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第6幕

さらなる投資案件の提案

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淡い照明がラウンジ全体に柔らかな陰影を与え、静かに流れるBGMが緊張感を和らげている。しっかりとした木製のテーブルは、その空間に信頼感と高級感を引き立てているかのようだ。大谷はそのテーブルを前に、少し上機嫌な表情を浮かべながら待っていた。先日までの会合で得たリターンが予想以上だったことや、特別な案件に招かれているという優越感が彼を満たしていたからだ。加えて、隣に座る怜の存在が、彼にとってはすでに「自分の人生を支える大切な人」という確信を強めるものになっていた。

怜は控えめで品のある装いをまとい、大谷に優しく微笑みを向けている。彼女の仕草一つ一つが柔らかく、どこかしら緊張感を含んでいるようでありながらも、落ち着きと信頼感を醸し出している。その様子が、大谷の心にさらに強い期待と興奮を呼び起こしていた。

約束の時間ぴったりに、涼が落ち着いた足取りで個室に入ってきた。彼の姿を見た瞬間、大谷は立ち上がり、深い礼をしながら彼に握手を求めた。

涼は冷静で落ち着いた表情を保ちつつも、礼儀正しい態度で大谷の握手に応えた。

「大谷さん、いつもありがとうございます」

大谷も満足げに微笑み、

「こちらこそ、またこうしてお会いできるのを楽しみにしていました」

と言葉を返した。涼が席に着くと、怜が一言、

「工藤さんのお話をまた聞けるなんて、嬉しいですね」

と柔らかに微笑みを浮かべながら言った。


涼が手元のタブレットをを静かに操作し、少しの間を置いてから、冷静に話し始めた。

「今日は、新しい投資案件について少しお話をさせていただこうと思っています」

大谷の目がキラリと輝く。その様子を一瞥した涼は、表情を変えずに続けた。

「これは、これまでご参加いただいている案件と比較して、リターンがさらに期待できるものです。ですが、率直に申し上げて、リスクも比例して高くなるため、慎重に検討していただくことをおすすめします」

涼は一呼吸置き、大谷の反応を確認する。興奮を隠しきれない大谷が前のめりに身を乗り出し、「もっと詳しく教えていただけませんか?」と尋ねた。

涼は頷き、資料に目を落としながら新規案件について説明を続ける。

「市場の動向に影響を受けやすい、いわゆる投機性の高い案件です。ですが、私たちはリスク管理を徹底して行っており、過去の案件では平均的に1.75倍以上のリターンを出しています。この案件も、同じく堅実にリスクを管理しながら進める予定です」

大谷は資料に記載されている数字に見入り、その内容に魅了されていく。涼は淡々と話し続け、大谷の心を引き込んでいった。

「ちなみに、この案件については、500万円からの参加が推奨されています。とはいえ、高リスクな性質を考慮し、無理のない範囲でご検討いただければと思います」

涼が「無理のない範囲で」と何度も言い添えるたびに、大谷の中には「それほどリスクが大きいのだろうか」という疑念が生まれる一方で、「だからこそ慎重に勧めているのだろう」とも感じていた。涼の姿勢には強引さが一切なく、控えめで冷静であることが、かえってこの投資案件の信頼性を引き立てているように見えた。

怜も横から穏やかな表情で、

「工藤さんが慎重に勧めてくださるからこそ、安心感があるのかもしれませんね」

とぽつりと口にした。その言葉に大谷はふと心が落ち着き、安心したように微笑んだ。

「そうですね…。こんなに丁寧に説明してくださるのは、本当に信頼できる証拠です」

涼は微笑みながら、「そう言っていただけると光栄です」と答え、最後にパンフレットを手渡した。大谷はそのパンフレットを大切に手に取り、何度も目を通した。

「この投資、500万円からとは言っていましたが…もし私がもう少し大きな金額で参加した場合、リターンはどうなりますか?」

涼は少しだけ表情を緩め、冷静に答えた。

「もちろん、投資金額が増えればリターンもその分だけ増加します。ただ、私どもとしては無理のない範囲で進めていただくことを重視しています」

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