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決意と懇願
決意と懇願2
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「おはよー勇吾っ」
校門前。芽衣の声に勇吾が振り向く。
「おはよう芽衣、大和」
君は早足で勇吾の背中に追いつくと、後ろを歩く俺を指さし言った。
「ねえねえ勇吾、うっちゃんの息嗅いでみて」
「え、大和の?」
「うん、うっちゃんはお父さんが近くで煙草吸ってただけだーとかって言うんだけど、絶対違うと思うの」
芽衣に言われるがままクンクンと鼻を動かして、勇吾は俺の元へとやって来た。
「嗅ぐな」
「だって芽衣が……」
「しーっ、いいからっ」
下手なウインクで、俺の思いを彼に伝える。
「え?」
しかし首を傾ける勇吾には、それは伝わってはいないだろう。
「ほらぁ、ね?臭いでしょー?」
芽衣の声を勇吾の背景にもう1度、俺は彼女からは見えぬように片目を瞑った。
「うーん、どうだろ」
「ええ、分からないの!?」
この合図の意図が把握しきれなくても、曖昧に濁してくれるところ。彼は本当スマートだ。
「後で話がある」
勇吾へそっと耳打ちすると、彼はこくんと頷いた。
校門前。芽衣の声に勇吾が振り向く。
「おはよう芽衣、大和」
君は早足で勇吾の背中に追いつくと、後ろを歩く俺を指さし言った。
「ねえねえ勇吾、うっちゃんの息嗅いでみて」
「え、大和の?」
「うん、うっちゃんはお父さんが近くで煙草吸ってただけだーとかって言うんだけど、絶対違うと思うの」
芽衣に言われるがままクンクンと鼻を動かして、勇吾は俺の元へとやって来た。
「嗅ぐな」
「だって芽衣が……」
「しーっ、いいからっ」
下手なウインクで、俺の思いを彼に伝える。
「え?」
しかし首を傾ける勇吾には、それは伝わってはいないだろう。
「ほらぁ、ね?臭いでしょー?」
芽衣の声を勇吾の背景にもう1度、俺は彼女からは見えぬように片目を瞑った。
「うーん、どうだろ」
「ええ、分からないの!?」
この合図の意図が把握しきれなくても、曖昧に濁してくれるところ。彼は本当スマートだ。
「後で話がある」
勇吾へそっと耳打ちすると、彼はこくんと頷いた。
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