道理恋慕

華子

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抵抗と棄却

抵抗と棄却7

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 翌日の遅くに帰宅した父親は、余程疲弊していたのか、そのまま寝室に向かって行った。
 どうしても話がしたかった俺は、眠たい目を擦りながら彼の帰りをずっと待っていたのだけれど、その日はやめておいた。

 8月31日。明日からは新学期が始まってしまうから、まとまった勉強時間を確保するのも難しくなる。今日こそは必ず言うのだと心に決めて、父親に話しかける。

「父さん」

 桜子が寝静まったのを確認してから、俺はまだ明かりが灯っていた居間へ入った。

「なんだ?」

 母親はもう、寝たらしい。食卓では晩酌をしながらテレビを観る父親がひとりだけ。

 唐突に本題へ入るのもなんだかなあと思った俺は、とりあえずは換気扇の下で煙草に火をつけて、何気ない会話を始めた。

「仕事は最近どう?」
「仕事?まあ、順調だな」
「そっか」
「大和はそろそろ夏休みが終わるな」
「うん。明日始業式」
「あっという間に夏も終わりか…」

「どのチャンネルもつまらんな」と言ってテレビを消した彼は、卓の上にあった本をパラパラと捲っていた。俺の煙草の火も、そのタイミングで丁度、フィルターに到達した。
 
 父さんに、思いを伝える。

 それだけで、鼓動が腸まで響いていく。
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