道理恋慕

華子

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刺青と鬼胎

刺青と鬼胎12

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 学校へ登校している君と1週間以上も会わない理由はただひとつ。それは俺が君を発見するよりも先に、君が俺を感知し回避していると、そういう事だ。悲しいけれど、これが君の講じた策ならば受け入れるしかない。
 なのに、そう思うのに、それなのに。心の中の自分が何度も訴えかけてくるんだ。

 芽衣に逢いたい、芽衣に触れたい。大好きな君の側に居たいって。

 2年もの間、鞄と同化していた北海道土産のキーホルダーに気が付いたのは、その日の夜。居間に放ってあった鞄を見た桜子が、「お兄ちゃんまだ芽衣ちゃんのこと好きなんじゃん」とそれに触れたから。
「忘れてただけ」と言ってはぐらかした俺は、キーホルダーをゴミ箱へ捨てる振りをして、パンツポケットに捩じ込んだ。けれどそれは明け透けで、夕飯を用意する母親にもバレていた。

「ごめんね、大和」

 逃れられない運命に悲哀を感じているのは俺だけではない。母親も桜子も、常に気鬱な日々を送っている。唯一満足そうなのは、俺の二の腕を見て喜んだ父親だ。
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