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番外編3
ひとでなしのこい⑧
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先程開けた黒い箱の中と、床の上に、家康の恐怖が散乱している。
庭の片隅で紫陽花に水をやっている姿。ぼんやりと縁側に座って、庭を眺めている後ろ姿。台所で味噌汁の味見をしている斜め後ろからの顔。襷掛けで、雑巾掛けをしている姿。そして、これはつい最近だ、覚えがある。
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱されて、思いっきり顔を顰めている顔のアップ。見切れている男は、おそらくからかってきた康政だろう。
箱の中だけでなく、先程蓋を落としてしまった衝撃で、箱の中から溢れてしまった床に広がる写真の数々。
そのすべてに、嫌になるほど見慣れた顔が写っていた。
この家に嫁いでからこれまでの家康の生活の一場面が、本人の全く預かり知らぬところでいつの間にか切り取られていたのだ。その証拠に、どの写真の家康も決して正面を向いてはおらず、いつもどこかあらぬ方向を向いていた。
そして、恐ろしい事はそれだけではなかった。
震える指先で、床から一枚の写真を手に取る。家康の顔が、ぐしゃりと歪んだ。
「どうして……」
駅で、ぼんやりと気の抜けた顔で列車を待つ、今よりも明らかに若い自分の姿。片手に数冊の参考書を抱え、頭には帽子を被っている。これは、この家に嫁いでくる前の、まだ学生だった頃の家康の写真だろう。
夥しい数の、おそらく数百枚はあるだろうと思われる写真の三分の一近くが、この家での家康のものではなく、まだ実家にいた頃の自分の写真だった事に、家康の中の恐怖は限界まで膨れ上がっていた。
「ひっ!?」
震える指先が意図せず写真の表面を撫でてしまい、家康が悲鳴を上げる。
微かに指先に感じる、ヌメリとした濡れた様な感触。
手垢が付いたのか、唾液か、はたまたそれ以外か。家康が手にしていた写真の表面はヌメヌメと濡れており、あまりの気味の悪さに写真を投げ捨てた家康は、その場にへなへなと座り込んだ。
よくよく見てみると、箱の中の写真も、床に落ちた写真も、その多くが何だか薄汚れている様に見える。何に使われたのかなどと考えたくもない家康は、思考を完全に放棄して、床の上で糸の切れた操り人形の様にへたりこんだ。
はくはくと繰り返す浅い呼吸は、心臓の鼓動と共にどんどん早くなっていく。
(早く。ここから逃げなければ)
本能がそう告げているのに、血の気の引いた家康の体は鉛の様に重く、指先は凍り付いたかの様にかじかんで、ピクリとも動かせなかった。
恐怖に強張り、いまや完全に血の気を失くした家康の蒼白い頬を、風がすうっと撫でていく。
(……風?)
家康が顔を上げる。
自身のすぐ横を、風が通り抜けていく。
窓も無い、この部屋の唯一の入口である落とし戸を締め切った状態では感じる筈もない、先程までは確かになかった空気の通り道が出来ている。
全身の毛穴という毛穴から、ぶわりと一気に脂汗が滲み出る。
錆びついたゼンマイ仕掛けの人形の様に、ギギギと家康が後ろを振り返った。
いつの間にか開かれていた落とし戸。その向こうには、深い闇がぽっかりと口を開けて待っている。その暗闇を背に、忠勝が立っていた。
家康と同じくらい蒼白い、能面の様な顔をした男は無言のまま家康を見下ろしている。
雪洞の淡い灯りに照らされて、いつもと違って赤茶けた光を放つ髪、ぴくりとも動かないきりりとした男らしい眉、真一文字に引き結ばれた唇が薄く開かれると、そこから冷え冷えとした声が発せられた。
「こんな所で何をしている」
「あっ……あぅ……」
