アリスは眠らないで

鏡上 怜

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2、それはまるで夢の国

覚めない夢なら幸せなのがいい

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 背中に感じる、ベッドに敷かれたシーツの柔らかさ。スプリングの弾力も遅れてやってきて、そのすぐ後にズシッとした重みが身体の周りにやってくる。
 見上げた頭上では、柿本かきもとくんが必死な――血走った両目を見開いてわたしを真正面から見つめてくれている。その視線は、これからわたしを犯そうとしているんだってわかるそんな視線は、あのときわたしを嗤いながら無理やりしてきたの視線とよく似ているのに、どうしてだろう、全然嫌じゃなかった。

「それじゃ、挿入れるよ――んっ、」
「ふぅっ――――」

 つぷっ、と音が聞こえそうなほど濡れそぼった場所を通って、わたしの膣内なかに柿本くんが侵入はいってくる。その感触も、深く潜ってくる圧力も、彼と似ているようで全然違う。
「ふあっ、」
 声が漏れて恥ずかしくなって、それでも口を塞ごうとした手は柿本くんに押さえられてしまう。

「え、なんで、やだ」
「いいよ、隠さないで。その声すっごい可愛いから」
「えっ、だからそういうの――んんっ、あっ」
「ほらね、すっげぇ可愛い」
「だ、からぁぁ、そんなこといちいち――っ」

 言いながら、柿本くんはずっとわたしを揺さぶり続けて、刺激し続けた。
 何度も同じ動きで、そして時々変化を付けながら、ずっと、ずっと、休みなく。
 あれ、ゴムって付けてたっけ?
 そんなこともふと頭をよぎったけど、それを気にして膣内に意識がいくと、もう柿本くんのモノを感じてしまって、そんなのどうでもよくなってしまう。
 そのうち、わたしの声を「可愛い」だとか言ってた柿本くんの声からだんだん余裕がなくなっていって、息遣いがどんどん荒くなっていく。

「はぁ、んっ、有栖ありす、有栖! いい!?」
「あっ……、んふ、ぁ――――♥️ え、なに、んぁぁっ」
「も、もうやばい、有栖の膣内なか、すっげぇ、締まって、あっ、そ、そろそろイくっ」
「え、うそ、だめ、イくならそとぉ、ふあぁぁ、や、やっ、」
「あっ、もう無理、射精る……っ」

 ドプッ……ドクッ……!

 お腹を叩き付けるような衝撃が走って、身体の中が温かくなって、それからすぐに頭の中から冷えていくような気がして。
「あ――――、ぁ、えっ、あ……っ、え?」
 どうしよう、どうしよう、どうしよう。
 もしかしてこのまま、えっ?
「あ、あ、あの、ピル……ピル……っ、あぅ、」
 いつも飲まされていたのを思い出して、咄嗟とっさに柿本くんにもせがんでしまう。でも、もちろんそんなもの持ってなくて……。

「大丈夫だよ、有栖」
 そのとき、ギュッ、と強く抱き締める温もりがあって。

「大丈夫、有栖。俺は、有栖の全部が好きだから。有栖にもしものこと、、、、、、があっても、俺が有栖のこと、きっと幸せにするから。だから、大丈夫だよ」
「ほんと……?」
「当たり前だよ。俺はずっと、本気なんだから」

 そんな言葉を向けてくれる人もいなかったし、セックスしたあとにこんな風に抱き締めてくれる人もいなかった。わたしの目をまっすぐ見て、大丈夫っていう言葉をくれる人なんて、いなかった。
 その声を耳を受けながら、まだわたしの膣内なかで膨らんでいく柿本くんのことを感じながら、わたしは自分が変わっていくような感覚に溺れていた。
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