原田くんの赤信号

華子

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原田くんは、赤信号みたいな人だ

ジョーカーの話3

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 それから何人かの生徒もことごとく首を横に振って、でもエレン先生の目力に負けて引く。ジョーカーは、まだ出ない。五人目となる人物の手には、十枚ものカードが握られていた。

「お、いいねえ翔平。次で十一枚目だ」

 その人物とは、原田くん。トランプの柄と必死に睨み合い、ジョーカーを探り続ける。

「エレン先生。本当にこれ、ジョーカー入ってる?」
「もちろん」
「どこ」
「ははっ、それは教えられないよ」

 ぶうっと頬を膨らませる原田くんに、みんながクスクス笑う。じりりと詰まる、トランプと彼の顔の距離。原田くんは、懸命に選んだ一枚を勢いよく引いていた。

「で、でた!ジョーカー!」

 後ろを向いて、みんなにもそのカードが見えるようにかざす原田くん。少年のように喜ぶ彼を目に、わたしの胸がドキっと鳴る。

「やったね翔平。君にはきっと今日、いいことがあるだろう」
「よっしゃあ~!」

 運いいなあとか、まぐれじゃんとかそんな声でガヤガヤし始めた部屋を、エレン先生は「トゥットゥットゥットゥッ」と上顎を何度か舌ではじいて収めていた。

「今のゲーム。もし僕の聞き方が違っていたら、君たちは首を振らずに快くやってくれたのかな」

 そう言って、最初にカードを引いた美希ちゃんに戻る。今度のエレン先生は、トランプの束から一枚のカードを引いて伏せて渡した。
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