原田くんの赤信号

華子

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原田くんは、赤信号みたいな人だ

ジョーカーの話2

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「今日の僕はね、トランプを持ってきたんだ」

 取り出したトランプを、胸の前で模様の面を広げて見せる。

「この中からジョーカーを引いてくれる?」

 エレン先生にトランプを差し出された美希ちゃんは、首を横に振っていた。

「で、できないですよ」
「どうして?」
「そんなのどこにいるか、わからないじゃないですかっ」
「でもこの中には確実にいるよ」
「え~……」

 ひかないエレン先生との見つめ合いに敗北した美希ちゃんは、渋々と一枚を取る。

「ほら、だめだった」
「美希はなにをひいたの?」
「三つ葉の六です」
「そうか。じゃあ次こそはジョーカーを引いてみて」

 はいっと再びカードを突きつけられて、また取る。

「ほらあ、こんなの何回やっても無理ですよ」
「今度はなにを引いたの?」
「ハートの三です」
「そうか。じゃあ次こそはジョーカーを引いてみよう」

 美希ちゃんは「もういやです」と言っていた。続いてわたしの目の前に、トランプはやって来た。

「瑠夏。この中からジョーカーを引いてくれる?」
「む、無理ですよ」
「それはやってみないとわからないよ」
「ん~……」

 引いてみる。ジョーカーは出ない。

「なにを引いた?」
「三つ葉の二です」
「そうか。じゃあ次こそはジョーカーを引いてみて」

 わたしは早々にギブアップした。
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