道理恋慕

華子

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銃声と花火

銃声と花火5

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「じゃあ俺はこっちの出入り口張るんで。大和兄貴は裏お願いできますか?」
「あ、うん」
「大丈夫っすか?」
「え?」
「なんかさっきからずっと、暗い顔してますけど」

 隠しきれない憂鬱は、顔面丸出し。芽衣のメッセージも無視に異世界にいる事が、虫唾が走るほど嫌だった。

「蓮は、さ…」
「はい」

 俺とひとつしか歳が変わらないうえ、組に顔を出したのは俺より後なのに、こんなにも怯えず動じない彼を不思議に思う。

「なんでこの世界に入ったの?」
「え?」
「嫌じゃないの?銃なんか持たされて」

 暴力はいけません。口があるのだから話して解決しましょう。

 ここにいる誰もがそう小学生の時に教わったはずなのに、どこでどう、人は狂い出す。

「べつに、嫌じゃないっすね」

 驚くほどあっさりとした回答に、俺は自分の方がおかしいのではないかと疑った。

「今回のことだって、偽札渡してバックれた奴等を戒める行動っすよね」
「まあ、そうだけど……」
「だったら俺等、正義じゃないっすか」
 
 ドクン。

 スタンス、方針、捉え方。全てが真逆の蓮に、俺の胸は大きく動いた。

「正義……?」

 震える唇をやっとの思いでコントロールさせて問うと、更に強い口調になる彼。

「俺は悪いことをした奴を懲らしめる為に、この世界を選びました。警察なんて、法に支配されすぎて逆に上手く動けていない。他人の命を奪っても、のうのうと生きてる奴はこの世の中に沢山いるんです。悪い奴と出会うには、悪い世界に入るのが1番なんすよ」

 一語一句はっきりと言ったのに、その時の蓮の目は、死んだ魚のように生気に欠けていた。
 一体何故、16の子供がこんな思考に。

 何も言えずにだんまりを続けていると、蓮はハッといつもの顔に戻りこう言った。

「なーんて、真面目な話しちゃったっすね!ところで大和兄貴は、どうしてこの世界入ったんすかぁ?」

 どこの学校にいても違和感などない、こんなにも可愛らしい笑みを見せられる蓮。

「俺は、父親がここの組にいるから仕方なく」

 だからその瞬間だけは、本当の友達のように思えてしまったんだ。

「まだ俺は組に入ってないから数名しか知らないことなんだけど、俺の父さんは、内田組のトップだ」
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