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家族

両親

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 歌声が聞こえる。
   もう・・・起きてもいいのかな?
 「えぇ、起きていいよ。終わったから。」
 誰かに声を掛けられた。それと同時に歌声も終わった。目を開ける。
 「おはよう。キク。」
 「だ、誰?」
 「えー、サクラだよ。忘れた?」
 「は?」
 僕は飛び起きた。飛び起きてサクラをじーと見る。
   大人びている。あれ?もっと子供じゃなかったけ?
 「へへ。私の力で十五歳まで進めたの!これで私のご褒美のところまで行けるよ!。」
   勝手に心を読むな。
 「だって私、一応番人だったんだから。しょうがないでしょ?」
 「はぁ~。で、サクラ。僕、十五年間寝ていたみたいだけどその間は?」
 「もしかして記憶ない?」
 「うんん。あるよ。ただ誰が僕の代わりに十五年間過ごしているのか気になるだけ」
 「それはこっちで調整してキクぽい感じに・・・・まぁま、それよりさ。早く行こう。その前にやらないといけないことがあるけど・・・・」
 サクラの言った『やらないといけない事』に疑問を感じながら着替えてサクラの元に行った。そこには両親が
腕を組んで座っていた。僕はサクラの隣に座った。
 「キク。旅がしたいと言っていたな。その気持ちは変わっていないか?」
 事実僕は初めて両親と会話する。なんだか緊張してしまい何を言っていいの迷ったが、目を覚ます前の僕が僕の変わりに何かを言ってくれるみたいで安心した。
 「お父さん!僕はこの世界を見て歩きたい。小さい頃からの夢だったの知ってるでしょう。」
   え?これが僕?全然似てないよ。
 「・・・えへへ・・・」
 隣でごめんと言う顔をしているサクラを見た。両親の方を向くとため息を吐いている。
 「俺たちは心配なんだ。キク、お前は昔から病弱だっただろ?だから・・・」
   はぁ?病弱設定?どう言う事だよサクラ
 「後で説明するから・・・」
 小さい声で言うサクラに内心諦めつつも両親と中の僕との会話を聞く。
 「それでも僕は外の世界が知りたい。鳥のように鳥籠だけの生活は嫌だ。」
   十五年間どういう生活を送っていればこんなセリフが出てくるのやら・・・
 「・・・鳥籠って、別にキクを閉じ込めておきたいなんって思ってはいない。ただ、お父さんたちはだな。外で危険な目に遭うかもしれない。外で倒れてしまうかもしれない。食べる物がなくて餓死するかもしれないのを危惧しているんだ。」
   僕はこんなにも父親に愛されているんだな・・・・
 「キク・・・・お父さん!私もついていきます。それならいいですよね?」
 「ダメだ。サクラにもまだ出来ないことがあるだろう?なぁお母さん。」
 「あ、えぇ、そうですね。でも私は旅に出させてあげてもいいと思いますよ。もう二人だって成人しましたし、」
 お父さんとは違い話のわかるお母さんだなと感心していた。するとお父さんは立ち上がり
 「何を言っている!どうするんだ。可愛い我が子が怪我でもいたら・・・・あぁ、想像するだけで胸が痛い。・・・」
 「・・お父さん、もしかしてただ行かせたくないだけでは?」
 「あぁ、そうだよ。お前たちを外に行かせたくない。行かせたらもう何年もの間会えなくなるだろう?それが嫌だ。嫌だ。」
   ガキ?
 「ふ・・ふふ」
 「サクラ!笑うな。本当のことだろう。」
 「・・・ち、ちが、ふふ・・・」
   過保護にも程があるだろ・・・どんだけ子供好きなんだ・・・・
 「ム!お父さん!ダメなの?お父さんなら良いと言ってくれると思ったのに・・・・お父さんなんて嫌いだ。」
   え!ちょっと、家から出てげばいいのか?体は動かしてくれないんだな。
 中の僕に体が追いついていなく少し駆け出すタイミングを誤った。
 「キク!」
 お父さんの声が聞こえるが無視して家から出て行った。
 行くところが分からず当てもなく走っていたらいつの間にか森のようなところに来た。帰り道が分からず
   おい!僕の中!帰り道を教えろ。
 「知らない。さっき言った通り僕は鳥籠で過ごしていたんだ。ここに来たのも初めてだ。」
   はぁ~。
 僕は完全に迷子。
 「どうすれば・・・・」
 ため息を吐いてその場にしゃがみ込んだ。


 キクが家を出て行った後私も追いかけたが見失ってしまった。キクはこの辺を知らない。私は家に戻って伝えた。お父さんとお母さんは家の周りを探し始めた。私は意識会話をしようと試みた。
 でも出来なかった・・・・・
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