道理恋慕

華子

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守護と殺人

守護と殺人7

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『大和兄貴がいないとつまんないっすよ~。早く出勤してくださいよ~』

 翌日の月曜日。朝からしょげた犬のスタンプを送信してきた蓮に、俺の心は擽られた。

わりい。今日も行かねえ』
『えー!それはやばいっす!俺、そろそろ兄貴の顔見ないと死ぬっす!』

 くすっと笑える文面に、俺は少し考える。
 蓮は俺の血縁関係を知っているし、父親とも一度は酒を交わしている仲間。仲間と言っても犯罪組織の仕事仲間だが、この人懐こいキャラクターならば、桜子も怪訝な顔はしないだろう。

『じゃあ、うち来る?』

 そう送れば。

『まじっすかいいんすか行くっす行くっす!!』

 と、尻尾を振っている犬のスタンプで返された。
 家族以外の人間と絡まなくなってから2週間目。俺は人恋しい気持ちもあったのかもしれない。

『住所載っけるからてきとーに来て。ついでにゲーム持って来て』
『はい!夕方までには行くっす!』

 だから俺は、明るい蓮を誘ったんだ。
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