少しでも距離を取ろうと、ずりずりと両手を使って後ろに下がる家康。その背に、例の写真が入っている箱が当たって、家康の退路は断たれた。
忠勝はゆっくりと家康の周りに散乱する大量の写真を見回すと、再び家康の方に視線を戻した。こちらを覗き込む、ぽっかりと空いた底の知れない穴の様な漆黒の瞳が、とてつもなく恐ろしかった。
「……そうか。見てしまったのか」
家康の唇が悲鳴の形に彩られるのと、忠勝の瞳の奥がギラリと妖しく光ったのは、ほぼ同時だった。
「――後にも先にも、あれ程の恐怖を感じた事はない。人間、自分の許容量を遥かに超えた事態に直面すると、叫ぶ事も逃げ出す事も出来ず、ただ無様に地べたにへたりこんでいる事しか出来ないという事も、あの夜初めて知った」
「ううっ」
「あまりの恐ろしさに、いっそこのまま気が狂ってしまえたら、とも思った」
「うくっ、くくっ、……ぶ、ははっ、ひい、駄目、苦っし、あはははははは!」
肩を小刻みに震わせて、それまで何とか堪えていた康政が、とうとう耐えかねたかのように腹を抱えて笑い出す。
康政に出してやった茶器が、茶の間の漆塗りの座卓の上でカタカタと揺れている。
「康政、茶が零れるだろうが」
向かいに座っている家康が、康政をいさめる。が、今度は大きく仰け反った康政は、客間の畳の上に両手を着いて更に笑い続ける。
「無理! 面白すぎる。だってその写真、オカズ用ってことですよね? 夜な夜な布団から抜け出して、土蔵に隠れて何やってんのかと思ったら、細君の写真でシコっ、ひいぃ、し、死ぬう」
「~~っ、もう、やめてくれっっ!!」
バンッと机を思いっきり叩く音と共に、悲痛な絶叫が茶の間に響き渡る。
淡々と恐怖の出来事を語り続ける家康の隣で、それまで俯いたまま微動だにしなかった男がもう限界とばかりに叫んだ。
康政は笑いすぎて、もはや泣いていた。
「忠勝殿、お主の行動こわすぎるわ。そして、完全にストーカーだわ」
「仕方ないだろ! だって隣に……寝てるし、土蔵に行かなかったら……きっと俺は、寝ている家康殿を……」
「いいじゃないか、夫婦なんだから。何でわざわざ、土蔵でオナ」
「いい加減にしろ、お前には関係ないだろ!!」
「そうじゃな。何でだ?」
家康の問いかけに、真っ赤な顔をして今にも座卓を超えて康政に掴みかからんばかりだった忠勝の動きが、はたと止まる。
隣に座って優雅に茶を飲んでいた家康が、真っ直ぐな瞳で忠勝を見上げていた。
「……それは」
手の中の茶器を静かに座卓の上に置くと、家康が忠勝の方にくるりと向きを変える。
家康の黒々とした瞳が、じっと上目づかいに忠勝を見上げている。
びくっと小さく身じろいだ忠勝はふらふらと腰を降ろすと、家康の向かいに正座し直し、居ずまいを正す。背筋に竹でも入っているかの様な妙に良い姿勢で、おずおずと忠勝が問いかける。
「あの……」
「儂もずっと不思議に思っておったのだ。何で隣で本物の儂が寝てるのに、わざわざ土蔵まで行って」
「寝ているあなたに、手なんか出せるわけがない!!」
赤を通り越してもはやどす黒い顔をした忠勝が、必死の形相で叫ぶ。
それをみた家康は、ぎゅっと眉根を寄せると悲しそうに目を伏せた。
「それはつまり、実物の儂には興奮しないということか? 写真の中の儂の方が、お前にとっては良か」
「わけないだろ! 興奮しまくりだ!! 毎晩毎晩隣であなたが寝てるというだけで……俺は、あなたに触れたくて、でもギリギリのところで我慢して。寝室で顔を合わせたらどうなるか分からぬから、仕事もなるべく詰め込んで夜二人きりにならないように注意をして。でも、寝ているあなたの姿を見ているだけでも、堪らなくなって。だから、無理やりあなたに酷い事をしないように、毎晩土蔵に行って自分で処理をしていたんだ!!」
いつの間にか立ち上がっていた忠勝が、拳を握りしめて一気に捲くし立てる。
ぽかんとした顔で、そんな忠勝を見上げていた家康がこてんと首を傾げた。
