after the story あふすと!

九頭竜

文字の大きさ
上 下
6 / 9
第6話 No.零

No.零は放ち切り裂く。

しおりを挟む
「さってと」と桜咲は伸びをした。

入学式という退屈度満点の式典を体育館で終え、再び教室に戻ってクラス内で自己紹介という通過儀礼も終え今日の時間割をこなし、桜咲は帰路についた。

学校の校門を出て右。その方向は吉野と同じである。
ちなみに福永、森谷、長原は左に曲がる。

「じゃーねー」と校門で森谷達は左に曲がって歩いていった。桜咲は吉野と他愛もない話をしながら歩いていく。

「だからさ、結局委員長は考えすぎなんよ。能力あってもバレずに普通に過ごせば問題ないし」

「そうは言っても朝みたいに長原や森谷は能力に頼ろうとするだろう?」と吉野。
能力が周りにバレてしまったらどうなるか、という議題の話である。

「まぁ、あのふたりは面白がってるからねぇ。でもさ、せっかくの能力なんだし、何かに使いたいと委員長は思わない?」

「そんなアニメみたいに能力が必要な状況なんてポンポン出てこないと思うけど?」
吉野は軽く笑って見せた。

「例えばさ!マスク被って、、、」
「却下」

桜咲の発現は一瞬で吉野に切り捨てられる。
能力でなく身体能力上昇だけでも常人とはかけ離れてしまっている。簡単に言えば50メートル走をするだけで世間を騒がせてしまう状況でそんな好奇の目で見られるリスクを背負う必要はない。

「あーあー、だめかー。せめて零とかが相手してくれればストレス発散になるのになぁ」

「呼んだか?」と背後から低い声が聞こえる。


桜咲は驚愕し身を仰け反らせながら振り返る。
「え?ぜ、零!?」


そこに居たのは白髪で右目を眼帯で覆った長身の男。魔界で何度も剣を交えたあの男。No.零である。
No.零は魔王直属の魔道力人造人間兵器、通称〈悪魔〉である。
悪魔は魔物に仕える人造人間だがNo.零だけは魔王に直接仕える魔界最強の悪魔とされていた。
強さはその鋭い剣技とNo.零に与えられている〈プロミネンス〉と呼ばれる炎によるもので、No.零は炎を自由自在に操る。

「この俺が、、、桜咲のストレス発散の相手、、、だと?」

「な、なんでいんの!?ここ魔界じゃないのよ!?どぅーゆーあんだーすたん!?」
とっさに桜咲は大勢を整えて身構える。

No.零は魔王決戦の際に福永に敗れ、心を持ち、魔王継承者であった亜貴の妹であるレイチェルに仕えることを決めた。レイチェル自身は戦いを好まず平和を願う性格のため魔界を平和に導く魔王に就いた。

そんな経緯もあってNo.零は敵ではないが、その強さは充分知っていた。

「ホントになんでいるのよ?」と吉野は平然と聞く。その態度は毅然としている。

「王女が、、、いや女王が貴様らの様子を見てくるようにと。その能力から戸惑っているのではないか、とな」

「ふーん。なるほどね」と吉野は頷いた。

で、だ。とNo.零は続ける。
「桜咲。貴様のストレス発散に俺が相応しいと?」

「い、いやそれは例えであって、、、ね」
「ならば発散させてやろう。俺のプロミネンスで」
「それ俺自身が発散されちゃいません!?」
「いくぞ!」
「いや、ちょ!」


と桜咲が逃亡をはかっていると、そこに福永が割り込んできた。

「あら?ほんとにいるのねぇ」

福永は校門で分かれたが、妙な気配を感じに〈神の右目〉でこの様子を見ていた。
「そっか、こっちから魔界に行けるってことはそっちからも来れるのか。ふむ」吉野は何故か納得していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

美咲の初体験

廣瀬純一
ファンタジー
男女の体が入れ替わってしまった美咲と拓也のお話です。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...