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<表紙追加>■RINK_0017_圧倒的なサイケ■
しおりを挟む——「0だ、無・・・」——
守るべき者を守る、自分の私情の為には人も殺せる。
この世界が本当にリアルフィールドの世界なら、
僕はRFで学んだ大きな思想がある。
リーダーの品格として人間の倫理感を捨てる事。
つまり、
“サイコパス”になる事も時には重要だ。
「ふ・・・」
今まさにリアリズムで体感した一瞬の出来事に、
——僕の心臓と脳は高ぶった!——
「ふ~・・・」
僕はこの高ぶりを抑えるように小さく深呼吸をして、
アオイさんに視線を送った。
「・・・」
アオイさんはすでに立ち上がっていた。
「だ・・・大丈夫ですか?」
無傷なのはすぐにわかった。
アオイさんはレディース仕様の
コンタクトスーツのスカートをはたきながら、
「あんたのせいでスーツが汚れたでしょ」
「え・・・」
“ありがとう”とか何かしらの言葉を期待した僕は、
呆然とアオイさんを見つめた・・・。
「あっちゃん大丈夫!?」
ユイがアオイさんに駆け寄る、
アオイさんは無表情ながらユイの頭を撫で、
「安心して大丈夫」
“バっ”
「よかった~!」
ユイは満面の笑みでアオイさんに抱きついた。
僕はその光景を見て倫理観、モラル的感情を取り戻した。
“ギィ・・・”
再び戦車の扉付近で音がした。
僕はグロックを構え、アオイさんはユイを守るように刀に手を置いた。
「アオイさん接近戦は危険です!」
「僕が仕留めます!」
「私に指示をするな」
「次は私が斬る」
ちらっと僕はアオイさんに視線を送ったが、すぐに戦車の扉を直視した。
「・・・・・・」
“シーン”と沈黙と静寂が包む・・・
ちょうど太陽が夕日へと変わろうとしている。
街全体がオレンジ色がかった。その時、
——“バン”——
銃声じゃない、戦車のコックピットから戦車を掴むように右手が出た。
——“ガチャ”——
僕は照準をその手に合わせた。
アオイさんもいつ斬り掛かってもおかしくないほどの
殺気が滲み出ていた。
「いつ飛び出てくるかわからなっ」
「そんな事わかってる」
アオイさんは食い気味に即答した。
・・・にしても出てくるのが遅い・・・。
焦る感情を抑えるように僕は集中した。
その時、兵士がコックピットから飛び出てきた——!
僕は引鉄を握りしめようとしたが、
僕達3人は呆然とその兵士が華麗に地面に着地するのを見つめた。
いや、目で追うのがやっとだった。
“スタッ”
「・・・」
その兵士はホワイトの迷彩柄のコンタクトスーツ。
腰にはレベルマの拳銃”サーチ”!
引鉄を引くだけで弾が勝手に敵兵にHDを食らわす。
そして・・・左手には、
アオイさんの名刀正宗に匹敵する欧州の聖剣。
——アーサー王の“エクスカリバー”——
RFでもレジェントに君臨する・・・
「URの5スター!」
僕は脳内でつぶやいたワードを声に発してしまった。
——“カシャ!”——
その発したワードと同じタイミングで
“ザザッ”
一瞬で5スターの前方100センチにアオイさんは接近していた!
そして僕が視線を向けた時には、
“バッ”
切り掛かっている、5スターの首筋3センチに刃(やいば)。
その光景を見た僕は“仕留めた”と確信した——!
僕とユイは口元が緩み、微笑んだ。
だが——
“パシ”
「!?」
5スターはアオイさんの正宗の刃を右手でつかんだ。
つかんだと言っても手の平じゃない。
2本の指、人差し指と親指で、野に咲くタンポポをつまむように
簡単にそして優しく刃を掴んだ——
アオイさんは呆然と5スターのドクロのお面を見つめた。
“クイ”
「!!」
5スターはゆっくりと目の前のアオイさんの顔に視線を送った。
この一瞬の間、
“ゴッ”
アオイさんの表情が歪む、
5スターはアオイさんの腹に膝蹴りを食らわした。
「うっ」
“カシャン”
なまくらの刀(かたな)が地面に落下し、その落下したなまくらと同じく
アオイさんは倒れこんだ。
「アオイさん!」
僕は後方にいたユイに瞬時に叫んだ。
「ユイ!逃げろ!ここから逃げんるんだ!!」
「・・・」
だがユイは足がすくんで地面に尻餅をついた。
「!」
5スターはうずくまるアオイさんを見つめている。
僕は左手にはエクスカリバーに視点を移した。
——「まずい!斬り殺される!!」——
僕は0.3秒でグロックを構え
“バーン”
静止しているターゲットへのHD!
さっきは飛びかかってきたWCF兵にHDさせる事よりも
何十倍も簡単な射撃——だが。
“サっ”
「!?」
一瞬、5スターの体が残像したように見えた。
簡潔に言うと・・・
——「じゅ・・・銃弾を避(よ)けた!?」——
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