「どうしてお主、いつまで経っても儂に手を出さなかったんじゃ……?」
ぐっと忠勝が詰まった。二人、プラスお邪魔虫の康政の間に、重い沈黙が落ちてくる。
庭の片隅で紫陽花に水をやっている姿。ぼんやりと縁側に座って、庭を眺めている後ろ姿。台所で味噌汁の味見をしている斜め後ろからの顔。襷掛けで、雑巾掛けをしている姿。そして、これはつい最近だ、覚えがある。
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱されて、思いっきり顔を顰めている顔のアップ。見切れている男は、おそらくからかってきた康政だろう。
箱の中だけでなく、先程蓋を落としてしまった衝撃で、箱の中から溢れてしまった床に広がる写真の数々。
そのすべてに、嫌になるほど見慣れた顔が写っていた。
この家に嫁いでからこれまでの家康の生活の一場面が、本人の全く預かり知らぬところでいつの間にか切り取られていたのだ。その証拠に、どの写真の家康も決して正面を向いてはおらず、いつもどこかあらぬ方向を向いていた。
そして、恐ろしい事はそれだけではなかった。
震える指先で、床から一枚の写真を手に取る。家康の顔が、ぐしゃりと歪んだ。
「どうして……」
駅で、ぼんやりと気の抜けた顔で列車を待つ、今よりも明らかに若い自分の姿。片手に数冊の参考書を抱え、頭には帽子を被っている。これは、この家に嫁いでくる前の、まだ学生だった頃の家康の写真だろう。
夥しい数の、おそらく数百枚はあるだろうと思われる写真の三分の一近くが、この家での家康のものではなく、まだ実家にいた頃の自分の写真だった事に、家康の中の恐怖は限界まで膨れ上がっていた。
「ひっ!?」
震える指先が意図せず写真の表面を撫でてしまい、家康が悲鳴を上げる。
微かに指先に感じる、ヌメリとした濡れた様な感触。
手垢が付いたのか、唾液か、はたまたそれ以外か。家康が手にしていた写真の表面はヌメヌメと濡れており、あまりの気味の悪さに写真を投げ捨てた家康は、その場にへなへなと座り込んだ。
よくよく見てみると、箱の中の写真も、床に落ちた写真も、その多くが何だか薄汚れている様に見える。何に使われたのかなどと考えたくもない家康は、思考を完全に放棄して、床の上で糸の切れた操り人形の様にへたりこんだ。
はくはくと繰り返す浅い呼吸は、心臓の鼓動と共にどんどん早くなっていく。
(早く。ここから逃げなければ)
本能がそう告げているのに、血の気の引いた家康の体は鉛の様に重く、指先は凍り付いたかの様にかじかんで、ピクリとも動かせなかった。
恐怖に強張り、いまや完全に血の気を失くした家康の蒼白い頬を、風がすうっと撫でていく。
(……風?)
家康が顔を上げる。
自身のすぐ横を、風が通り抜けていく。
窓も無い、この部屋の唯一の入口である落とし戸を締め切った状態では感じる筈もない、先程までは確かになかった空気の通り道が出来ている。
全身の毛穴という毛穴から、ぶわりと一気に脂汗が滲み出る。
錆びついたゼンマイ仕掛けの人形の様に、ギギギと家康が後ろを振り返った。
いつの間にか開かれていた落とし戸。その向こうには、深い闇がぽっかりと口を開けて待っている。その暗闇を背に、忠勝が立っていた。
家康と同じくらい蒼白い、能面の様な顔をした男は無言のまま家康を見下ろしている。
雪洞の淡い灯りに照らされて、いつもと違って赤茶けた光を放つ髪、ぴくりとも動かないきりりとした男らしい眉、真一文字に引き結ばれた唇が薄く開かれると、そこから冷え冷えとした声が発せられた。
「こんな所で何をしている」
「あっ……あぅ……」
少しでも距離を取ろうと、ずりずりと両手を使って後ろに下がる家康。その背に、例の写真が入っている箱が当たって、家康の退路は断たれた。
忠勝はゆっくりと家康の周りに散乱する大量の写真を見回すと、再び家康の方に視線を戻した。こちらを覗き込む、ぽっかりと空いた底の知れない穴の様な漆黒の瞳が、とてつもなく恐ろしかった。
