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中毒と未来
中毒と未来11
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目の赤みが引いたのを見計らって、俺は事務所へ戻った。
「あれ……」
するとそこには先ほどまでいなかった見知らぬ若い男が、若中にレクチャーを受けていた。
老婆から受け取った金を若頭補佐に渡した俺は、空席だった若い男の隣に腰を下ろす。パラパラとリストを眺めながら、電話をかける相手を決めていると、説明を聞き終えた彼が話しかけて来た。
「はじめましてっす。自分、新しく入りました蓮っていいます。よろしくお願いしますっ」
俺と同い年くらいに見える彼の第一印象は、真面目と律儀。
「よ、よろしく。自分はそんな毎日は顔出してないんすけどたまにここにいる大和っす」
「兄貴若くないっすか?いくつっすか?」
「15」
「え、まじっすか?」
「うん。蓮は?」
「歳近いっす嬉しいっす。俺16っす仲良くして下さい!」
まだこんなにも若く、常識もありそうな蓮がここにいる理由を俺は勝手に決めつけてしまった。
「ガキ臭い俺なんかめっちゃ浮いちゃうんじゃないかって不安だったんすけど、大和さんみたいに歳近い兄貴いて良かった~」
ひょっとすると彼も、血縁で仕方なくこの世界へ足を踏み入れた人間なのではないのかと。
「俺も。歳近いの来て嬉しいよ」
自己紹介をし終え、はたと気付く。うっかり本名で自己紹介をしてしまったと。けれど事務所の人間が本名で俺を呼んでいる時点で、偽名も何も通用しないかと思い直した。
田中も鈴木も佐藤も皆、正式のメンバーではない手伝いの俺ごときに実名など明かしはしない。それはいつトンズラをこくかもしれない俺に対しての保険だろう。
「あれ……」
するとそこには先ほどまでいなかった見知らぬ若い男が、若中にレクチャーを受けていた。
老婆から受け取った金を若頭補佐に渡した俺は、空席だった若い男の隣に腰を下ろす。パラパラとリストを眺めながら、電話をかける相手を決めていると、説明を聞き終えた彼が話しかけて来た。
「はじめましてっす。自分、新しく入りました蓮っていいます。よろしくお願いしますっ」
俺と同い年くらいに見える彼の第一印象は、真面目と律儀。
「よ、よろしく。自分はそんな毎日は顔出してないんすけどたまにここにいる大和っす」
「兄貴若くないっすか?いくつっすか?」
「15」
「え、まじっすか?」
「うん。蓮は?」
「歳近いっす嬉しいっす。俺16っす仲良くして下さい!」
まだこんなにも若く、常識もありそうな蓮がここにいる理由を俺は勝手に決めつけてしまった。
「ガキ臭い俺なんかめっちゃ浮いちゃうんじゃないかって不安だったんすけど、大和さんみたいに歳近い兄貴いて良かった~」
ひょっとすると彼も、血縁で仕方なくこの世界へ足を踏み入れた人間なのではないのかと。
「俺も。歳近いの来て嬉しいよ」
自己紹介をし終え、はたと気付く。うっかり本名で自己紹介をしてしまったと。けれど事務所の人間が本名で俺を呼んでいる時点で、偽名も何も通用しないかと思い直した。
田中も鈴木も佐藤も皆、正式のメンバーではない手伝いの俺ごときに実名など明かしはしない。それはいつトンズラをこくかもしれない俺に対しての保険だろう。
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