは・・・ば、化け物級だ・・どうなってやがる・・・まさか・・)
ドルゲルの脳裏に以前放った八岐大蛇が倒された記憶が過った・・
(・・・これは今後の為にも確かめる必要があるぞ・・・だが・・この馬鹿でかい神力・・・相手が敵だったら・・・今の俺では・・・)
「ド、ドルゲル・・殿?ど、どういう事だ?!アグニシアが目覚める?!詳しく教えてくれ!!」
立ったまま一点を見つめて固めるドルゲルにジルバも立ち上がる。しかしそんなジルバを無視して考え込むドルゲルが弾けたように顔を上げた!
(んんっ?!ちょっと待てよ!馬鹿でかい神力に気を取られていたが・・・も、もう1つ・・こ、この神力は・・・ククッ・・いたぞ・・イグだ・・・よしよし・・・これは運が向いて来たぞ・・・)
ついさっきまで眉間に皺を寄せていたドルゲルが急にニヤリと笑う。すると突然マーベリアがドルゲルの胸ぐらを掴み揺らす!
「ねえ?!あんた聞いてる?!何をさっきから1人百面相してるのよ!!さっきからジルバ殿が聞いてるじゃ無い?!なんとか言いなさいよ!!」
「えぇい!!五月蝿い!!」
「あうっ!」
ドルゲルはマーベリアの腕を振り払う。
「いいか!よく聞け!今、アグニシアの分体が現れたんだ!奴が目覚めるも時間の問題だ。だから俺はそれを止めに行く!このままこの世界を終わらせる訳にはいかないからな!」
(ふん!それじゃあこの世界を支配する意味がないからな・・・)
「ド、ドルゲル殿・・・あんたは何故それほどまでに勇敢なんだ・・・正に神か・・」
ジルバが尊敬の眼差しで立ち上がる。そしてマーベリアも真剣な顔で前に出る。
「だったら私も行くわ!」
「駄目だ!」
「えっ?!」
ドルゲルがマーベリアの言葉を予測していたようにピシャリと切り捨てた。
「・・と言うより・・無理だ。お前達では近付く事さえ出来ん。足手纏いだ!今、龍峰山はアグニシアの分体の放つ熱気と殺気が渦巻いているんだぞ!お前等ごときでは死にに行くようなものだ!それに龍峰山から逃げる魔物がこの辺りに殺到するぞ!」
マーベリアは顔を上げ光悦な表情でドルゲルに歩み寄る。
「・・・そ、そんな危険な場所に・・ドルゲル様は私達の為に・・この世界の為に単身犠牲になると言うのですか?!・・・貴方は本当にこの世界の危機を救う為にこの地上に降りて来た神・・・まさに救世主・・・私達は暗黒神ドルゲル様のお言葉通り行動致しましょう。」
「ドルゲル様。魔物の対処は我らにお任せください。必ずやこの街を護って見せましょう!」
マーベリアがドルゲルの足元に跪いた・・それに続いて部下達も跪く。
(うーん・・・崇めたり詰め寄ったり・・こいつの情緒はどうなっているんだ・・・よく分からん・・・)
ドルゲルは跪くマーベリアを目を細めて見下ろすのであった。
龍峰山では段々と威力を増して荒れ狂うアグニシアの熱気と殺気の中でミハエル達が行動を起こす!