「……そうか。見てしまったのか」
家康の唇が悲鳴の形に彩られるのと、忠勝の瞳の奥がギラリと妖しく光ったのは、ほぼ同時だった。
「――後にも先にも、あれ程の恐怖を感じた事はない。人間、自分の許容量を遥かに超えた事態に直面すると、叫ぶ事も逃げ出す事も出来ず、ただ無様に地べたにへたりこんでいる事しか出来ないという事も、あの夜初めて知った」
「ううっ」
「あまりの恐ろしさに、いっそこのまま気が狂ってしまえたら、とも思った」
「うくっ、くくっ、……ぶ、ははっ、ひい、駄目、苦っし、あはははははは!」
肩を小刻みに震わせて、それまで何とか堪えていた康政が、とうとう耐えかねたかのように腹を抱えて笑い出す。
康政に出してやった茶器が、茶の間の漆塗りの座卓の上でカタカタと揺れている。
「康政、茶が零れるだろうが」
向かいに座っている家康が、康政をいさめる。が、今度は大きく仰け反った康政は、客間の畳の上に両手を着いて更に笑い続ける。
「無理! 面白すぎる。だってその写真、オカズ用ってことですよね? 夜な夜な布団から抜け出して、土蔵に隠れて何やってんのかと思ったら、細君の写真でシコっ、ひいぃ、し、死ぬう」
「~~っ、もう、やめてくれっっ!!」
バンッと机を思いっきり叩く音と共に、悲痛な絶叫が茶の間に響き渡る。
淡々と恐怖の出来事を語り続ける家康の隣で、それまで俯いたまま微動だにしなかった男がもう限界とばかりに叫んだ。
康政は笑いすぎて、もはや泣いていた。
「忠勝殿、お主の行動こわすぎるわ。そして、完全にストーカーだわ」
「仕方ないだろ! だって隣に……寝てるし、土蔵に行かなかったら……きっと俺は、寝ている家康殿を……」
「いいじゃないか、夫婦なんだから。何でわざわざ、土蔵でオナ」
「いい加減にしろ、お前には関係ないだろ!!」
「そうじゃな。何でだ?」
家康の問いかけに、真っ赤な顔をして今にも座卓を超えて康政に掴みかからんばかりだった忠勝の動きが、はたと止まる。
隣に座って優雅に茶を飲んでいた家康が、真っ直ぐな瞳で忠勝を見上げていた。
「……それは」
手の中の茶器を静かに座卓の上に置くと、家康が忠勝の方にくるりと向きを変える。
家康の黒々とした瞳が、じっと上目づかいに忠勝を見上げている。
びくっと小さく身じろいだ忠勝はふらふらと腰を降ろすと、家康の向かいに正座し直し、居ずまいを正す。背筋に竹でも入っているかの様な妙に良い姿勢で、おずおずと忠勝が問いかける。
「あの……」
「儂もずっと不思議に思っておったのだ。何で隣で本物の儂が寝てるのに、わざわざ土蔵まで行って」
「寝ているあなたに、手なんか出せるわけがない!!」
赤を通り越してもはやどす黒い顔をした忠勝が、必死の形相で叫ぶ。
それをみた家康は、ぎゅっと眉根を寄せると悲しそうに目を伏せた。
「それはつまり、実物の儂には興奮しないということか? 写真の中の儂の方が、お前にとっては良か」
「わけないだろ! 興奮しまくりだ!! 毎晩毎晩隣であなたが寝てるというだけで……俺は、あなたに触れたくて、でもギリギリのところで我慢して。寝室で顔を合わせたらどうなるか分からぬから、仕事もなるべく詰め込んで夜二人きりにならないように注意をして。でも、寝ているあなたの姿を見ているだけでも、堪らなくなって。だから、無理やりあなたに酷い事をしないように、毎晩土蔵に行って自分で処理をしていたんだ!!」
いつの間にか立ち上がっていた忠勝が、拳を握りしめて一気に捲くし立てる。
ぽかんとした顔で、そんな忠勝を見上げていた家康がこてんと首を傾げた。
「どうしてお主、いつまで経っても儂に手を出さなかったんじゃ……?」
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