道理恋慕

華子

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嫉妬と接近

嫉妬と接近2

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 大丈夫。「好き」の言葉はまだ君から貰えていないけれど、きっと君は、俺が好き。大丈夫。弱虫毛虫はどっか行け。

 翌朝、芽衣の鞄で揺れる『うっちゃんペン』に鼓舞される。


「勇吾って今週末暇?」

 芽衣と琴音の視線を全身に受けた俺は、昼休みの教室で聞いた。

「日曜は英会話のレッスンが入ってるけど、土曜なら空いてるよ」
「英語なんて習ってんの」
「うん。小3からずっとね」

 さすが優等生。幼き頃から親の教育が違う。

「じゃあ技術館行かね?」
「技術館?」
「ほら、去年小学校のみんなで行ったところ。芽衣と琴音も一緒なんだけど」
「ああ、あそこか。うんいいね、行く行く」

 彼と約束を取り付ける俺を監視していた芽衣は、俺の報告よりも先に「楽しみだね」と言ってきた。

 親には「友達と技術館に行くから」と伝え、お金を幾らか頂戴した。桜子には、「メンバーに俺の彼女もいるんだ」と知らせた。

「いいなあお兄ちゃん、ダブルデートじゃん。なんだか楽しそう」
「ダブルデートっぽいけど、俺等以外は付き合ってないからな」
「でも、女の子の方はその男の子が好きなんでしょ?」
「うん」
「じゃあダブルデートみたいなものだよ」
「そうかあ?」
「ちゃんと偶然装って、ふたりっきりにさせてあげなきゃダメだよっ」
「え?」

 俺はまたもやふたつ歳下の妹に、恋のアドバイスを受ける。

「そのふたりが上手くいくように、お兄ちゃんと彼女はどっかでフェードアウトしてね」

 ウインクをしながら人差し指を立てる桜子は、恋専門の先生にも見えた。

「な、なるほど」

 琴音と勇吾が宜しくやると同時に、俺は芽衣とふたりきり。最高のプランだ。
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