「ライナード君!皆んなを頼むよ!!」
「カリンはこの熱気を吸収して!!」
ミハエルの声を聞く前にライナードとカリンは指輪を外して魔力を集中していた。
「おう!分かってる!!天空魔法〈ストームシールド〉!!」
「任せて!!冥界魔法〈シャドームーン〉!!」
ライナードが魔力を展開すると風の流れが息も絶え絶えのセイル達を囲むように立ち昇る。風の内側は熱も殺気も遮断され穏やかな空間となっていた。
「・・ぜぇ・・ぜぇ・・た、助かったぜ・・もうダメかと思った・・・」
「・・・ふっ、ふっ、ふぅ・・・ほ、本当に死ぬかと思いました・・・と、所であの3人は・・・生きていますか・・・?」
セイルが三兄弟に目をやると白目を剥いて泡を吹いているが微かに胸が膨らみ上下していた。
カリンが空に放った巨大な漆黒の球体は高速回転をしながらアグニシアの放つ熱気を吸い込んで行く!アグニシアが放つ熱気をそのままにしておけば周りの街や森が壊滅的な被害を受ける事になるのだ。
「・・・い、いきなり分体が出て来るなんて・・・だけど・・・リ、リベルト殿・・・あの人間・・ライナードとカリンだったわね・・・」
イグは複雑な面持ちで立ち上がりライナードとカリンを見据えていた。
「あ、あぁ。そうだが・・どうしたんだ?」
「こ、この圧倒的と言うのも足りない程の神力・・・こ、この空間・・・濃密な風魔法で造られてるわ・・アグニシアの分体の熱気と殺気を最も簡単に遮断している。それと同時に蘇生級の癒し魔法も同時に行使されているの・・あそこに倒れている3人は一度死んでいた・・・それを見越して蘇生魔法級の魔法を行使しながらこの強力な結界を展開しているのよ・・・それにあの子・・・〈シャドームーン〉は冥界魔法の中でも上級に位置するわ。術者が望むもの全てを吸い込み無と化す魔法・・・あの恐ろしく膨大な魔力を消費する魔法を平然と行使しているわ。それがどういう事か分かる?」
イグが真剣な表情でリベルトを見つめるとリベルトは目を逸らし顔を赤らめる・・
「・・あ・・あの・・た、ただ・・凄いと言うしか・・・」
リベルトが自身なさげに呟くとイグが呆れ顔で肩を落とす。
「はぁ・・・いい?!そんな一言で語れるレベルじゃないのよ!?その身で体験したように古龍四柱の分体にさえまともに対峙出来る人間なんて居ないの!この神界の力を持つ私でさえ気を抜けないのよ?!なのにあの3人は普通に対峙してその上高度な魔法を行使しているのよ!!その上あのミハエルと言う少年・・・あの指輪で神力を抑えているのよね・・・だけど・・指輪を外したライナードとカリンの神力が指輪を外す前のミハエル少年の神力と同等なのよ・・・そして・・突然私達の前に炎帝龍アグニシアの分体が現れた・・・」
イグがミハエル達を見据えながら一気に捲し立てるとリベルトが何かを察したようにイグの横に並び立ちミハエル達を眺める。
「ま、まさか・・アグニシアが目覚めたのは・・・」
イグが静かに頷く。
「・・・そう・・私達は根本から思い違いをしていたのよ・・・炎帝龍アグニシアを目覚めさせたのは・・光の使徒の膨大な神力・・それもミハエル少年の馬鹿げた神力の波動よ!それをアグニシアは興味を持つどころか敵意と受け取ったのかも知れないわ・・・」
「・・・そうか。だが原因がミハエル殿ならば誤解を解くのもミハエル殿なら出来るはずだろう?」
リベルトはアグニシアの分体と対峙するミハエルに視線を送る。するとそこには涼しい顔でアグニシアの分体を見上げるミハエルの姿があった。
「アグニシアさん。初めまして僕はミハエルと言います。お話しませんか?」
ミハエルに唐突に話しかけられアグニシアの分体が目を細めて動きを止めた。
「・・・羽虫の分散で我にに話しかけるとは・・・だが・・我の熱気と殺気をものともせぬか・・この我を威嚇しただけの事はあると言う事か・・・」
「えっ?!威嚇した?僕が?なんの事ですか?」
「・・・惚けるでない・・・その貴様の羽虫にしては強力な波動・・抑えていても忘れはせぬぞ・・・覚えがあるであろう?」
アグニシアが更に目つきを鋭くしてミハエルを見下ろすとミハエルがアグニシアを見上げながら記憶を辿る・・・そして一度メルト村で力を抑える指輪を全て外した事を思い出した・・・
