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原田くんは、諦めない人だ
うそつきな原田くん1
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二月十四日、日曜日。
「よしっ」
バレンタインデー当日。運命のこの日はきた。
わたしはミントグリーン色の包装紙でくるんだチョコを鞄に入れると、髪の毛をいつもよりバチッとキメて、色つきのリップも塗って、鏡と睨めっこ。エレン先生に直接会うわけではないけれど、それでもおしゃれはしたくなった。
原田くんへあげる義理チョコは、明日の月曜日まで冷蔵庫の中だ。赤い箱は、無機質な冷蔵庫内で目立っていた。
「お母さーん!わたしちょっと出かけてくるねー!」
朝の九時半。玄関でそう言い放ち、扉を開けた時だった。
「え……」
普通の人に戻ったはずの原田くんが、また変な人となって現れた。
「は、原田くん……」
原田くんは、わたしの家の玄関前でしゃがんでいた。スマートフォンをいじっているわけでもなく、本を読むでもなく、赤いマフラーを巻いた彼と、扉を開けた瞬間に目があった。原田くんの手には、一本のビニール傘。天気博士の本日の予報は雨らしい。空はこんなにも、晴れ渡っているのに。
「なんだよ瑠夏、その格好。めっちゃ可愛いじゃん」
原田くんは、わたしの精一杯のおしゃれを褒めてくれた。加速する心拍音が、今にも街全体に響き渡りそう。
「な、なにしてるの原田くん……」
「瑠夏を待ってた」
「どうして、わたしの家……」
「そんなの瑠夏と同じやり方だよ。忍者ごっこ」
「よしっ」
バレンタインデー当日。運命のこの日はきた。
わたしはミントグリーン色の包装紙でくるんだチョコを鞄に入れると、髪の毛をいつもよりバチッとキメて、色つきのリップも塗って、鏡と睨めっこ。エレン先生に直接会うわけではないけれど、それでもおしゃれはしたくなった。
原田くんへあげる義理チョコは、明日の月曜日まで冷蔵庫の中だ。赤い箱は、無機質な冷蔵庫内で目立っていた。
「お母さーん!わたしちょっと出かけてくるねー!」
朝の九時半。玄関でそう言い放ち、扉を開けた時だった。
「え……」
普通の人に戻ったはずの原田くんが、また変な人となって現れた。
「は、原田くん……」
原田くんは、わたしの家の玄関前でしゃがんでいた。スマートフォンをいじっているわけでもなく、本を読むでもなく、赤いマフラーを巻いた彼と、扉を開けた瞬間に目があった。原田くんの手には、一本のビニール傘。天気博士の本日の予報は雨らしい。空はこんなにも、晴れ渡っているのに。
「なんだよ瑠夏、その格好。めっちゃ可愛いじゃん」
原田くんは、わたしの精一杯のおしゃれを褒めてくれた。加速する心拍音が、今にも街全体に響き渡りそう。
「な、なにしてるの原田くん……」
「瑠夏を待ってた」
「どうして、わたしの家……」
「そんなの瑠夏と同じやり方だよ。忍者ごっこ」
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