道理恋慕

華子

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懺悔と離別

懺悔と離別1

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 芽衣が宝石のように笑うのが好きだった。花のように咲く笑顔が好きだった。
 春の芽のように幸福をもたらして、時には夏の木陰のように守ってくれて。秋の紅葉もみじのように儚くて、冬の陽のように優しいところが好きだった。

 こんな俺を好きだと言ってくれた事が嬉しかった。手を繋いでくれた事が嬉しかった。

 照れ屋な君が愛しかった。もどかしかったけれど、心底愛していた。

 思い出はいつでもどこでも取り出せるから大丈夫。だから俺はきっと、大丈夫。けれど心配なのは君の事。

 可愛い君にはすぐ男が寄ってくるだろうけれど、慎重で一途な君が、ひょっとすると縮こまってしまうんじゃないかって、気持ちを塞いでしまうんじゃないかって、それが不安だよ。

 綺麗な別れ方を選べずにごめん。もしも俺が、君のトラウマになったらごめんね。

 記憶を消せる薬があったらいいのにね。そしたら愛に溢れたキスの後、せーので一緒にそれを飲もうよ。
 催眠作用入りのその薬で、俺等はそのまま眠るんだ。俺の薬は君よりちょっと少なめにしてさ、そしたら必ず俺が先に目覚めるからさ、起きたらすぐに、君の隣から消え去るから、さ。

 そしたらねえ、芽衣。君は君で、新しい恋を始めてよ。
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