(・・あっ・・も、もしかして・・帝国騎士団がメルト村を襲った時に・・・〈フルポテンシャル〉を全力で使ったような・・・)
ミハエルが思い出し眉を上げるとアグニシアの口角が上がる。
「・・・ふっ・・心当たりがあったであろう・・・あれから我はゆっくり眠れぬのだ・・だからお前ごとこの地を更地にしてくれる!!」
「あ、あの・・・あの時は村を守る為に力を解放しただけなんです!威嚇なんて考えてないんです!・・・でも・・もしアグニシアさんがこの地上を更地にするのなら僕は貴方と戦話なければいけません!」
ミハエルはアグニシアを見据えて指輪を二つ外すと魔剛剣抜き放った。ミハエルの身体からはアグニシアの分体が顔を顰める程の神力が渦巻き立ち昇った。
「・・う・・ぐ・・・こ、この力・・・貴様・・・何者だ?!ただの羽虫では無いな・・?」
するとアグニシアの眼が光りミハエルを鑑定する・・・アグニシアはミハエルのステータスを食い入るように目を見開き凝視する・・
「・・・っ?!こ、これはぁぁぁぁ!!」
アグニシアの分体が先程の態度とは一変し上空から急いで降りるとミハエルの足元に跪いた・・・
「へっ?!」
「こ、これは・・大変失礼い致しました・・そ、それにしても・・・使徒様もお人が悪い・・・最初から言って頂けば良いのに。」
「「「「「「はっ?!」」」」」
ミハエルも含めその場にいた者達がその光景に唖然とするのであった・・・
〈世界神の部屋〉
「ゼムス様。失礼致します。」
「おぉ!メリエル殿か!珍しいな!何か用か?」
「はい。少し確認しておきたい事があります。」
「ほう。何かな?」
メリエルの真剣な眼差しにゼムスの脳裏にされては困る質問が浮かぶ・・・
「あのミハエルと言う少年の事です。」
(・・・やっぱり・・・)
「・・・ミ、ミハエルがどうしたのだ?」
「・・・ゼムス様。知っていましたね?あの日、橘 涼太が助けた女の子、溝口 玲が私の運命の歯車になる筈だった事を・・・」
メリエルが突き刺さるような視線をゼムスに向ける。
「い、いや・・・それは・・初耳だな。私は・・結果しか知らないのだ・・」
歯切れが悪くメリエルの眼を見る事が出来ないゼムスに更に質問を投げかける。
「あの橘 涼太は私の運命の歯車を越えた・・・ゼムス様・・ミハエル少年の称号を偽装しましたね?アレでは私の運命を越えるは同然です!」
(どきぃぃぃぃ・・・)
「な、何の事だ・・?よく分からないな・・」
「惚けないでください!!私はミハエル少年のステータスを見たのです!私の鑑定は誤魔化されませんよ・・・ゼムス様が私の事を気遣ってくれたのは嬉しい事だと思っています。ですが!あのミハエル少年は既に地上に居てはいけない存在になっています!」
ミハエル
Lv 13654
【称号】創造神の使徒
攻撃力 768547489
防御力 687490532
素早さ 853795316
魔力 4695338649
魔法力 10763899547
【加護】〈世界神の加護〉
〈光の加護〉
〈闇の加護〉
【装備付与】
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
〈ステータス1/100減〉
【スキル】〈アイテムボックス〉〈影収納〉〈経験値1000倍〉〈ステータス上昇値1000倍〉〈全状態異常無効〉〈スキル消去〉〈スキル防御〉〈スキル付与〉〈全魔法使用〉〈光属性魔法・極大〉〈闇属性魔法・極大〉〈悪意感知〉〈索敵〉〈隠密〉〈看破〉〈擬装〉〈威圧〉〈薬の極意〉〈錬金の極意〉〈体術の極意〉〈剣の極意〉〈弓の極意〉
(む、むう・・・遂にバレてしまったか・・・確かにあの力は下手をすれば地上を消滅しかねないが・・・でも言えない・・メリエル殿が選んだ溝口 玲ではルビラスに対抗出来ないと創造神ゼムビウス様が判断したなんてな・・・)
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動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
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