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2、それはまるで夢の国
眠ることなど知らないで
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ちゅっ、くちゅっ、ぷはっ……
水音と吐息混じりの声が、狭くて暗い場所に響く。
人目にはつかない場所だけど、誰も来ないわけではない。もしかして、近くの道路を通る車から見えてしまうかも? あぁ、ちょっと離れた場所にある公園のブランコで子どもの遊んでる声がする。こっち来たらどうしよう? いろんなことを考えて、頭の中が熱くなっていく。
動揺していると、まるで「気にしなくていいよ」と言ってくれるみたいに柿本くんがわたしの背中を、さっきよりもっと強く抱き締めてくる。いっそ苦しくなるくらいの力で、もう柿本くんのことしか考えられなくなるくらいに、力強く。
「んっ、――」
身体から力が抜けていって、息苦しいのにそれが気持ちよくなってきて……。
自然に腰に回されてきた手を振り払おうなんていう気持ちも、起こらなくて。
「あ、有栖」
「うん……」
そこで柿本くんが何を言おうとしているのか、何をしたいのかなんて、もうわかりきっていた。
わかりきっていたことだけど、それでも、不思議と今までのような嫌悪感は感じなかった。
ホテルに行くことにしたのは、わたしから。
でも、柿本くんも拒まないでくれたから。
「なんか、慣れてない?」
開いている部屋を選んで、エレベーターに乗っているときに、ふと訊かれた。たぶん、つい口をついて出てしまった言葉なんだと思う。だからわたしも「うん、まぁ……」と言葉を返しておくことにした。きっと柿本くんに悪気なんてないから。
でも、そんなわたしを見てきっと察してくれたのだろう、「あ、ごめん」と言ってから、またキスをしてくれた。今度は軽めの、でも吐息はさっきよりも熱くなっていることがわかるキス。
「別に、前がどうとかじゃなくて、俺は今、有栖が好きだから」
たぶん、人によってはなんとなく見え透いているとかそういうことを言うのかも知れない。
でも、わたしにはそんな見え透いたことすら言ってくれる人はいなかったから。
部屋に入るなりもう一度重ねられた唇と、服をまくり上げるちょっと硬い手の感触を、わたしは拒もうなんて思わなかった。
水音と吐息混じりの声が、狭くて暗い場所に響く。
人目にはつかない場所だけど、誰も来ないわけではない。もしかして、近くの道路を通る車から見えてしまうかも? あぁ、ちょっと離れた場所にある公園のブランコで子どもの遊んでる声がする。こっち来たらどうしよう? いろんなことを考えて、頭の中が熱くなっていく。
動揺していると、まるで「気にしなくていいよ」と言ってくれるみたいに柿本くんがわたしの背中を、さっきよりもっと強く抱き締めてくる。いっそ苦しくなるくらいの力で、もう柿本くんのことしか考えられなくなるくらいに、力強く。
「んっ、――」
身体から力が抜けていって、息苦しいのにそれが気持ちよくなってきて……。
自然に腰に回されてきた手を振り払おうなんていう気持ちも、起こらなくて。
「あ、有栖」
「うん……」
そこで柿本くんが何を言おうとしているのか、何をしたいのかなんて、もうわかりきっていた。
わかりきっていたことだけど、それでも、不思議と今までのような嫌悪感は感じなかった。
ホテルに行くことにしたのは、わたしから。
でも、柿本くんも拒まないでくれたから。
「なんか、慣れてない?」
開いている部屋を選んで、エレベーターに乗っているときに、ふと訊かれた。たぶん、つい口をついて出てしまった言葉なんだと思う。だからわたしも「うん、まぁ……」と言葉を返しておくことにした。きっと柿本くんに悪気なんてないから。
でも、そんなわたしを見てきっと察してくれたのだろう、「あ、ごめん」と言ってから、またキスをしてくれた。今度は軽めの、でも吐息はさっきよりも熱くなっていることがわかるキス。
「別に、前がどうとかじゃなくて、俺は今、有栖が好きだから」
たぶん、人によってはなんとなく見え透いているとかそういうことを言うのかも知れない。
でも、わたしにはそんな見え透いたことすら言ってくれる人はいなかったから。
部屋に入るなりもう一度重ねられた唇と、服をまくり上げるちょっと硬い手の感触を、わたしは拒もうなんて思わなかった。
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